スーパーマーズ後の「火星観測」が面白い。望遠鏡で見る天体観測
火星が地球に接近中。「スーパーマーズ」は過ぎましたが、夏頃までは天体観測で惑星を探してみませんか?火星の探し方と夏前の星空観察。
こんにちは、天体観測アドバイザー・星空案内人の宇都正明です。
火星はとても明るく、オレンジ色に輝いていて、今が見頃です。
今回は、「火星」について、ご説明します。
夜の帳りが降りてくる頃、東南の空を見ると、オレンジ色にとても明るく輝く星が見えることに気が付きます。
これが、火星です。
火星は、さそり座の近くにいます。
さそり座には、同じく赤い1等星アンタレスがありますが、しばらくの間は、火星の方がより明るく輝いている為、まず間違うことはないでしょう。
ただ、以前のコラムでも書きました様に、惑星は移動していきます。
火星もまた、星座の中を動いていくことに注意してください。
今夏いっぱいは、さそり座付近をうろついています。
ニュース等で「スーパーマーズ」という言葉を聞いた方もいらっしゃるかもしれませんね。
火星の軌道は楕円で、このため、地球に、2年2ヶ月ごとに近づいてきます。
火星がどの位置で地球へ接近するかによって、地球と火星の距離は異なります。
今回、2016年の接近では、ここ10年で最も地球に近づいた事から、スーパーマーズと呼んでいる様です。
今年、2016年の火星の地球への最接近は過ぎてしまいましたが、上の図からも判るように、急に遠ざかっていくわけではありません。
最接近は、5/31でしたが、まだまだ、今夏いっぱいは、火星を楽しめます。
次回はもっと大接近!
しかも、次の火星の接近、2018年7月には、今回よりも、ずっと地球に接近し、2003年以来、15年ぶりの大接近となります。
さて、今年の火星は、ちょうどさそり座のあたりに見えています。
火星をみつけたら、その東南側に、オレンジ色の星がないか探してみてください。
ちょっと南に低いこともあって、町中では思ったよりも暗くやや見つけにくいかもしれません。
下の写真で見ると、火星もアンタレスも、同じ様なオレンジ色をしているのが良く判りますね。
アンタレスは、ギリシア語では、アンチ・アーレス。
火星の敵の意味です。
火星とアンタレス。2つの星は、明るさとその赤さを互いに競い合っている様に見えます。
火星は、2等級から、-2等級まで明るさが変化しますので、0.9等~1.8等まで変化するアンタレスとは、良いライバルです。
ただ、写真でご覧になると一目瞭然。
地球に接近した火星は、アンタレスよりも遥かに明るくなります。
ただ、赤さではアンタレスの方が赤いのだそうです。
また、今後、火星は地球から離れていきますので、明るさも次第に暗くなっていきます。
ぜひ、ご自分の目で見て、どちらが赤いか、いつまで、火星の方が明るいか、確かめてみてください。
火星は明るく輝いていますが、実際にはとても小さな星で、地球の半分程しかありません。
その為、火星を観測しようと思うと、それなりに大きめの望遠鏡が欲しくなってきます。
ここはやはり、公共天文台の望遠鏡で見させて頂くのが一番でしょう。
16cm反射望遠鏡にて撮影
上の写真は今年の火星です。
火星を望遠鏡で眺めると、薄暗い模様を見ることができます。
この暗い部分は、海と呼ばれています。
また、火星の極には、極冠と呼ばれるドライアイスの氷があります。
火星は地球と同じく、季節があります。
今回は、ちょうど夏に近いのでしょうか、極冠は暑さで小さく見難くなっています。
下の写真は、前回接近時、2014年の写真です。
今回よりも、極冠がはっきりと見易かったです。
30cm反射望遠鏡にて撮影
火星には地球と同じ様に、雲や霧が発生し、写真のように、火星表面を覆う様子を見られる時があります。
また、砂嵐が発生し、模様が全く見えなくなることもあります。
地形の模様、季節による変化が観察できるのも魅力
このように、火星は、地形の模様の他、季節による変化があるため、とても魅力的な惑星となっています。
火星の季節変化や複雑な地形、砂嵐で地形が変化して見えることから、昔は、これは運河で、高度な文明を持った火星人がいるのではないかと、考えられたこともあります。
コラムを書いてるうちに、広い範囲で梅雨入りしてしまいました。
ですが、梅雨といっても、ずっとお天気が悪いわけでもありません。
梅雨の中休みは、大気が澄み渡り、とても美しい星空を見ることができます。
赤く輝く星、火星をぜひ見てみてください。
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銀河鉄道999や、ボイジャー2号の写真などで、子供の頃から宇宙に興味を持って以来、天文に興味を持ちました。
デジタルカメラのおかげでアマチュアでも、図鑑の様な写真が撮影できる様になり、すっかりとのめり込んでしまいました。
星空の魅力を伝えていければと思って、天体観望会のお手伝いなどもしています。
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