こんにちは。フローリストの宇野知子です。

突然ですが、皆さまはお花をどこに飾りますか？
花を買ったときや花を頂いたとき、お部屋の中のどこに飾ろうと思われますか？

今回は、花を飾る場所について考えてみましょう。

昔の日本家屋には床の間がありました。
玄関を入ってすぐに土間が広がり、下駄箱を設置する空間がありました。
私達日本人は、この風習から、今でもこの辺りに花を飾る感覚があるのだと思われます。

料亭や旅館などでも、玄関や廊下の通路、お部屋の中では床の間に飾られていることが多いことに気が付きます。

では、欧米諸国ではどうでしょうか？
日本と同じように、玄関や通路に飾られる場合も多いのですが、実はテーブルに飾る場合も多いようです。

ホームパーティーなどが開催される場合、テーブルコーディネートの重要なアイテムとして、テーブルフラワーが必要とされます。

テーブルは、お茶を飲んだり、食事をしたり、会話をする重要な場所として「花を飾る」という感覚があるようです。
ホテルやレストランで考えてみても、エントランスや通路などと合わせて、テーブルにお花が飾られていることにも納得できますね。

このことを踏まえて、花を飾る場所について考えてみましょう。

前述しましたとおり、日本では、玄関や床の間などといった場所に飾られています。
ということは、壁側に、壁を背に飾られていることになりますね。
このスタイルを、三方見（さんぽうみ）と言います。

正面からと両側面から見ることになりますので、壁側に飾る部分である後ろ側が高く（長く）なります。

このことから、日本人が想像する花束やフラワーアレンジ（ここでは、剣山や吸水性スポンジに挿し整えた作品のこととします）とは、壁（背中）側から手前に来るほど花が短くなるスタイルとなります。

花束も、花丈が長めで立体的な三角錐の形が主流となっています。

一方、欧米では、玄関や通路など合わせて、テーブルにも飾られます。
玄関や通路に飾られる花は、同じく三方見のスタイルになりますが、テーブルの真ん中に飾られることになると、テーブルを囲みなから見られることになります。

この場合は、四方どこから見ても綺麗に見えなくてはいけません。
このスタイルを、四方見（しほうみ）と言います。
四方見は、背中や正面をつくらずに、どこから見ても美しくバランスよく飾ります。

欧米の人が想像する花束やフラワーアレンジとは、三方見ももちろんですが、四方見のコロンと丸いデザインのものも含まれるのです。
家に花を飾る時には、一番にテーブルをイメージする方も多いそうですよ。

最近では、日本でもテーブルに花を飾る機会が増えてきました。
花束でもフラワーアレンジでも、四方見を飾ることが選択種に加わり、花を飾る場所をイメージして購入される方も多いと思います。

花屋として、お花のご注文をお受けする時に、先方様がどこに飾られるのかを想像することは、実はとても大切なことなのです。
スタイルによって飾り方が大きく異なるからです。

三方見は、枝振りなどを生かして大きくダイナミックにも飾ることもできます。
四方見は、大きさは同じ金額の三方見ほどにならなかったとしても、短くして飾ることで花同士がぎゅっと詰まり、隣り合うことで、豪華で可愛らしい表情を楽しむことが出来ます。

どこに飾ってもいいようにと無難に四方見を選択されますと、大きさが出しにくくなります。
また、花を贈る際には、ご用途などによって贈る方の飾りやすい場所をイメージして注文することも大切です。

洋書やインテリア雑誌、また花の雑誌などを見たりして、花を飾る場所やシーンなどをイメージしましょう。どこに飾ろうか考えることで、花を飾る楽しさがますます広がっていきます。

空間にも気分にも合わせて、花のある豊かな生活を楽しみたいですね。