秋田県にある乳頭温泉「鶴の湯」で、癒しの混浴露天風呂を体験しよう!

執筆者: izumi6688
はじめに

温泉好きなら、誰でも知っているのが秋田県乳頭温泉鶴の湯です。

 

田沢湖から北東に、車で約20分の山奥にあります。

夏と冬で、全く違う情景になるので、その両方を紹介します。

いずれも風情満点です。

 

「ここはどこ?時代はいつ?」

それが分からなくなる異次元の宿。
こんな秘湯が、日本には残されています。

 

夏の佇まい

 

小川の両脇に湯宿が並びます。

そして橋を渡って行きます。
ブナの原生林に囲まれた、山奥の一軒家で、江戸時代の建物がそのまま残っています。

 

 

宿の入口の両側には、本陣という、江戸時代の宿泊施設がそのまま並んでいます。
本陣は登録有形文化財で、秋田藩主二代目の佐竹義隆が利用しました。

 

 

江戸時代の湯治宿の映画セットのようです。電柱など人工物を一切排除して、昔のままに維持されています。
この甲斐あって、海外のドラマでも使われたこともあります。

 

 

混浴の露天風呂は、足下から自噴する白い濁り湯、温度も40〜41℃で適温です。

女性はバスタオルOKですが、入ってしまえば何も見えませんので、グループ女性客も多いです。

雨が降って少し靄がかかれば、一層風情が増します。

 

昼の時間は日帰り客が多いので、ぜひ宿泊をお勧めします。
可能なら平日に利用すれば、真価が分かりますよ。

 

3.冬の風情

 

雪に埋もれた佇まいが、何とも言えません。
この両脇の本陣の部屋は、未だに囲炉裏もあり、夕食の名物は山の芋の素朴な鍋です。

 

 

雪に埋もれた風景。

左右の建物を繋ぐ屋根付き橋と中央を流れる小川。
都会と、そして時代とも隔絶された空間と時間になります。

 

 

冬の混浴露天風呂は寒いと思われますが、さほどでもありません。
濁り湯の中は、暖かな白い加温コートを着ているようなものです。


しかるに頭は冷えてしまいますが、これが良いのです。
雪がちらちらと降る中、この大自然の露天風呂に身を任せる幸せ。
夏ほど人が多くないのも、さらに良いことです。

 

 

 

隠れたお勧めは内湯。

湯治風の湯船に新鮮な源泉が注がれます。
お湯の音だけが響く湯宿の中で、静かに瞑想が出来ます。


江戸時代も現代も、風呂の中では皆さん裸。

これはつまり、完全に同じ条件でお湯を楽しんでいることになります。

 

4.泉質・宿泊費・アクセス
280リットル/分、39-60度、pH=6.1(鶴の湯)

泉質
白湯:含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物・
炭酸水素泉(硫化水素型)
黒湯:ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
中の湯:含重曹・食塩硫化水素泉

滝の湯:含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素泉

蒸発残留物=2530mg/ℓ、内湯8、露天2


一泊二食で8,790〜16,950円。
田沢湖からバスまたは車で。

乳頭温泉郷内は、無料の循環バスが巡っています(湯巡り帖あり)。

 

おわりに

昔の湯宿その物を維持し、同じトーンで増設された宿。

そこには館主の哲学が生きています。
昔のままにするために、ある方法で外壁を統一・工夫したり、お値段も据え置き(江戸時代のままではありません)で頑張っておられて、本当に脱帽です。


源泉湧出の上に造られた混浴露天部や内風呂で、生まれたての温泉を肌で味わうことも出来ます。

 

実は、有名な鶴の湯を紹介して、また人が増えるのが、本当は悔しいのです。

しかし、日本の文化、秘湯巡りに目覚める方が増えれば良いと思います。

 

日本人ではなくても、この良さは誰でも分かるでしょう。
ここ鶴の湯は、江戸時代にワープ出来るたぐいまれな宿です。

 
 コラムニスト情報
izumi6688
性別:男性  |  

全国の秘湯を巡り、ブログ「秘湯感動紀行」で紹介しています。日本文化を考える上で温泉は一つの切り口と言えます。感動した秘湯について、何にどのように感動したかという感想を綴ってゆきます。個人的に波長の合う秘湯の紹介です。温泉が日本を代表する文化の一つで、これを日本自身が再発見し、また、グローバルにも評価されてよいと思います。
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