勤務中や通勤中に怪我をした時は?労災保険の手続き・対象者・補償給付
みなさんこんにちは。
さとう社会保険労務士事務所の黒田絵理です。
「労災保険」という言葉、どこかで耳にしたことがあるかと思います。
今日はこの「労災保険」について詳しくお話します。
正しくは「労働者災害補償保険」といい、これを短縮して「労災保険」と呼ばれています。
労災保険は、仕事中に負った怪我、仕事が原因でかかった病気、通勤中の怪我など、仕事に関係する場面で怪我や病気をした場合のことをいいます。
労災保険には2種類があります。
仕事中に、仕事が原因となって発生した怪我や病気のことをいいます。
業務上災害として認められるには「業務と病気・怪我との間に一定の因果関係があること」が必要になります。
通勤中に発生した怪我や病気のことをいいます。
この場合の通勤とは「自宅と就業場所の往復」「就業場所から別の就業場所への移動」等のことを指します。
また、通勤中に通常の通勤経路を外れて寄り道をした場合の怪我は、通勤災害とは認められません。
まずは会社へ報告し、指示を仰いで下さい。
病院を受診する際は、窓口で労災保険であることを必ず告げて下さい。
健康保険証は使うことが出来ません。
病院でかかった治療費が、全額補償されます。
労災指定病院なら、治療費を窓口で支払うことなく治療を受けられます。
(病院によっては、一旦治療費を全額立て替え、労災保険の申請書が提出された段階で返金するという仕組みを取っている場合もあります。)
労災指定でない病院の場合は、一旦費用を立て替え、労働基準監督署へ治療費を請求することになります。
また、薬局で処方されたお薬も、労災保険の補償対象となります。
労災保険による病気・怪我で、4日以上仕事を休まなければならなくなった場合、働けない間の給料の一部が補填されます。
支給される額は、平均賃金の8割です。
また、通勤災害の場合は、最初の給付から200円が、一部負担金として差し引かれることになっています。
障害補償給付、遺族補償給付、葬祭料、傷病補償年金、介護補償給付などの保険給付があります。
いずれの給付も、労働基準監督署に請求書を提出し、給付を受けます。
労働者を一人でも雇っている会社は、必ず労災保険に加入し、労災保険料を支払わなければなりません。
保険料は全額会社負担です。
また、会社で働いている労働者であれば、正社員のみならず、パート・アルバイトなど、雇用形態に関係なく誰でも補償が受けられます。
アルバイトだから労災にはして貰えないということはありません。
また、労災保険をはじめとする労働保険は「事業」を単位として適用を受けます。
労災保険で治療を受けようとすると、一旦治療費の立替が必要だったり、会社から申請書類を取り寄せなければならなかったりと手続きが煩雑なため、健康保険証を使えば良いやと考えがちです。
しかし、労災保険は治療費が全額戻ってきますし、休業した時の補償も健康保険より手厚くなっています。
また、一旦健康保険を使ってしまうと、後で労災保険に切り替える手続きがもっと煩雑になってしまいます。
さらに、本来は労災保険から給付されるべき治療費が健康保険から給付されることになると、健康保険の医療費が圧迫されることになり、結果的に健康保険料のアップにも繋がってしまいます。
労災事故に遭わないことが一番ですが、もし遭ってしまったら、会社と病院に正しく報告し、その後の治療を行いましょう。
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