職業別・腰痛を引き起こす原因と対処法!体をよく使う、立ち仕事、デスクワークなどで効果的な姿勢(座り方)やストレッチのやり方

執筆者: 西村 猛 職業:理学療法士/子どもと姿勢研究所代表/神戸ことばとからだの発達相談室【ゆず】代表
職業別の腰痛予防の仕方

前回は「腰痛症状のある方の85%の方が原因がよく分からない『非特異的腰痛』」であることと「痛いところが悪いとは限らない」こと、そして「日常の中での体の使い方も腰痛の原因になることがある」ことなどについてお話しました。


今回は「予防を考えた時に、具体的に気をつけることは何か」ということについてお話します。

 

腰痛は「予防に勝る治療なし」と言われ、どう予防するかがとても重要になるのです。
しかし、生活習慣の違いや職業の違いによっても気を付けるポイントが変わってきます。

ここでは職業別の腰痛の予防方法をお教えします。

 

 

体をよく使う仕事の方

 

大工さんのように体をよく動かす仕事の方は、仕事における体の使い方を見直すことで、腰痛の予防を行っていくことが重要になります。

つい自分の好きな方向ばかりで体を使うことが多くありませんか?

「モノを持って体を回転させるときは必ず右回りになっている」

「床からモノを持ち上げる時には、必ず左の膝をついている」など。


人はどうしても、パターン化された動きをしていしまいがちです。

このような決まった動きは、体の一側あるいは一部分ばかりを酷使することになり、その部分に負担が増えてしまいます。

 

腰においても、同じ方向への動きばかりになることで、腰の使い方がパターン化されやすくなります。

「片方には曲げやすいが、反対には曲がりにくい」「右の腰の筋肉だけが硬い」というようなことが起こってしまいます。

 

やがて、腰の筋肉の疲労が限界を超えると痛みが出現します。

また、曲がりにくい方向へ不意に力が加わると、ギックリ腰のような突発的な痛みが出現してしまいます。


可能な限り「時々いつもと違う向きで作業する」や「出来るだけ左右均等に使うようにする」など、体の使い方を工夫することで腰痛を予防しましょう。


これらの注意点は、家事動作を行う際や、スポーツを積極的に行っている方にも共通します。

時々、いつもと反対側を使ったり動かさない方向へのストレッチを入念にするなどして、腰痛や怪我を予防しましょう。


立ち仕事の方

美容師さんのように、基本的に立っていて、なおかつ激しい動きを伴わない仕事の方は、筋肉の柔軟性を向上させることが腰痛の予防につながります。

真っ直ぐに立つことは、座っている時よりも背骨(腰椎)への負担は少ないため、デスクワークの人に比べると腰痛のリスクは少なくなります。

 

しかし、立っている時には体のある部分の筋肉が活動を続けています。

その部分とは「体の背面の筋肉」です。

 

基本的に人の体の前面にある筋肉は活動にとって必要な筋肉で、背面にある筋肉は姿勢保持にとって必要な筋肉です。

 

背面の筋肉とは「ふくらはぎの筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋)」「太股の裏の筋肉(ハムストリングス)」「お尻の筋肉(大殿筋、中殿筋、小殿筋)」そして「腰の筋肉(脊柱起立筋などの背筋)」です。

 

腰痛予防のためには、これらの筋肉のストレッチをするなどして柔軟性を保っておくことが大事になります。

 

その中でも、特にお尻の横(外側)に位置する中殿筋は、真っ直ぐ立つ時に良く使う筋肉です。

この筋肉が疲労し、硬くなってくると腰に痛みを引き起こします。


立ち仕事をしていて腰痛が強くなってくる方は、中殿筋に硬結(筋肉が部分的に硬くなったもの)ができているかもしれません。

 

 

テニスボールなどを使って上図の硬結ができやすい部分を押さえてみましょう(指でもOKです)。

この部分が痛む、あるいは腰に痛みが響くようなら、簡単に治療をしてみます。

20秒程度の圧迫を続け、その後離す、ということを数回繰り返してみて下さい。

 

痛い方を下にして寝てテニスボールを置き、体重を利用して上記の方法で圧迫して下さい。数回圧迫するだけで十分です。

 

初めは痛みが強くあるかもしれませんが、何度か繰り返していると徐々に痛みが軽くなってくると思います。

それを1日に何度か繰り返すことで、やがて腰の筋肉に出ている関連痛も、軽減してくるはずです。


デスクワークの方

一日の大半を机に向かって仕事をしている方が留意するべきことは、座位姿勢です。
机の上にパソコンを置き、終日パソコン画面に向かっている方も多いと思います。

 

その場合は、パソコン画面の位置にも留意する必要があります。

ほとんどの方が背中が丸くなり、顔を少し突き出した姿勢になっていると思います。

 

特にノートパソコンは、モニターの位置がデスクトップパソコンに比べ低い位置になるため、さらに猫背と顔の突き出しが酷くなります。

 

また同時に骨盤も後ろに倒れた状態(後傾といいます)になるため、時間の経過とともに、さらに猫背が進むという悪循環になります。


猫背は腹筋を短縮させることになり、やがて腹筋に筋硬結を発生させます。

この腹筋の筋硬結は、腰部に関連痛を引き起こします。

それと同時に股関節の付け根にある腸腰筋(大腰筋と腸骨筋)も、座りっぱなしだと短縮したままになります。

この筋肉も、硬くなると腰に痛みを発生させます。

 

適切な座位姿勢をとることと、これらの筋肉が硬くなることを予防することが腰痛予防の第一歩になります。

 

腰痛が起きにくい椅子の座り方

腰痛が起きにくい椅子の座り方は、次の通りです。

 

椅子の座面の後ろ半分くらいに、座布団を二つ折りにした程度のものを置き、その上に座るようにします(お尻の後ろ半分だけを嵩上げします)。

 

それにより骨盤が起きやすくなり、背骨が上に伸びやすくなります。

 

また、バスタオルを丸めたものを、背もたれの腰のあたりに挟み、背骨(腰椎)を少し前弯させると良いでしょう。

足はしっかりと床につけて下さい。


ノートパソコンを使っている場合は、パソコン全体をかさ上げして、出来るだけ画面の高さが目の位置に近くなるように調整しましょう。

可能であれば、ノートパソコンの置く位置は出来るだけ高くして、キーボードは外付けのものを使うと、より効果的です。

 

腰痛予防のストレッチ方法

また時々椅子から離れ、立った状態で背中を反らして腹筋を伸ばしたり、足を片方ずつ後ろに伸ばし、股関節の付け根の腸腰筋をストレッチする(下図のようにアキレス腱のストレッチの位置で同時に股関節も反らします)と、腰痛予防に効果的です。

 

 

まとめ

腰痛は普段の生活と非常に関係が深いです。

逆に言うと、日常生活の中で体の負担を考慮し、適切な姿勢や体の使い方をすることは、腰痛を予防することにつながるのです。


さあ、腰痛予防のために、今日から出来ることを始めてみましょう。

 
 コラムニスト情報
西村 猛
性別:男性  |   職業:理学療法士/子どもと姿勢研究所代表/神戸ことばとからだの発達相談室【ゆず】代表

■子どもと姿勢研究所代表。
子供の姿勢や体の発達の仕組みや取組方法について、医学的視点をもとに、どなたにも分かりやすくをモットーに情報発信しています。保育士さん向け情報も。姿勢や体作りに関する講師依頼もお受けしています。
http://kodomotoshisei.kokage.cc

■神戸ことばとからだの発達相談室【ゆず】代表
言葉や体の発達に不安があるお子さんとママさんのための相談室です。
言語聴覚士や理学療法士といった、国家資格を持つスタッフがお子さんの発達を評価し、必要に応じて個別レッスンをするスタイルの教室を運営しています。
http://yuzu-kobe.jp

■「ムズカシイ医療の話を分かりやすく伝える」がモットーです。
こちらのコラムでは姿勢や動作のプロとして、身体のこと、健康のこと、姿勢のことなどについて「そうだったんだ」、「それは知らなかった」などあなたの日常に役立てていただけるようなコラム記事を書いていきたいと思います。
あなたが「普通」と思っていたことが「実は少し違っていた!」というお話が、きっとそしてたくさん出てくると思います。

■業務における講師活動
・武庫川女子大学文学部心理・社会福祉学科「リハビリテーションと障害について」(平成22年~平成25年、27年 フィールドインストラクター講義)
・高齢者への健康教室、生活介護施設での介護方法などの指導、小学校における車いす啓発、その他。

■取材・出演依頼
・関西テレビ「ANCHOR」:けん玉が体に及ぼす効果について
・テレビ朝日「中居正広のミになる図書館」:ストレッチの効果について
・スポーツをする子どもを応援するフリーマガジン「Spody α」:「体幹はカラダの基本」ページ記事
・その他(雑誌などのライターさんからの取材等)

■日本うんこ学会所属

 

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