ストレッチのウソ?ホント?ストレッチを行う時間帯や頻度、効果的な使い分けなど
理学療法士が解説!柔軟運動は朝と夜どちらが効果的?ストレッチすると痛いなど、ストレッチの疑問ポイントを一挙解明!筋肉を伸ばして健康に役立てましょう。
こんにちは、理学療法士の西村猛です。
「柔軟性は良い姿勢の基本です」、「身体が柔らかいことは子どもの成績にも関係します」、「ストレッチで肩こり予防!」というように、ストレッチがもたらす効果や具体的な方法といった情報はよく目にされると思います。
ただ、ストレッチの仕組みや注意点について詳しく書いてあるものは少ないと思います。
そこで今回は、ストレッチの種類とポイントについて説明したいと思います。
ストレッチとは筋肉を伸ばすことですが、その方法はいろいろあります。
その代表的なものをご紹介します。
筋肉の端同士(起始と停止といいます)を引き離す方法。最も一般的で普通ストレッチといえば、この方法を指します。
筋肉を引き伸ばした状態で20~30秒程度止める方法です。
息は止めずに、深呼吸をしながら行うのが効果的です。
筋肉そのものを上から圧迫することで、目的の筋肉を伸ばす方法です。
ピンと張ったゴムを上から押さえると、押さえた分だけ下に伸びますね。圧迫伸張はこれと同じ機序です。
自分で圧迫ができない場所であれば、ボールを使ったり、他の人に圧迫して貰ったりします。
この方法は関節の屈伸運動を伴わないストレッチのため、関節を動かすと痛みがある場合などに有効です。
自分の筋収縮を利用した方法です。
筋肉には最大の力で収縮させ、その後一気に脱力させると緩むという特徴がありますが、その特性を利用した方法です。
伸ばしたい筋肉を収縮させ、一気に脱力します。
ホールドリラックスは、PNFという理学療法士の使うテクニックの一つです。
一般の方が簡単に出来るものではないのですが、例えば肩をグッとすくめておいて、ストンと落とす方法がよく肩こりの改善方法として紹介されていますね。これはホールドリラックスを応用したやり方です。
このストレッチは力を入れて筋肉を収縮させることが必要なため、力を入れると筋肉に痛みが出る人や血圧の高い方にはお勧めできませんのでご注意ください。
筋肉は、瞬間的にストレッチがかかると逆に筋肉が切れないように守ろうという反応が出ます。
これを伸張反射といいますが、それにより余計に筋肉は固くなってしまいます。
その状態で運動を始めてしまうと、筋肉にストレスがかかりやすくなるだけでなく、最悪の場合は筋断裂に繋がる危険があります。
体育の時間にアキレス腱を「ピッ!ピッ!ピッ!」という笛の音に合わせ、反動をつけて伸ばしたりしたものですが、あれは逆効果だったのですね。
反動をつけないようにしましょう。
眠っている間、軽い寝返りくらいはしても基本的にはじっとしていますよね。
筋肉や関節は、動かさずじっとしていると硬くなるという特徴があります。
そのため朝一番は一日のうちで一番体が硬い状態です。
例えば、朝起きた時に腰が痛くても動き出すと痛みが治まってくるという経験をされた方もあるでしょう。これは寝ている間に硬くなっていた筋肉が起き上がって動くことでほぐれ、それが痛みの軽減に繋がっているということです。
そのため、朝起きてすぐのストレッチは、体を動かすための準備としてはいいのですが、筋肉を伸ばす・柔軟性を向上させるという視点で考えると効果的ではないと言えます。
一番良いのは、夜の入浴後から就寝までの間です。
入浴により体が温められた状態は筋肉も一番リラックスしており、なおかつ就寝までの時間というのは、気持ちも落ち着いてきている時間帯です。
活動しているときは交感神経が活発ですが、お風呂に入って精神的にもリラックスした状態の時には副交換神経が活動します。
その時間にゆっくりとストレッチをすることで、より副交感神経が刺激され、心地よい眠りに繋がりやすいのです。
また、寝る前のストレッチは一日使って疲労した筋肉のメンテナンスとしての効果もあることからもお勧めです。
このことから、ストレッチに効果的な時間は寝る前と言えるでしょう。
ストレッチをして痛く感じる位置が、筋肉の張りの限界値です。
これを超えてのストレッチは筋肉の損傷を引き起こすことに繋がりますから、止めておくほうがいいでしょう。
多少痛くても、「会話が普通にできる程度の痛み」なら問題ありません。
元来痛いという感覚は体から発せられるメッセージです。
つまり「これ以上するとよくないよ」という体からの言葉のようなものです。
よく「痛いのを我慢してこそよくなる」という話を聞きますが、むしろ逆効果です。
痛みが出ない程度でストレッチしましょう。
ストレッチをすると筋肉はある程度柔らかくなります。
ところが問題なのは、筋肉はまたすぐに硬くなろうとする特性があることです。
ですから硬くなる前にまた伸ばすということが必要です。
まさに3歩進んで2歩下がるですね。
例えばまとめて10歩進んでも(一週間まとめてストレッチしても)、しばらくしていないと10歩後戻りしてしまうのです。
毎日するのが最も効果的です。
目的や体の状況によってストレッチの方法を使い分けることが大事です。
もし関節を動かすと痛みがある場合は、圧迫伸張もしくはホールドリラックス。
力を入れると筋肉に痛みが出る場合は、静的ストレッチや圧迫伸張が最適な方法になります。
ストレッチでしてはいけないことは、反動をつけることと、痛みを我慢して行うことです。
ストレッチに一番適した時間は、入浴後でかつ就寝前です。朝一番は効果的とはいえません。
そして毎日少しずつ続けるほうが効果的です。まとめて行ってもあまり効果的ではありません。
これらのことを踏まえ、症状に合った正しいストレッチを行うようにして下さいね。
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■株式会社ILLUMINATE代表取締役
子どもの発達と子育てを応援する会社。
https://illuminate-kobe.co.jp
■こども発達LABO.共同代表
YouTubeチャンネル「こども発達LABO.」では、言葉と体の発達に関すること、発達障害のある子どもへの手立てなどについて発信しています。
https://www.youtube.com/channel/UCAaMVv5UrovrhAtaWVerWrQ
■子どもと姿勢研究所代表。
子供の姿勢や体の発達の仕組みや取組方法について、医学的視点をもとに、どなたにも分かりやすくをモットーに情報発信しています。保育士さん向け情報も。姿勢や体作りに関する講師依頼もお受けしています。
http://kodomotoshisei.kokage.cc
■日本で一番、保育士さんを応援する理学療法士
会社の代表をしながら、全国各地の保育園・幼稚園で、、保育士さん向け講義を実践しています。
また保育園コンサルタントや巡回相談事業への参画など、裏方として保育士さんをバックアップする仕事もしています。
■メディア
NHK「あさイチ」出演/テレビ大阪「やさしいニュース」出演/テレビ朝日「グッド!モーニング」出演/神戸新聞「まいどなニュース」記者/教育機関向け雑誌「私塾界」/関西テレビ「ANCHOR」/テレビ朝日「中居正広のミになる図書館」/読売新聞/スポーツをする子どもを応援するフリーマガジン「Spody α」/Latte column/子供とお出かけ情報「いこーよ」/エキサイトニュース/mybest/その他、テレビ番組企画や雑誌などのライターさんからの出演依頼・取材等多数。
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