ダージリンティの美味しい入れ方と、アレンジティーの飲み方 (1/2)

執筆者: 森の紅茶人 職業:自営(紅茶教室・紅茶販売・ティサービス)
はじめに

日本人に人気のダージリンティ。
名前の響きも良いですね。
「ファースト・フラッシュ」や「セカンド・フラッシュ」と、口にすると紅茶通の気分になってしまいます。
ましてや、茶園名を言うともう専門家の雰囲気。
香り高い紅茶で、楽しいティータイムが過ごせます。


今回は、紅茶の王様ダージリンティを紹介いたします。 

 

 

ダージリンとは

ダージリンは、ざっと言えば北インドヒマラヤ山麓ふもとの高地一帯の地域を指します。
詳しくは、インド西ベンガル州の最北端、ブータンネパールに挟まれた高原地帯。

 

チベット語で、ダージリン(Darjeeling)とは、Dorji (ドルジ)と Ling(リング)が合わさった名前。
ドルジは雷神の意味、リングは土地の意味です。
よってダージリン(ドルジリング)は、チベット語で「雷神の土地」の意味となります。 

 

ダージリンの発展

大英帝国の植民地であった時代のインドには、「東インド会社」がありました。
その会社職員でカルカッタ(今のコルカタ)に住む人々には、最初は高原の保養地(避暑地)がありませんでした。


何しろ暑い国に滞在している英国人にとって、避暑地は天国と言って良い場所。
そこで、山奥のドルジリング(ダージリン)に白羽の矢が立ちました。
それまで、ここはほとんど人の住まない山林地帯でした。

 

今では世界遺産となっている鉄道などの開発開始

1829年にヒマラヤの探検家としても知られていたJ.W.グラント知事がG.W.ロイド大尉と共に、この地へ調査に来ました。
そして1838年から開発が始まります。

1842年にはシリグリ~ダージリン間の道路が完成し、さらに1869年に馬車の通れる道が出来ました。


≪トイ・トレインToy Train(ダージリン・ヒマラヤ鉄道)≫は、1881年に全線開通。

今では、世界遺産となってます。 

 

 

ダージリンティの歴史

1841年、ダージリンの東インド会社初代管理官D・A・キャンベルが、自宅の庭に中国種の茶樹を植えました。


1823年に存在が知られ、1835年に茶樹の一種だと認められたアッサム種ではありませんでした。
ダージリンの気候(昼夜の寒暖差が激しい)と風土が、中国種の茶樹に良く合いました。


そして1874年までに113の茶園が開設されました。
標高500m~1800mの土地に、現在は83前後の茶園が存在しています。
茶樹も古いものが多く、茶園経営も困難なところも出ています。

 

一部の茶園は、有機紅茶などに転換して存続しています。
大事なことは、農産物ですから、過去に最高の品質の紅茶が製造されたからといって、その茶園が毎年同じ高品質な紅茶を製造するとは限りません。

色々な要因で出来具合は、毎回違ってきます。 

 

ダージリンティの特徴

特にダージリンティは、シーズンによって茶葉が違います。
そして、その年の出来た順番から通しロット番号を付けて、オークションで競り買いしていきます(例:DJ-1、DJ-2、、、)。
また近年は、プライベート取引で、茶園と契約して購入する場合も有ります。

 

1番摘みの特徴

3月~4月の1番摘み(ファーストフラッシュ)では、外観は緑茶のような浅緑色の茶葉とチップ(芯芽)が混ざっています。
発酵が進まず緑茶に近いのです。

水色も淡いオレンジ色で、香味も緑茶に似た渋みがあります。

 

冬には休眠していますから、その年の初めてのダージリンティ。

故に「紅茶のボジョレーヌーボー」とも呼ばれます。

 

 

2番摘みの特徴

5月~6月の2番摘み(セカンドフラッシュ)では、茶葉は茶褐色の外観です。

その中で良質なものは、≪マスカテルフレーバー(葡萄のマスカットのような香り)≫を有し、重宝されます。


なぜその香りを有するのか、色々な説が有ります。
昼と夜の温度差が激しいので、霧が発生し、その為独特の香りが形成されるとか、グリーンフライというウンカ(虫)の一種が茶葉をかじるところから生じるとか。


実際は、気候(温度差による霧、雷と雨が多い)や土壌、風土の総合的な要因で、独特の香りが形成されます。
高級紅茶、紅茶の王様と言われる訳です。

故に「紅茶のシャンパン」とも呼ばれます。

 

 

秋摘みの特徴

9月~10月の秋摘みも2番摘みのような茶褐色をしています。

秋摘み茶の中で、2番摘みのような香りの良いものが少量出来ます。
但し大体は、風味が劣るのでブレンド用になります。 

 

 

ダージリンティは、リーフティの場合、良い香りを抽出させるため、7mm~12mmのオレンジ・ペコー(以下OPと略)タイプの大きな茶葉にしているケースが多いです。

 

ダージリンティの美味しい抽出

ティーバッグもリーフティも、『ゴールデン・ルール』に従って抽出いたします。
一番大事なのは、香りを活かす抽出。

香りを楽しむため、まずはストレートティを味わいます。

その為には、ティーバッグだと1分30秒を目安に蒸らします。
リーフティの場合は、目安は大型の茶葉OPでストレートティの場合3分です。

もちろん、どの紅茶もミルクティにして美味しいですが、ダージリンティの場合「渋み」がありますので、ミルクティの場合プラス1分~2分蒸らす時間を足します。

ですから、大抵のリーフティOPでは、ミルクティの場合4分~5分となります。

 

ダージリンティは、レモンティにはしません。

折角の香りがレモンの香りで台無しになってしまいます。
また、ダージリンティの「渋み」と合いません。 

 
 コラムニスト情報
森の紅茶人
性別:男性  |   現在地:名古屋市  |   職業:自営(紅茶教室・紅茶販売・ティサービス)

長年大手紅茶会社勤務。紅茶専門店勤務(大阪・名古屋)経験有。
2012年から独立し、大手紅茶会社時代の仲間が立ち上げた紅茶ブランドRegent Garden Tea と Royal Walton Tea で紅茶教室・ティーサービス実施。またそのブランド紅茶を委託販売。
活動地区は東海(愛知県、岐阜県、三重県)と北陸(石川県、福井県、富山県)
ブログ名【紅茶雑館】http://morikawa201205.blog.fc2.com/
 *ブログは毎日UPしています。
ホームページ【紅茶館M's tearoom】http://morikawa201208.jimdo.com/
  *紅茶活動全体が判ります。

 

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