相談できない環境が、いじめ悪化を促す?イジメを真の解決へと導くための対処法 (1/2)

執筆者: 中西ふじよ 職業:自営業主
はじめに

こんにちは、Office☆Fujiyo代表の中西ふじよです。


私には、教師として忘れられない生徒がいます。

彼女については、講演会などでも話させて貰っています。

「14歳で抱えていた10年分のいじめ」、これがテーマです。


彼女との出会い

彼女に出会ったのは、彼女が中学2年の時。

担任として出会いました。

持ち上がりではない私にとって、全ての生徒と初めての出会いを迎えた4月でした。


出会ってすぐに、彼女の周りの空気感が違うことを感じました。

いつも1人ぼっち。笑っていても目の奥が寂しそう。

休憩時間になると、本を出して読んでいる、そんな毎日が続いていました。

しかし、そんな彼女も、私が1人で教室にいると笑顔で話しかけてくれる、明るい一面もありました。



5月になり学校全体が体育祭の準備で盛り上がってきた頃のこと。

多くの生徒は、応援合戦やリレーの練習に熱が入ります。

そんな中、彼女の表情は重く暗く、とても気になりました。


いつも小さい便箋を持ち歩いていたので、すぐに彼女に手紙を書きました。

「とても暗い表情をしていたけれど、大丈夫?」と、他の生徒には分からないように手渡しました。
すると、その日の夕方、彼女が勇気を出して学校に電話を掛けてきてくれました。

「先生、あのね…」から始まった彼女の心の叫び。

そこから彼女との二人三脚が始まりました。

耳を傾けてしっかり聞くことの大切さ

電話で心の中を吐露してくれてからの彼女は、別人のように、今までのことをたくさん話してくれました。


保育園時代から受けていたいじめ。

母親にすら見捨てられたという思い。

保育園の先生に相談しても、小学校の先生に相談しても治まらなかったいじめ。

スクールカウンセラーさえ、いじめを止められなかったのです。

10年分の思いを、2週間くらいかけて聞かせてもらいました。

受けていたいじめを書き出せば、キリがない程です。

 

思い出して悲しくなると、携帯に電話を掛けてくれるようになりました。

「いつ、掛けてきても良いからね」と投げかけておいたからです。

10年の間、誰にも言えなかった言葉を次から次へと吐き出すことで、何故か少しずつ、彼女の内にパワーが溜まっていくのを感じました。

周りの生徒の変化

多くの教師は、いじめと聞くと誰から何をされたのか、と警察官のように聞きます。

しかし、そんなことはしませんでした。

彼女をいじめていた生徒の名前は、彼女の口から聞いて知っていましたが、いじめていた生徒達とも普通に接するよう努めました。

 

いつの間にか、休み時間になると彼女が私の所に来て、少し笑顔で話す姿も教室内で見られるようになりました。

その彼女の変化に、周りの生徒はビクビクしていたようです。
「先生は、私達がいじめをしているのを知っている。」

そう感じていたと、いじめた生徒達が後から話してくれました。

 


6月、彼女が私に話してくれてから1ヶ月が過ぎようとしていた頃のことです。

いじめをしていた生徒が、自分達から歩み寄ってきてくれたのです。

「先生、ごめんなさい。私達、○○さんにずっといじめをしてきました。先生はもう知っていますよね」と。
その日から、いじめをしていた生徒達の心のケアも始めました。

 
 コラムニスト情報
中西ふじよ
性別:女性  |   現在地:愛知県豊田市  |   職業:自営業主

豊田市に在住しています。豊田市内の公立中学校で28年勤務。その後、退職しOffice☆Fujiyoの代表となり、各種相談(いじめ・不登校・虐待・対教師不信など)や教育講演会を行っています。また、ハンディキャップを持っているお子さんの自立をサポートする福祉イベントも豊田市内で開催しています。