登山時、毒ヘビに噛まれたら?マムシ・ヤマカガシ・ハブの特徴と対策

執筆者: 秘境通のなべ
はじめに

前回、山岳で遭遇する危険動物として、ヒグマとツキノワグマを特集しました。

しかし、気を付けるべきなのは、もちろん熊だけではありません。

 

今回は、年間2000人以上の被害が出る毒ヘビの対処法・予防法を紹介します。

 

 

日本に生息する毒ヘビの分布

日本には3種類の毒ヘビが生息しています。

 

マムシ

最も一般的なのはマムシ。

全国に分布しており被害例も多く報告されています。

 

ヤマカガシ

ヤマカガシは、北海道を除く本州全般に生息。

以前は無毒と言われていましたが、昭和40年代に死亡例が報告され、調査の結果、毒ヘビだと判明しました。

 

ハブ

ハブは、沖縄県鹿児島県に生息しており、被害例が毎年報告されています。

生息域の多いマムシとヤマカガシの特徴

広く生息するマムシとヤマカガシの特徴を見ていきましょう。

 

マムシの特徴

マムシは、ハブより毒性が強く、まともに咬まれれば大人でも危険。

年間数人の死亡例があり、対処法が重要になります。

 

  • 体長は太くて短く50㎝~1mくらい、背中に銭形の斑点があり、三角形の頭部が特徴。
  • 生息地は主に湿地帯、沢などの岩場、草むらの日陰、登山道、海岸沿いの岩場と幅広い。
  • 夜行性。
  • 性格的には臆病。

 

生息場所も多岐に渡るのでやっかいな存在です。

ただ、ガサガサ音を立てたり、棒などで草木を退かしながら進めば、大抵は逃げて行くそうです。

 

ヤマカガシの特徴

アオダイショウと間違うことも多く、無理に捕まえようとして咬まれるケースも多いようです。

毒性はマムシ以上に強くなります。

 

アオダイショウ

 

  • 体長はやや細身の70㎝~150㎝くらい、赤と黒のまだら模様と黒化型の主に2種類ですが、まれに白黒や褐色などもあり、頭部は丸い。
  • 本州では、田畑などにも多く潜んでいる。
  • 性格的にはマムシ同様に大人しく、咬まれても毒を注入することは少なく、被害例があまりない。

 

被害の多いケースと予防法

よくある被害のケースと、ヘビに襲われないための予防法をご紹介しておきます。

 

尾に注意

いずれのヘビでも多くある被害ケースは、誤って踏んでしまい、防御反応で咬まれること。

ヘビは、体長と同じくらいのジャンプ力があるので、尾を少し踏んだだけでも振り向きざまに襲ってきます。


また、かま首を上げる攻撃態勢を取るため、ここで離れれば襲われることはありません。

ヘビは目が悪く、舌を触覚代わりに温度に反応して襲って来るためです。

 

アオダイショウのかま首

 

服装

帽子と長袖の服、足首までのハイカット靴、長ズボンとスパッツ、軍手が基本。

肌は露出しません。

 

マムシ撃退法

マムシの弱点は、尾を踏まなければ背後はほぼ無警戒なこと。

真横は攻撃圏内なので危険になります。

 

後ろから棒などで頭部付近を押さえれば捕まえられるようで、かま首を上げた攻撃態勢の時も有効だそうです。

 

ヤマカガシ回避法

ヤマカガシは、近付くと後ろ向きでかま首を上げるケースもありますが、刺激しなければ逃げて行くと言われています。

 

もし、噛まれてしまったら…

まずは落ち着いて患者を休ませ、安心させましょう。

血清は数時間後でも有効です。

 

  1. 傷口の上辺りを、タオルなどできつめに縛り、毒の進行を止めます。数分に1回程度、緩めてからまた縛りましょう。
  2. 吸引器になるようなもので毒を吸いだせる場合、行います。やむを得ず口で吸い出す場合、口内炎や傷などがないことを確認し、吸い出した後は口を水やお茶でよくゆすぎます。
  3. 消毒液などがあれば、傷口を洗う。

 

あくまで応急処置なので、一刻も早く医療機関へ移動することが必要です。

それまでは身体を冷やさず、水分を多めに摂取しましょう。

 

おわりに

もし、毒ヘビに遭遇してしまっても落ち着いて行動を。

素人は、無理な冒険は避け、離れるのが一番と言えるでしょう。

 
 コラムニスト情報
秘境通のなべ
性別:男性  |  

北海道を中心に、地底の鍾乳洞から山奥に眠る滝や秘湯、遺構(炭鉱、鉱山跡)など誰もが行けない秘境を探検する、あくなきチャレンジャー。
気力、体力、技術に大事なのは時の運、単独行は危険です決してマネはしないでください。

 

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