喉の詰まり、張りつきはストレスが原因かも。喉の違和感に効果的な漢方薬
こんにちは、薬剤師の田伏将樹です。
風邪でもないのに、いつも喉に違和感のある方、いらっしゃいませんか。
今回は、そんな症状に効く漢方をご紹介します。
不安、緊張などストレスを感じた時、よく咳払いをする方がいます。
好きな事をしている時には何ともない。
しかし、気分が落ち込んでいる時や仕事をしている間だけ、喉に何かが詰まった感じがする。
喉の不快感がずっと気になり、酷い時には首を絞められたように息苦しくなることもあるでしょう。
実際に食べた物が喉につかえている訳でもなく、内視鏡の検査でも、炎症などの異常は見つからない状態です。
上記のような症状は、色々な呼び方がされています。
西洋医学的な症状名では「咽喉頭異常感症(いんこうとういじょうかんしょう)」や「ヒステリー球」と言います。
几帳面で神経質な人に起こりやすいとされています。
漢方的言葉では、梅干しの種が喉に詰まったような「梅核気(ばいかくき)」、または炙った肉が喉に貼りついているような「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)」と表現します。
いずれも、吐き出そうと咳払いしても吐き出せず、飲み込もうとしても飲み込めない異物感です。
原因は何なのでしょうか。
漢方では、ストレスの影響で「気」の巡りが悪くなって起こる症状と考えています。
気は、過不足なく体全体を巡っているのが健康な状態。
気の巡りが悪くなると「気うつ」または「気滞」という病態になります。
喉の感覚異常も、この気滞が原因です。
気滞のある場所によって、症状が異なってきます。
- 食道や咽頭部にある:喉の異物感や不快感
- 胸部にある:胸のつかえ、息苦しさ、咳
- 胃にある:悪心、げっぷ、膨満感
- 頭部にある:不安感、抑うつ感
上記の症状に一番適するのは「半夏厚朴湯」(はんげこうぼくとう)です。
半夏・茯苓・生姜・厚朴・蘇葉という5種類の生薬が含まれます。
実際に、風邪の後、喉の症状だけが残ってしまった時にも使える漢方薬ですが、厚朴と蘇葉が配合されていることで、特に気うつによる症状に効果的です。
薬膳でも、滞っている気を巡らせるには、香りの良い食材が適していると言われます。
厚朴(コウボク)はモクレン科のホウノキの樹皮、蘇葉(ソヨウ)はいわゆるシソの葉で、ともに香りが良い生薬です。
神経の緊張を和らげ、塞いでいる胸の「気」を下します。
症状に合わせ、他の漢方を併用すると良いでしょう。
- ストレスの期間が長い、ストレスの度合いが強い時:「小柴胡湯」(しょうさいことう)
- ストレスが胃にきて、お腹の張りがある時:「茯苓飲」(ぶくりょういん)
- 咳が多い時:「麦門冬湯」(ばくもんどうとう)
半夏厚朴湯は身体を少し乾燥させる働きがあるので、体に必要な水分や血液が不足している方にはお勧めできません。
高齢者や虚弱な体質の方は、厚朴の含まない「香蘇散」(こうそさん)が良いでしょう。
蘇葉(ソヨウ)と共に、香附子(コウブシ)、陳皮(チンピ)というやはり香りの強い生薬が入っています。
喉が痛いけれど、薬を飲むほどでもないといって、放置しないようにしましょう。
気滞の状態になると、体のあちらこちらに異常を来たしてしまいます。
ご注意下さいね。
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