全員参加の研修に給与・残業代は出る?企業が知っておくべき労務管理
こんにちは、さとう社会保険労務士事務所の堀真寿です。
今回は「研修時間は、労働時間に該当するのか?」について、考えてみたいと思います。
労働時間は、次のように定義されています。
加えて、仮に指揮命令下に置かれたものと評価できる場合であっても、社会通念上必要と認められる範囲内でのみしか労働時間になりませんので、注意が必要です。
新入社員研修など、会社が従業員に強制参加を義務づけている場合、研修を行った時間はすべて労働時間にあたります。
任意参加の研修であれば労働時間とはなりませんが、のちに参加した者だけを加点評価することがあると、間接的に参加を強制したこととなり、労働時間とみなされます。
従業員に「研修終了時刻を超えたとしても、その課題を完成させ、その日中に提出させること」を会社が義務づけている場合は、指揮命令下に置かれていると判断し、原則として労働時間にあたると判断します。
翌日の研修の発表に備えて宿題事項が与えられた場合や、会社が従業員に議論させ、その結果を取りまとめた内容の発表を指示した場合、指揮命令下に置かれていると判断し、原則として労働時間にあたると判断されます。
※1と※2の件については、課題提出が遅い、準備時間が長くかかるなどの場合、社会通念上必要と認められる範囲を超えて行われている時には、その超えた範囲の労働時間性は否定されます。
過去実施してきた研修が、そこまで時間を要しないにもかかわらず、例えば深夜までかかった等であれば、その時間は労働時間としてカウントはしなくて良いでしょう。
実際は、各自の部屋で発表の準備(宿題)をやらせるのではなく、研修を行う会議室などで、時間を区切って行わせるのが、労務管理では妥当だと考えます。
上記以外の自主的に学習した時間は、労働時間になりません。
学習意欲のある従業員ですが、会社が指示していないにも関わらず、自主的に学習した時間は、指揮命令下にはないため、労働時間にはなりません。
研修については、どの企業様でも行っていることだと思います。
最近は、高度な内容の研修も増えてきていると聞きます。
新入社員や未経験者のための研修だと、課題が終わらなく残って作業するケースもあることでしょう。
研修のための費用・時間は会社が負担しているのに、残業時間が発生しますと言うと、クライアントの社長にはお叱りを受けるかもしれませんが、現場に従事されている人事担当者様につきましては、研修時間と労働時間の関係性について、ご理解頂ければと思います。
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