こんにちは、人事戦略コンサルタントの藤田美智です。

自分自身を評して「何の特技も無く、そのうえ趣味も無い」などという表現を耳にすることがあります。
謙遜しているのかと思いきや、本心からそう思っている人も結構多くいます。

気が付いていないだけで、人には何かしらの特徴が必ずあるはずです。

そこでよく聞くのは、「話し上手な人は対人業務に向いていない」「聞き上手な人は仕事のできる人である」という話です。

かなり穿った見方かもしれませんが、話をアドリブ的に面白おかしく進められる人は、基本的に周囲の話にあまり耳を傾けていないケースが多いように思います。

良い対話をしているような雰囲気を醸し出しているかもしれませんが、神経の大半は自身の話すことに向いていて、相手の話の中身を咀嚼することには力点が置かれていません。

ですから話しの上手い人は、プレゼンテーションやスピーチは上手にこなします。

ですが、対話という点において優れているかというと、そうでもない場合も多いのです。

なぜ聞き上手な人は、仕事のできる人なのでしょうか。
それは、仕事の大方は聞くことから始まるからです。

• 上司からの指示内容を聞く
• お客様からのオーダーやクレームを聞く
• プロジェクトの進捗具合が芳しく無いので、メンバーから意見を聞く

例を挙げればきりがありませんが、たいていの仕事は話すことよりも聞くことからスタートするのです。

そして私の感覚では、特技が無いという人の多くは、話を聞くことに長けている場合が多いという気がしています。

エピソードが2つあります。

「あなたが好きな人を何人か挙げてください」という問い掛けに対して思い挙げた人を考えてみると、その人は聞き上手な人である、という話です。

あなたにも当てはまりませんか？

そしてもう1つです。
それは「営業で最も大切なことは、商品を売り込んではいけない」という話です。

商売の基本は、お客様の抱える問題を解決することにあります。

まずはお客様の立場に立って、「どういったことで困っているか？」「どのような悩みを抱えているか？」「欲していることは何か？」を聞くことから始まります。
その解決策として、自分たちが持っている商品やサービスが役に立ちそうなのであれば、そこから初めてこちら側の話をスタートさせなくてはいけません。

つまり、聞けなければ提案はできないのです。

聞き下手で話し上手の営業マンは、極端な言い方をすれば押し売りになりかねないということです。

この2つの話を合わせると、『聞き上手→好きな人→好かれる営業マン』というフローが出来上がります。
なんと素敵な話ではありませんか。

話を聞くことが上手という特徴・特技を持っている人は、人生を楽しめて、成功する人であるといっても過言ではないでしょう。

いろいろと表現はあると思います。

発言は必要最低限のことだけにして、あとは相手から気持ちよく話を聞きだすかが大切だということになりそうです。

欧米化が進む現代日本では、プレゼン上手がビジネス上手のような風潮が幅を利かせているようにも思えます。

しかし控えめな人の方が、面接していても好感を持つ場面が多いのです。

ここぞとばかりに話しまくる人は、「もう結構ですよ」と言われてしまうかもしれません。

面接という場においては、自分の意見をしっかり持っていることはアピールしなければなりません。

ですので、極端に控えめすぎる印象はマイナス点になってしまいます。

アピールする点については、具体的事例を交えて「聞き上手」であることをぜひ加えてみてください。