【大人の発達障害】アスペルガー症候群による、仕事やうつ病の悩み事例

発達障害傾向がある大人の事例。頻繁にうっかりミスを犯し、転職を繰り返す男性。うつ病と母親との関係に悩む女性。どれも原因は、発達障害傾向(ADHD”注意欠陥多動性障害”、アスペルガー症候群)にありました。カウンセリングの内容を見ていきましょう。

執筆者: 土田くみ 職業:医療カウンセラー
発達障害傾向あり。仕事・うつ病の悩みをカウンセリングで緩和した事例

皆さん、こんにちは。医療カウンセラーの土田くみです。


前回のコラム「発達障害「アスペルガー症候群」大人のアスペルガーによくあるコミュニケーショントラブルと対応方法」にて、発達障害傾向(アスペルガー症候群)の方がご自身で気がついて対応することが、対人関係や夫婦関係の改善につながった事例を取り上げました。

 

今回も引き続き、ご自身で気づいて対応することにより、仕事やうつ病の悩みを緩和した事例をご紹介します。

 

 

Aさん(35)は、頻繁にうっかりミスを犯し、職を転々としていました…

Aさんは35才。

大学を卒業したのち就職はしたものの、13年間で10回以上転職を繰り返していました。

 

自ら会社を辞めたケースもありますが、ほとんどは辞めざるを得ない状況に陥り、自主退職を選んだとのことでした。

その原因は自分にあったからです。

 

話を聞くと、ケアレスミスが多く、どうしても直らないと言います。

 

1. 前日に用意した重要な会議の資料を忘れてしまった。

明日は大事な日だとどれだけ前日に思っていても、当日になると肝心なことを忘れてしまうのです。

 

2. お客さんに電話を折り返しかけると言いながら、かけずに帰ってしまった。

もちろん、クレームが会社に入りました。

 

このような失敗がよくあり、度重なるミスで会社に居づらくなったとのことでした。

 

同窓会で転職回数を驚かれる。カウンセリングを受けることを決意!

それでも、性格が社交的で、辞めても次の就職先はすぐに見つかるので、とりあえずは何とかなっていると自分では思っていたようです。

ところが、あるとき同窓会で、自分がこんなにも転職していることを友人に驚かれました。

 

そこで、実は自分の行動に何か問題があるのではないかと考え、カウンセリングを受けることにしたというわけです。

 

 

発達障害傾向があっても、ミスを減らしたい!

ADHD(注意欠陥多動性障害)傾向があるか調べるために、問診をしたり、お話を聞いたりしたところ、当てはまる点がほとんどでした。

そのうえでAさんが知りたかったのは、「どうやったら自分でミスが無くせるのか」ということでした。

 

そこで、私は「まずは今の仕事を続けられるようにすることを考えましょう」と提案しました。

こういった場合、職場に協力者が必要です。

 

Aさんとこんな会話をしました。

 

私  「職場内で信頼できる人はいますか?」

Aさん「同僚に、ミスをかばってくれたりフォローしてくれる人がいます」

私  「その方にご自身の傾向をお話しするのに抵抗はありますか?」

Aさん「ありません。早速話してみます」

 

職場の人にカミングアウト。サポートしてもらえるようになった

その後、その同僚の方に打ち明けたところ、本人が抵抗がなければということで、社内で発達障害傾向の件を共有しし、理解を求めました。

 

皆さん協力的で、大切なことがあるときには、忘れないようメールやラインで連絡をくれるなど、サポートしてもらえるようになったと言います。

また、周りから理解が得られたことにより、自分も頑張ってみようという気持ちになり、以前より意欲的に仕事に取り組むようになったそうです。

 

Aさんの素晴らしいところは、人のせいにしないで、自分に意識を向け、何とかしようと行動を起こしたことです。

結果、周囲からサポートを得られることにつながったのではないかと思います。

 

●関連コラム

もしかして発達障害?ADHD(注意欠陥多動性障害)症状のチェックリスト

 

主婦のBさん。うつ病を患い、母親との関係にも悩んでいました…

Bさんはうつ病を長く患い、お薬を飲んでもなかなか治らないのでカウンセリングを受けてみることにした方です。

 

お薬の効果もあってか、今は普通に生活はできていますが、時々イライラすることもあります。

また、慢性的にストレスを抱えたりおり、何よりも自分は母親から愛されていないと思っていました。

結婚して家庭を持ってからも、その気持ちは変わりませんでした。

 

母親のこんなところが不満!
  • 母親の前ではいつも優等生の自分でいなければいけない
  • 子育てに口出しをしてくる

認めてもらえていないと感じたり、母親失格と言われているような気持になったりするとのこと。

 

ただ、実際にお母さんに「母親失格」と言われたのかを確認したところ、そうではありませんでした。

また、お母さんがする子育ての口出しとは、どの程度のものなのかも聞いてみたところ、次のような答えでした。

 

Bさんが落ち込んだ、母親の口出し例
  • 子どもを薄着にさせていると、「風邪をひくからもう1枚多めに着せたほうがよい」と言われた
  • 夏なので靴下を履かせないでいると、靴下を履かせるように言われた

 

私はBさんの気持ちに共感しながらも、こう尋ねました。

 

  • 「お母さんは、お孫さんをかわいがってくれますか?」
  • 「お母さんは、どんな気持ちであなたにお子さんの服のことを話されていると感じますか?」

 

Bさんは、母親は孫のことを可愛がっており、服の件も、多分子どもが風邪をひかないか心配で言ってくれたのだろうと分かっていました。

それでも、Bさんは責められているように感じ、母親失格と言われているような気がして辛いのです。

 

なんでも昔から母親に言われる前に自分で動いてきたということでした。

 

 

うつ病も「アスペルガー傾向」のせいだった

私は問診票を取り出し、アスペルガー症候群の傾向がないか確認したところ、ほとんど当てはまるという結果になりました。

これにより、「自分は指示をされるのが嫌いだ」ということ、「自分の思い通りにしたいのに、子どもの件でいちいち言われることにストレスを感じていた」という事実に気づくことができたのです。

 

また、うつ病の原因もアスペルガー傾向から来ていると分かったため、少し楽になったそうです。

このように、Bさんは「うつ病の原因も自分の発達障害傾向によるものだ」と知ることができたのです。

 

●関連コラム

その症状、大人の発達障害かも?発達障害が原因のうつ病チェックリスト

 

生きづらさの原因、もしかしたら発達障害傾向によるものかも?

このように原因が分からずもやもやしていることが、実は自分の特性が関係していたというケースもあります。

 

次回は、「家族や周りの方が発達障害傾向の方を見つけたらどうすればよい?」というテーマで、職場や家庭、あるいは友人にいた場合の対応の仕方などを具体的にお話ししたいと思います。

 コラムニスト情報
土田くみ
職業:医療カウンセラー

Kumi心理カウンセリング研究所の土田くみです。
私は、医療の現場で様々な手法を用いて患者さんの心のケアに当たっております。
現在、芦屋、神戸、西明石で精神障害や発達障害、また医学界では慢性疼痛の研究をしております。
身近な街の心の医療カウンセラーとして皆さんのお役に立てたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。

 おすすめ新着コラム

     生活のコラム

     健康・医療のコラム

     ビジネス・経済のコラム