京都の歴史観光「無鄰菴(むりんあん)」!日本陸軍・軍閥の父、山県有朋が愛した静寂の庭園

執筆者: 田中英哉
はじめに

浅い川が涼しげに流れる無鄰菴(むりんあん)

七代目小川治兵衛(ななだいめおがわじへえ)が作庭した独特の庭園です。


今回は日本の歴史と合わせて、無鄰菴の魅力についてご紹介していきましょう。

 

 

無鄰菴は山県有朋の別荘

無鄰菴は山県有朋(やまがたありとも)の別荘でした。
山県有朋とは、第3代と第9代の内閣総理大臣で、もとは長州藩の武士でした。

明治政府では、陸軍の基礎を築いて「日本陸軍の父」と言われました。

晩年も政界への影響が大きかった人で「日本軍閥の祖」との異名も有った人物です。

そんな山県有朋の別荘だったのがこの無鄰菴です。

 

 

隣が無いから無鄰菴

1895年(明治28年)に造られた無鄰菴。
難しい名前ですが、どうしてこういう名前になったのでしょうか?
実は、近隣に家のない静かな場所だったので、無鄰菴と名付けられたのです。

この無鄰菴を、山県有朋は気に入っていたようで、忙しい合間にしばしば来ていたようです。

 

無鄰菴の庭園の特徴

 

無鄰菴の庭園は、山県有朋が設計して、七代目小川治兵衛が作庭しました。
無鄰菴の庭園の特徴は、敷地の形が三角形であることです。

三角形の理由は、隣接している道路などの事情で、三角にしか敷地が取れないためです。

 

しかし、庭園を眺めていても三角形に見えません。

木の高さを調節したりして、遠近法を見事に使って、三角形に見えないように上手く作庭されています。

 

歩いて見て回れる庭園

 

庭園のカテゴリとしては、池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)と言って、歩いて見て回れる池の有る庭園です。
池泉式の庭園は、他にも舟遊式、観賞式、浄土式がありますが、歩いて回れる回遊式は、自分のペースで景色を変えながら見ることが出来るのが特徴です。

七代目小川治兵衛の庭園は、川がとても浅く作られています。

彼は、他にも平安神宮や、円山公園を作庭しています。

無鄰菴と同様に、川が浅いことが特徴です。

 

 

日露戦争の開戦を決定した会議の場

庭園の入り口には、1898年(明治31年)に建てられた洋館があります。
その洋館の2階に、伊藤博文(いとうひろぶみ)、桂太郎(かつらたろう)、小村寿太郎(こむらじゅたろう)いう当時の要人を集めて、日本とロシアの戦争、日露戦争(にちろせんそう)の開戦を決定する会議が行われました。
これが有名な「無鄰菴会議」です。

この洋館、1階には山県有朋の愛用品が展示されていて、現在は京都市が所有しています。


 

おわりに

平安神宮や南禅寺などの観光地が立ち並び、ミシュランの三ツ星に輝いた瓢亭が近くにある東山エリア。

そこにありながらも、まるで隠れ家のような入り口であることから、比較的観光客が少ない名所です。ぜひとも訪れて見て下さい。

 

川は浅いですが、意匠はとても深い。

そんな見事な庭園で、四季折々の景色を楽しみましょう。

 
 コラムニスト情報
田中英哉
性別:男性  |  

田中英哉(たなかひでや)37歳

京都生まれ京都育ち。24歳まで京都で暮らしたが、3年間
名古屋で勤め、京都を離れて初めて京都の魅力に気付く。
Uターン後、京都観光に関する仕事で地域貢献をしようと
「ことぶら」を立上げ。「京都の魅力発信、感動を共有、感
謝される仕事で社会貢献」を理念としてビジネス展開中。
第7回、京都文化ベンチャーコンペティションにて、エフエム京都賞・京都銀行賞を受賞。

ことぶら公式サイト
http://www.lifecrew.jp/kotobura/

【資格】
国内旅行業務取扱管理者(国)
2級ファイナンシャルプランニング技能士(国)
3級知的財産管理技能士(国)
環境社会検定(eco検定)(公)
京都検定2級(民)
旅行地理検定3級(民)
メンタルケアカウンセラー(民)

 

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