日本サッカーを弱くしてしまったザッケローニの功罪

執筆者: トム小島

ザッケローニのせいで、日本のサッカーのレベルが下がってしまった。

辛らつなコメントと思われる方もいらっしゃいますが、あえて書かせていただきます。

 

ワールドカップ、ブラジル大会で1勝もすることができなかった日本代表。

勝てなかった原因は色々ありますが、大切な本大会の試合でいつもどおりの采配ができなかったザッケローニは大きな責任があります。

 

ただ、ザッケローニの功罪はこれだけではありません。

ザッケローニのせいで、日本サッカーは弱くなってしまいました。

 

今からその理由について述べてみたいと思います。

 

海外組優先で、Jリーグのレベルが下がってしまった

ザッケローニは常にイタリアやドイツで活躍する選手を優先して使っていました。

かつでのジーコも同じようなことをしていました。

 

Jリーグで活躍している選手でもなかなか日本代表のメンバーとして召集せず、召集したとしてもスタメンのほとんどが海外組だったという事実は、ザッケローニが選んできたメンバーをみてくればわかることでしょう。

 

海外のレベルの高い国と対戦したり、ワールドカップ予選という精神的重圧の高い試合は、選手のメンタルやフィジカルを鍛えてくれます。

 

それなのにザッケローニは自分がこだわっている海外組の選手ばかりを起用。

Jリーガーが代表経験をつめなかったことで、Jリーグのレベルが下がってしまいました。

 

Jリーグはアジアでも勝てなくなってしまった

Jリーガーが代表経験を積むことで、その経験を生かしてJリーグの舞台で高いレベルのパフォーマンスを見せることで、彼らの味方や相手にも良い刺激となってJリーグはレベルアップしてきました。

 

ところがザッケローニによって、それができなくなってしまい、Jリーグのレベルが下がってしまいました。

 

それを如実にあらわしているのが、ACLでの低迷です。

 

ザッケローニが日本代表の監督になる前は、JリーグのクラブはACLで活躍していました。

2007年は浦和レッズが、2008年にはガンバ大阪が優勝を飾ったのを記憶している方は多いのではないでしょうか?

この大会に優勝したことで、レッズはACミランと、ガンバはマンチェスター・ユナイテッドとクラブワールドカップで対戦することでJリーグと世界の距離はぐっと近づいていきました。

 

ところがザッケローニが日本代表監督に就任して以降は、ACLで優勝したクラブは一つもありません。

優勝どころか、ベスト4に進むことさえ難しくなってしまいました。

(2013年の柏レイソルのみがベスト4入り)

 

Jリーグの観客も減少し、2ステージ制を導入へ

日本代表のメンバーを海外組優先としたことで、「スター選手=海外組」という図式ができあがってしまいました。

 

それにより日本代表は満員のスタンドを維持する一方、スター選手の少ないJリーグでは観客が年々減少。

 

観客の減少に伴い、リーグと各クラブの収入も減ってしまったことで、Jリーグは来シーズン(2015年)から2ステージを導入するなど、迷走状態に陥ってしまいました。

 

海外クラブではずっと控え、代表戦のコンディションは最悪

ザッケローニがスタメンとして起用し続ける選手らは、海外ではスタメンを確保できていない選手も多く、日本代表の試合に出場したときには、試合勘が取り戻せていない状態でプレーすることになってしまいました。


海外のクラブで試合に出れない選手は、試合に出場できそうなクラブへ移籍するという選択もあったはずですが、日本代表に出続けるためにも海外クラブのブランドを捨てたくないためか、チームに留まることにこだわり続けていました。

 

その結果、ワールドカップブラジル大会では、海外組でプレーする選手らのパフォーマンスは低く、1勝もあげることもなく日本代表は大会から姿を消す形になってしまいました。

 

終わりに

ザッケローニの人間性は素晴らしいとは思います。

 

わさびがお気に入りというザッケローニは、日本の文化も気に入ってくれていたようだし、ワールドカップで負けたときの長友の涙とか、監督辞任直後にイタリアへ向かうときには、長谷部や内田が見送りに着てくれたみたいだし、ザッケローニの人間性は本当に良かったのでしょう。

 

ただ、日本サッカーについて真剣に考えてみた場合、ザッケローニは日本の進歩をとめてしまったことは間違いないでしょう。

 

新しい監督には、今度こそ日本サッカーを強くするために頑張って欲しいです。

 

 

 
 コラムニスト情報
トム小島
性別:男性  |  

『厳しくも愛のある文書』がモットーの辛口コラムニスト。
大学卒業後、一般企業に就職するも大好きなサッカーへの情熱を断ち切れず、
スポーツライターの道へ進むことを決意。

学生時代からライターへ転身した現在に至るまで、
イングランド、イタリア、スペインなど数多くの国で試合を観戦し、
2014年のワールドカップブラジル大会も現地で試合を観戦。

最近もっとも気に入っているクラブは、
スペインで果敢な攻撃的サッカーにチャレンジしているラージョ・バジェカーノ。