イギリス料理は本当に「マズイ」「美味しくない」のか?現地民が人気メニューで検証!
英国在住日本人が「イギリス料理マズイ」問題を考えてみました。イギリスで有名なメニューの特徴と味の検証をしつつ、不名誉な噂に切り込む!
イギリス好きの方は多いですが、彼らにその理由を尋ねても「食べ物が美味しいから」と答える人はまずいないでしょう。
イギリス料理は美味しくないという説が定着していますが、それは本当なのでしょうか。
イギリス料理といえば、フィッシュ&チップス、イングリッシュ・ブレックファースト、ローストビーフなどを思い浮かべる方が多いかと思います。
日本ではあまり馴染みのない、シェファーズパイ、コーニッシュ・パスティ、ジェリードイール(うなぎのにこごり)などの料理もあります。
イギリス料理のレパートリーは多いとは言えません。
作り方も至って簡単。
焼いたり、揚げたり、オーブンに入れるだけ。
フレンチやイタリアンのような見た目の美しさからは程遠く、不健康そうな茶色をしています。
なんやこれ…
味付けは、各自が食卓で、塩・胡椒やグレービー(肉汁から作られたソース)で味を整えるセルフサービス。
何とも大雑把なものです。
最も有名なイギリス料理といえば、フィッシュ&チップス。
白身魚(タラが正統派)のフライとフライドポテトは、街角のファーストフード店で味わえる、安くてボリュームのあるお手軽スナックです。
熱々のところに、お塩とモルトビネガー(麦芽酢)をかけて食べるのが一般的。
フライにお酢とは奇妙な組み合わせですが、米酢よりも強烈に酸っぱいモルトビネガーは、チップスによく合います。
イギリス人が大好きな「イモ+塩+酢」の味は、ソルト&ビネガーというポテトチップスのフレーバーにもなっています。
緑色のソースはなんだろう?
こう言ったのは「人間の絆」を著したウィリアム・サマセット・モームです。
彼が賞賛したイングリッシュ・ブレックファーストのメニューがこちら。
- ベーコン
- 目玉焼き
- ソーセージ
- マッシュルームのソテー
- 焼きトマト
- ブラック・プディング(豚の血で作ったソーセージ)
- ベイクド・ビーンズ(大豆の煮物)
- バターやジャムを塗ったトースト
- ミルクティー
B&B(朝食付きの比較的低料金な宿泊施設)の定番であるブレックファースト。
これだけの量を、朝から平らげてしまうイギリス人の胃袋には感服してしまいますが、さすがに忙しい現代人は、朝食をシリアルで済ませるという人が多いようです。
休日の朝だけでも、ゆっくりと、ボリュームのある朝食を楽しみたいものですね。
……。色が…。
ちなみに、イギリスのソーセージは、ふにゃふにゃしています。
肉よりもつなぎの小麦粉が多いからだそうですが、初めて食べる人は、火が通っているか心配で、食べるのを躊躇してしまいそうです。
フィッシュ&チップスのように、メインとサイドを一皿に持ったワンプレートが多いイギリス料理。
サイドディッシュの代表格はジャガイモです。
チップス、ジャケットポテト、ローストポテト、マッシュポテトとバリエーションも様々。
日本で言うところの、お米のような存在であるジャガイモ。
ほくほくのジャガイモの味は格別で、メインよりもチップスの方が美味しいと言う人もいる位です。
イモうめえ!
そして、茶色っぽいイギリス料理に彩を添えるのが、グリーンピース。
これでもかという量をお皿にばら撒きます。
グリーンピースをはじめとする茹で野菜もサイドディッシュの定番ですが、どれも茹ですぎなのが気になります。
やはり、イギリス人はふにゃふにゃがお好きなようです。
ご紹介したフィッシュ&チップスやイングリッシュ・ブレックファーストは、安いカフェやファーストフード店はもちろん、パブやレストランの定番メニューでもあります。
フィッシュ&チップスを色々なお店で食べ比べてみるのも面白そうです。
味、サイドディッシュ、盛り付けの違いで、同じメニューでもこれほど印象が変わるものかと驚いてしまうでしょう。
一般的に、伝統的なイギリス料理は、田舎ほど美味しいと言われています。
カントリーサイドのパブで、奥さんが手作りしたシェファーズパイ(ミートパイ)と、ロンドンのパブで味わうかもしれない、レンジでチンした冷凍パイ。
どちらが美味しいかは明白ですね。
これ、1枚目の…?
イギリスは、様々な人種、文化、宗教、価値観が混在する国です。
移民たちは、自国の文化をそのまま持ち込むため、文化摩擦が生じることは日常茶飯事。
しかし、食べ物に関してだけは、無条件に受け入れ歓迎されています。
特に、イギリスがインドの旧宗主国だった関係で、インド料理は最も馴染み深い外国料理の1つとなっています。
イギリス人向けに、マイルドにアレンジしたカレーソース、チキン・ティッカ・マサラ。
これは、カレーの祖国インドではなく、イギリスのインド料理レストランで生まれました。
「イギリス料理は不味いけれど、イギリスで味わう各国料理は最高」という声をよく耳にします。
美味しいと評判のインドカレーも、広い意味でのイギリス料理と言えるのかもしれません。
また、イギリスのアフタヌーンティーはとても美味しく、優雅であると有名です。
紅茶、スコーン、キュウリのサンドイッチ、プチケーキ…女性なら憧れますよね。
フレンチやイタリアンのように、長時間煮込んだソースを堪能するとか、何種類もの食材を組み合わせ、その味を楽しむという感覚とは程遠いイギリス料理。
見た目は美しくはありません。
感動する程、美味しい物でもありません。
けれども、顔をしかめる程に不味いという事でもありません。
むしろ、食べ慣れてくると、その飾り気のない素朴な味も悪くない。
そう思えるようになるはずです。
「イギリス料理は美味しくない」と言う先入観を捨て、是非ご自身で味わってみて下さい。
ふにゃふにゃで大味、その大雑把さに愛着を感じてしまうから不思議なものです。
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旅行とマーケット・蚤の市めぐりが大好きな庶民派ロンドナー。
コレクションのヴィンテージ食器を眺めている時に幸せを感じます。
ロンドン発 -庶民的生活-
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Travel.jp「たびねす」にてガイド記事執筆中
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