モロッコ料理の魅力に迫る!伝統のタジン鍋やスパイスなどの美味しい特徴を紹介

執筆者: 小川 歩美 職業:モロッコ料理家
はじめに

カレーをはじめとするスパイス料理が苦手だった私が、スパイスをよく使うモロッコ料理に魅了されたのはとても不思議でした。


「サハラ砂漠でラクダに乗ろう!」と出かけて行ったモロッコでしたが、メルズーガ大砂丘(サハラ砂漠)よりも、そのとき初めて頂いたモロッコ料理の美味しさに感激し、観光そっちのけで料理の勉強を始めたのです。


大学生の4年間、夏・冬休みを利用してバックパックで世界中を旅行していました。

もともと食べること、料理が好きでしたので、行く先々で色々な料理の写真を撮り、レシピをメモしながら旅をするのがスタイルでした。

 

モロッコの伝統的な調理道具、タジン鍋


モロッコでももちろんそうでしたが、他の国とモロッコが違ったのは「タジン鍋」の存在でした。

 

今ではよく知られている「タジン鍋」ですが、当時私がモロッコへ行った際は、モロッコという国の場所さえよく知られていない時代でしたから、モロッコの伝統的な調理道具である「タジン鍋」を知る人などほとんどいませんでした。

もちろん私もモロッコで初めて目にしたのです。

 

本場タジンの味

初めて食べたタジンの味、お店は忘れられません。

前日の夜中にモロッコに到着し、翌日ラバトという街へ移動しました。

一日観光して、夕暮れ時に入った食堂で頂いたのが初めてのタジンです。

 

まず、円錐形の蓋をかぶった土鍋(タジン鍋)を見て、テンションが上がりました。

土鍋の中に入っていたのは、牛肉の固まりと数種類のお野菜をハーブとスパイスで煮込んだものでした。

これがモロッコの伝統料理である「タジン」です。

 


お肉がとても軟らかくて美味しく、野菜の味が濃くて美味しく、一緒に食べるパンがまた美味しく、「なんなの、この食べ物!」と思いました。

これがモロッコ料理を知りたいと思ったはじまりです。

 

フレンドリーなモロッコ人

もう一つ、他の国とモロッコが違った点は、他のどの国よりも人々がフレンドリーで親切ということでした。


例えば、食堂でタジンを食べながら「これどうやって作るのかしら?」とお店の人に聞けば、作り方を丁寧に教えてくれたり、厨房へ案内してくれたり、「それなら僕の家においでよ。ママが作り方を教えてあげるから」と家まで招待してくれるのです。


1ヶ月間1人で旅行をしていましたら、そんなことが何回もあったのです。


 

モロッコ料理の特徴

モロッコは他の地中海の国と同様、オリーブオイルとニンニクをベースに料理をします。

それに数種類のスパイスを使うのが特徴ですが、基本的に食材本来の味を大切にしますので、香りと色を付ける為と食材の臭いを消す程度に少量使うくらいで種類も多くないのです。

 

それに忘れてはならないのが、コリアンダー(パクチー)とイタリアンパセリのフレッシュハーブの存在です。

特別な日の料理というのは別にして、モロッコの人が日々食べている料理はこれらがベースになっています。

 


モロッコは土壌に大変恵まれているので、野菜、果物の種類が豊富で味が濃くて大変美味しく、地中海と大西洋に面しているので魚介も豊富です。

もちろん肉類も豊富で味もよく、オリーブオイルの生産量もイタリア、スペイン、ギリシャに続きます。

という具合に、食材の宝庫なのです。

 

そこに、食材の持ち味を生かす秘密兵器のタジン鍋を使ったら、どんなに美味しいものになるか想像出来るでしょうか。


 

さいごに

「タジン」に代表されるモロッコ料理は、モロッコの恵まれた自然環境と温かい人々の想いが詰まった素朴な家庭料理なのです。


そして、食べた人を優しい気持ちにしてくれる、これがモロッコ料理の魅力なのだと思います。

 
 コラムニスト情報
小川 歩美
性別:女性  |   現在地:東京  |   職業:モロッコ料理家

2004年より5年間モロッコ(カサブランカ/フェズ)に住みモロッコ料理を研究。
モロッコ人家庭の台所で料理を学び、4軒のレストランで研修。 その後モロッコ人料理研究家choumicha(http://www.choumicha.ma/fr/)に師事し、アシスタントとして働く。
帰国後2009年、モロッコ料理店「エンリケ・マルエコス」を東京・東北沢にオープン。 店の他、料理教室等で伝統的なモロッコ料理の普及に努める。

▼モロッコ料理の台所 エンリケ・マルエコス
東京都世田谷区北沢3-1-15
電話:03-3467-1106
http://cuisinedumaroc.jp/

 このコラムニストが書いた他のコラムを読む