アスリートを悩ます運動障害、イップス。スポーツ選手を引退に追い込む心理的症状とは

執筆者: 衣川竜也 職業:メンタルトレーナー/心理カウンセラー
はじめに

こんにちは、メンタルトレーナーの衣川竜也です。

今日は「イップス」についてお話したいと思います。

 

 

イップスとは

皆さんは、イップスという言葉を聞いたことがありますか?

イップスとは、心理的要因により、スポーツにおける動作に支障が出てしまう状態のことをいいます。

 

例えば、野球のピッチャーが、キャッチャーも取れないような暴投を投げてしまったり、野手が打球の処理後の送球で、ファーストなどに相手が取れないようなボールを投げてしまうこと。

ゴルフでは、パターを打つ時に手が震えて上手く打てない、テニスや卓球では、サーブの前のトスが大きく乱れたり、レシーブの際に手が縮こまってしまうなどの、プレー上の問題が生じてしまう状態です。

 

周囲から見たら、そんなことはすぐに修正出来るだろうと思ってしまいますが、イップスになってしまうと、正しいプレーを心掛けても体が思うように動かずに、上記のようなミスばかり起きてしまうのです。


 

イップスで引退に追い込まれるアスリートも

アスリートからは、このイップスを改善したいという相談は、比較的多く寄せられます。

メンタルトレーナーなどの専門家に相談をしたことはないけれど、自分はイップスかもしれないと思っているアスリートは少なくないでしょう。

 

イップスは、こじれてしまうと自分の力だけでは改善が難しく、どんどん悪化してしまって引退せざるを得なくなってしまうこともあります。

 

 

技術的な観点からではほとんど改善されない

イップスになってしまった時、多くのアスリート、それを指導するコーチも、技術的な観点から改善を図ろうとしますが、ほとんどの場合上手くいきません。

もし、技術的な観点から改善を目指して上手くいったとしたら、それは技術の変化によって改善したのではなく、技術的に改善しようとしている間に心理的要因が弱まったり、無くなったからだと思います。

 

ただし、そのようにしてイップスが治ったのであれば、それは問題のないことです。

重要なのは治ることなので、改善のためのアプローチが違っていても、時間の経過によって改善されたのであれば、再発さえ起きなければ問題がありません。

 

間違ったアプローチはさらに悪化してしまう

しかし、間違ったアプローチを続けている間に、イップスが改善しないまま上手くプレーが出来ないという意識ばかりが強くなっていくと、イップスは悪化するばかりです。

 

今、イップスで悩んでいる方や克服した方にも、イップスが悪化していった経緯を思い出すと、思い当たるところがあるのではないでしょうか。


おわりに

イップスは、どの競技の世界でも、選手はもちろん、コーチの中にも詳しく理解している人はいません。

どうしても自分の状態が理解して貰えず、孤独感を感じてしまう点も、改善が困難な理由の一つです。

イップスを改善するには、イップスの改善を邪魔しているものは何なのかということを理解して、正しい取り組みを行うことです。


次回のコラムでは、イップスの改善を困難にしている理由と、改善のカギとなる潜在意識の秘密について書きたいと思います。

 
 コラムニスト情報
衣川竜也
性別:男性  |   現在地:大阪市  |   職業:メンタルトレーナー/心理カウンセラー

大阪を拠点に活動しているメンタルトレーナーです。
主にアスリート、経営者、起業家のメンタルサポートやコンサルティングを行っています。
スポーツでの勝負、ビジネスでの決断や人間関係、マーケティングなど、全て人の心理が反映されます。
しかし、心理的な成長の取り組み、心理的な戦略はどうしても疎かになってしまいます。
私はメンタルトレーナーとして心理面からの個人や企業の成長と目的達成をサポートさせていただきます。
【ホームページ】http://axia-coaching.com/
【ブログ】http://axia-coaching.com/blog/