野球部の行き過ぎた上下関係問題。名門・大阪桐蔭が壊した「強豪校の伝統」とは
こんにちは、メンタルトレーナーの衣川竜也です。
今回は、大阪桐蔭の野球部の取り組みと、高校野球の伝統についてです。
大阪桐蔭の野球部は寮生活を行っているようですが、同学年同士が同じ部屋であることや、1年生が3年生の身の回りのことをお世話するという、強豪校によくある「伝統」がないそうです。
これは、指導者が、「選手に上級生の世話をする時間があるのなら、自分のために練習する時間を与えたい」という考え方から、元々は下級生が上級生の世話をしていた習慣を廃止させたそうです。
下級生の時につらい思いをしながら過ごし、そして上級生になったら下級生に命令できるという習慣があり、その中で結果も残している学校は、そういう習慣も含めて強さが身についているという意識になると思います。
勝ち続けている中で、その習慣を変えるということもなかなか難しいことです。
さらに、1年生の時に苦労をした選手が、3年生になると『自分たちも耐えてきた』という思いで、1年生に自分たちがやってきたことを要求したくなる気持ちもあるでしょう。
しかし、大阪桐蔭の野球部の指導者が考えておられるように、上級生の世話をする時間を練習に充てる方が技術も向上しますし、高校3年間を通じて、自分のことを自分で責任を持って行った方が社会に出てからの人生のために必要な習慣が身に付きます。
辛いことに耐えること、理不尽なことをどう受け止めるかということも、精神的な成長のためには大切です。
敢えてそれを、上級生と下級生の関係の中で意図的に作り出していることもあります。
しかし、本来の目的は野球が上手くなること、野球を通じて人間的に成長することが目的です。
- 野球をやってはいるが、上級生の世話でその時間が削られる。
- 時には理不尽な対応をされるので、いつも先輩の顔色を伺いながら生活している。
- しかしチームとしては試合で結果が出ている。
上記のような状態だからこそ、伝統校と言われる学校が思い切って取り組みを変えていくことに難しさがあると思うのです。
価値が求められる中、これまでの伝統を変えることは難しいですし、時には結果が出ている中では、その必要性すら考えないかもしれません。
勝負事に真剣に向き合い、思うように勝てないことや、ケガ・不調などの辛いことがあり、努力をしても勝てるとは限らないという点が、人の心を鍛える要素を十分に含んでいます。
そのため、人が人に対して意図的に辛い思いをする機会を与えたり、理不尽な対応をする必要はないのではないかと思います。
真剣に野球に打ち込めて、自分の身の回りのことに責任を持つ環境で、真剣に野球と向き合う。
チームメイトとのレギュラー争い、試合での他校との戦いの中で心の葛藤を感じたり、理不尽な思いをする機会もあるはずです。
野球に対して真剣になればなるほど、それらが成長の機会にもなるでしょう。
野球で活躍したいという思いがあり、その思いのために練習だけでなく、自分の身の回りのことにもしっかりと責任を持って生活する、その習慣を継続する。
『後輩の成長に繋がるから』と、都合のいい理由で後輩に何かをさせるよりは、その時間を自分の成長のために使うことの方が大切なのではないでしょうか。
人間の人格は習慣によって成長します。
そのため、高校3年間をどう過ごすかで、その期間の人格の成長の方向が変わってきます。
1年生の時に、上級生との関係で辛いことに耐えるのは、自分の成長に繋がる要素もあります。
しかし、上級生になってから1年生に面倒なことを押し付けるのは、確実に成長をストップさせてしまう習慣になりかねません。
その習慣を廃止したことに、大阪桐蔭野球部の取り組みに大きな意味があると思うのです。
野球に真剣に打ち込むことと、自分のことに責任を持つこと。
これらを継続する環境を整えるため、今までの伝統とは違う取り組みを行い、そして勝つという結果も残している大阪桐蔭野球部は、高校野球だけでなく、少年スポーツのより良い伝統に繋がっていくに違いありません。
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大阪を拠点に活動しているメンタルトレーナーです。
主にアスリート、経営者、起業家のメンタルサポートやコンサルティングを行っています。
スポーツでの勝負、ビジネスでの決断や人間関係、マーケティングなど、全て人の心理が反映されます。
しかし、心理的な成長の取り組み、心理的な戦略はどうしても疎かになってしまいます。
私はメンタルトレーナーとして心理面からの個人や企業の成長と目的達成をサポートさせていただきます。
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