仕事中、女性社員がストーカー被害に遭ったら?会社が取るべき労務対策
こんにちは、さとう社会保険労務士事務所の堀真寿です。
私の前の職場の同僚でも、ストーカーに合い、引越を何度もしていた女性社員がいました。
他人事では済まないストーカー被害。
これが、勤務中に突如として襲われたら、ケガの治療費の負担や仕事を休んだ時の所得補償など、労災保険の判断はどうなるのでしょうか。
スーパーで勤務している女性社員がいます。
ある男性のお客が、そのスーパーで何回か買い物をする内に、女性社員と簡単な会話もする位の顔見知りになり、結果、好意を頂くようになりました。
日々想いが募り、勝手に結婚する妄想まで考えるようになります。
ある日、待ち伏せしていた男性は、女性社員が出勤した直後に、勇気を振り絞って告白をしました。しかし、女性社員には、婚約相手がいて結婚できないと判明。
そのことが分かると、自分の夢を壊されたと思ったその男性は、女性社員に突然襲いかかり、ケガを負わせてしまったのです。
結論から申しますと、労災にはなりません。
なぜ労働災害にならないのか
まず、女性社員は出勤しているので、業務中での負傷は確かな事実になります。
しかし、第三者の暴行による災害は、他人の故意に起因するものとして、原則、業務に起因するものとは言えないとするのが一般的。
次に、上記のストーカー被害のような場合、ストーカー被害が起きた事と女性社員の業務に因果関係があるかどうかがポイントになります。
このケースで言いますと、スーパーで勤務している女性社員の接客で、男性が好意を持つきっかけになったとは考えられます。
しかし、通常の接客業務を考えますと、来店客と接することは当然の業務であり、会話ややり取りは事務的なものに過ぎないと考えるのが妥当です。
ケガを負った女性社員には酷ですが、接客の業務が理由で、そこから恋愛感情が発生するのは考えにくいのです。
実務として、このようなストーカーまがいの被害について、会社はどのようなことに注意が必要なのでしょう。
会社が間に入ったことで、かえって被害が拡大しないように慎重な対応が求められます。
何もしないで良い訳ではなく、仕事中に電話が掛かってくるなど、業務に支障が出た場合は、会社として警察署に通報するぐらいの対応が必要です。
セクハラに該当することが多いため、セクハラの規定が就業規則にある場合は、規定違反としてしかるべき処罰の手続きを踏みましょう。
セクハラの規定がない場合でも、服務規律違反で処罰ができないかを検討します。
いずれにせよ、加害者が従業員の場合、会社には安全配慮義務が課せられますので、会社としての対応に具体性が求められます。
ストーカーに遭わないことが1番ですが、現代社会では、そうもいかないようです。
平成24年度のストーカー行為等の相談件数は、実に1437件。
相談していない人を考えると、実際は、より多くの方がストーカー行為で悩んでいるのかもしれません。
ストーカー被害での労働災害は、認められない判例があります。
よくある事例ではありませんが、女性職員の多い会社であれば、労務知識の1つにして頂ければと幸いです。
|
|
HRプラス社会保険労務士法人は、企業が元気にならないと雇用は生まれない、との思いから「日本中の経営者・人事マンを元気にする!」をミッションとし、経営者思考による人事労務相談、就業規則や諸規程の整備、海外進出支援、社会保険事務のアウトソーシングなどを展開しています。
品質と信頼を担保するために、スタッフ全員が社会保険労務士有資格者。そして、確かな情報発信力とクイックレスポンスで貴社の人事労務を強力にバックアップいたします。
選ばれる理由はそこにあります。
HRプラス社会保険労務士法人
http://www.officesato.jp
|
|