春の惑星、位置はどこ?「木星」と「金星」の天体観測ポイント

執筆者: 宇都 正明 職業:天体観測アドバイザー・星空案内人
はじめに

すっかり陽が長くなり、冬の星座も西に傾いてきました。
2015年春は夕方の西空に惑星も集まり、華やかな冬の星座と共に明るい星々を沢山見ることができます。

 

今回は西空に見える惑星、「金星」「木星」についてお話します。

地球のお隣さん、「金星」を見よう!

日が沈んだ頃、西空に明るい星がキラキラと輝いているのに気がつくと思います。

 

金星の明るさ:約-4等星です。

 

金星はとても明るく輝いているので、西空を見るとすぐにお分かりになることでしょう。

 

フジ X-E1デジタルカメラ XF18-55mm 18mmF2.8にて手持ちで撮影

 

金星は、地球よりも太陽に近い軌道を回っている「内惑星」

内惑星であることにより、夕方か明け方のどちらかでしか金星を見ることができません。
地球の内側を回っているため、地球からは太陽と同じ方向を見ることになるからです。

 

『宵の明星』『明けの明星』
  • 宵の明星:夕方の西空に現れる、明るい一番星です。
  • 明けの明星:明け方・夜明け前に東の空で明るく輝きます。

 

金星も三日月状になる!?

金星は月と同じように満ち欠けし、半月状や三日月状になった姿を見ることができます。


月のように毎日大きく変わっていくわけではありません。

しかし、半月単位で観察すると、変化していく様子が判るかと思います。

 

金星の満ち欠けを確認するには、天体望遠鏡が必要

口径30cm反射望遠鏡(3600mm F12)にて2012年撮影


しかし、双眼鏡をお持ちであれば、ぜひ見てみてください。

金星は地球のお隣の天体ですので、地球に近づいた時は大きく見ることができます。

その時なら、双眼鏡でも三日月状になった姿を見ることができます。


200mm程度の望遠レンズでも、とても小さくですが、三日月状にかけた金星を写すことができます。

夕暮れの二番星、「木星」も見頃を迎える

夕方の空に、木星も西空高くに見えています。
金星の東側、左手上側とでも言えば良いでしょうか。

 

金星からはやや離れた位置になりますが、やはり明るい星ですので、すぐに見つけられると思います。

 

木星の明るさ:-2等星です。

 

木星の明るさは、金星には劣ります。

ですが、最も明るい1等星、おおいぬ座のシリウスの-1.5等星よりも明るく光っています。

木星は、地球より外側の軌道を回っている「外惑星」

地球からは、太陽の反対側を見ることになります。

 

『真夜中の明星』

時期によっては、真夜中にも見ることができます。

そのため真夜中の明星とも呼ばれています。

 

ガリレオが地動説を確信させたヒントは、木星にあった!

双眼鏡で見ると、明るい木星の周りにくっつくように、小さな星をいくつか見ることができます。

これが、かのガリレオ・ガリレイに地動説を確信させた、木星の月たちです。

 

口径16cm反射望遠鏡(1330mmF8.3)にて撮影

 

ガリレオ衛星

ガリレオが発見した4つの衛星は、ガリレオ衛星と呼ばれています。

それぞれには、このような名前がつけられました。

 

ガリレオ衛星(木星の4衛星)

  • イオ
  • エウロパ
  • ガニメデ
  • カリスト

 

木星の衛星は、双眼鏡でも観察できます。

時間をおいてみると、衛星の並び方が変わっていく様子を確認できます。

口径16cm反射望遠鏡(6000mmF37.5) にて撮影

 

望遠鏡で、木星の縞模様を見てみよう

お近くの公共天文台などの観望会で、望遠鏡を覗いてみましょう。

くっきりとその模様が見えます。

 

口径30cm反射望遠鏡(6000mm F20)にて撮影

 

デジタル機器の進歩のおかげで、アマチュアが所有する望遠鏡でも、木星の模様の詳細を写すことができるようになりました。

おわりに

今回は、春の星空案内として、金星と木星についてお話しました。
どちらも明るい星で、夕暮れの空に見つけやすくなっていますので、ぜひ探してみてください。

 
 コラムニスト情報
宇都 正明
性別:男性  |   職業:天体観測アドバイザー・星空案内人

銀河鉄道999や、ボイジャー2号の写真などで、子供の頃から宇宙に興味を持って以来、天文に興味を持ちました。
デジタルカメラのおかげでアマチュアでも、図鑑の様な写真が撮影できる様になり、すっかりとのめり込んでしまいました。
星空の魅力を伝えていければと思って、天体観望会のお手伝いなどもしています。