星空・天体写真を綺麗にレタッチ!フリーソフト「GIMP」の加工テクニック
天体写真は一般的な写真と異なり、フォトレタッチが必須になります。
フォトレタッチとは、画像の形状やサイズ変更・切り抜き、色味・明るさ調整、不要物の消去、画像の合成など、様々な加工・修正を行う事を言います
今回は、天体写真のレタッチ方法について説明します。
レタッチを行うには、カメラ付属のRAW現像ソフトの他、PhotoShopの様な有料ソフト、また天体写真専用レタッチソフトとしては、アストロアーツ社のステライメージなどもあります。
今回はカメラ付属のRAW現像ソフトと、フリーウエアのGIMPを使ってのレタッチ法を説明していきます。
フリーウエアながら高性能で、お勧めのソフトウエアです。
http://www.geocities.jp/gimproject2/download/gimp-download.html
フリーウエアのレタッチソフトも多々ありますが、GIMPが天体写真にお勧めと感じたのは、レベル補正でヒストグラムを見ながら行える事です。
ヒストグラムとは、写真の場合横軸に輝度値、縦軸に画素数の分布をとったグラフの事です。
輝度が低い(暗い)画素は、左右側に行く程明るい画素が分布されます。
一般的な写真では、ヒストグラムはご覧の様にほぼ中間の明るさをピークに、明るい部分から暗い部分まで分布している様子が判ります。
一方、こちらは天体写真のヒストグラムです。
天体写真の場合、多くは露出不足である事が多く、その為画素分布の山は左側にあります。
超高感度設定等を駆使して撮影し、ヒストグラムの分布を右に持っていっても、街明かりなどで背景の空が明るくなってしまい、実際に天体写真に有意なデータは極わずかです。
天体写真のヒストグラムで説明を入れた様に、ヒストグラムの山のデータがとても大事です。
JPEG画像からここまで強調してしまうと、階調不足からトーンジャンプやブロックノイズ(上記写真の背景でも橙色のノイズが背景に浮いてきています)が目立つ様になってしまいます。
これが天体写真はRAWで撮ると良い、と言われる理由の一つです。
星空の撮影は、ぜひRAWで行いましょう。
さて、RAWで撮影したデータは現像しなければなりません。
RAW現像ソフトは各社メーカにより機能も異なりますが、いくつかポイントだけでも紹介したいと思います。
一つは、バックグラウンドの指定です。
RAW現像オリンパス
RAW現像キャノン
大抵の現像ソフトには、背景を指定してニュートラルグレーとする機能があります。
天体写真の場合、背景の宇宙はニュートラルグレーが望ましいので、星が写っていない領域を指定してカラーバランスを整えます。
もう一つのポイントは、シャープネスの指定です。
シャープネスを適用すると星の場合、周囲が暗く落ち込む現象が見られます。
現像ソフトでOFFとするか、あるいはマイナス補正とするのが良いでしょう。
その他、周辺減光補正や色収差補正など、現像ソフトで補正できる場合はONにした方が、良い結果を得ることが出来ると思います。
画像を見ながら、適宜適用してみると良いでしょう。
ノイズ除去なども行える場合は、ここで適用しておいた方が良いかもしれませんが、各社ソフトによりけりな面もありますので、あくまでも画像を見ながら調整してみて下さい。
RAW現像したファイルは、TIFF 16bitで保存します。
次は、RAW現像したファイルをGIMPに読み込みましょう。
メニューバーの「ファイル」→「開く」でファイルを指定しても良いですし、Windowsエクスプローラーから、読み込みたいファイルをドラッグ&ドロップで持って行ってもOKです。
ファイル読み込み後に、メニューバーから「色」→「レベル」を選択します。
ヒストグラムの項で説明しました様に、天体写真で必要なデータはヒストグラムが教えてくれます。
画像を見ながら不要な部分はカットし、見映えがする様に調整しましょう。
少し難しければ、GIMPには「自動調整」のボタンもあります。
こちらを押せば、ベストではないにしても見映えのする様な調整を行ってくれます。
天体写真の場合、どうしてもレタッチが必須となってきます。
左の写真は手を加えていないままの写真で、右の写真はRAW現像、GIMPレベル調整などをしたものです。
レタッチで、写真が見違える様子がお解り頂けるかと思います。
天体写真の場合、階調不足、露出不足を補う為、複数の写真を合成するコンポジット処理(マルチショットノイズリダクションと同義)等、画質向上の為のレタッチ処理もありますので、また機会を改めて説明させていただければと思っています。
ぜひ皆さんも星空の撮影と、レタッチ処理にチャレンジしてみて下さい。
|
|
銀河鉄道999や、ボイジャー2号の写真などで、子供の頃から宇宙に興味を持って以来、天文に興味を持ちました。
デジタルカメラのおかげでアマチュアでも、図鑑の様な写真が撮影できる様になり、すっかりとのめり込んでしまいました。
星空の魅力を伝えていければと思って、天体観望会のお手伝いなどもしています。
|
|