日本の漢字っていつから出来たの?書道の基本「漢字の歴史と成り立ち」を学ぼう

執筆者: 福田玉庭 職業:書道師範
文字の成り立ち

こんにちは、書道師範の福田玉庭です。

書道を学ぶということは、当然のことながら「文字=漢字」を学ぶということですが、そもそも文字とは、どのように作られたのかと改めて考えてみると、意外とあやふやなことに気づくかもしれません。

 

ここで、おおまかに確認をしてみましょう。

 

 

漢字の誕生はいつ?
現在確認できる最古の漢字「甲骨文字」

今から約3000年以上前、中国の殷の時代に最初の漢字である「甲骨文字」(こうこつもじ)が作られたと考えられています。


亀の甲羅や動物の骨に刻みつけられた文字で、王が占いに使用しました。

書体の変遷を見てみよう
  1. 篆書・・・甲骨文、金文、石鼓文(大篆)、小篆
  2. 隷書
  3. 章草体
  4. 草書
  5. 行書
  6. 楷書

 

篆書(てんしょ)

甲骨文字の後、殷から周にかけて、「金文」(きんぶん)(青銅器などの金属の器に鋳込まれた文字)、秦時代には、「石鼓文」(せっこぶん)(石の太鼓に刻まれた文字)が現れました。


石鼓文は、「大篆」(だいてん)という書体の典型とされています。

 

隷書(れいしょ)

秦の始皇帝が天下を統一すると、地域ごとに多様に存在していた文字を統一します。
「大篆」の簡略体である「小篆」を作らせ、公式の文字としました。


しかし、実際に木簡などでよく使用されていた書体は、「小篆」を簡略化したものである「隷書」でした。

 

章草体(しょうそうたい)⇒ 草書

漢の時代になると、この「隷書」が公式文字となり、実用性という利点から、篆書に代わって「隷書」が流用されるようになり、高度の芸術的発達を遂げました。


また、日常で「隷書」が速書きされていくなかで、「章草体」(しょうそうたい)→「草書」が生まれました。

 

行書 ⇒ 楷書

同様に「隷書」から「行書」が生まれ、「隷書」の早書きを整えて書くことから「楷書」が発生したと考えられています。

日本へ漢字が伝来、そして…
漢字が日本に伝来したのは古墳時代

漢字が日本に伝来したのは古墳時代で、やがて日本語を書き表すために漢字の音をかりて、「万葉仮名」が作られました。

 

漢字を元にした、日本独自の「平仮名」、「片仮名」

平安時代には、漢字を元にして、日本独自の「平仮名」、「片仮名」が作られました。

 

日本で新しく作られた漢字も

また、日本で新しく作られた漢字もあり(例:畑、峠、榊)、これらは「国字」(こくじ)と呼ばれています。

 

日本の独自性

現在、日本語を書き表すには、漢字と平仮名を交えて書く「漢字仮名交じり文」が使われています。

また、日本で使う漢字には音読み(中国から伝わってきた読み方)と、訓読み(日本で作られた読み方)の2種類の読み方があります。

 

この点は、他の漢字を使う国や地域と大きく異なっています。

なぜ「漢字」というの?

漢字の「漢」は、漢民族の「漢」であり、漢民族が話す言語を書くための文字という意味から「漢字」といいます。


「漢」は、漢江(かんこう)という川の名前を表す字で、漢江は長江(中国一大きな川)の支流です。

漢江の流域を「漢」の地方といい、その王であった劉邦が約2200年前に中国を統一して漢王朝を立てました。

 

その漢を築いた人たちが、漢民族の元で、現在の中国の人口の大部分を占めています。

おわりに

文字は、永い歴史とともに歩み、変化してきました。
漢字のルーツをたどることは、中国の歴史を紐解くことでもあり、また中国と日本の歴史的な深い関係を認識することにもなります。


書道は、漢字が発祥した中国が母体にあり、書道を学ぶということは、中国の時代背景を理解しながら、その時々の大家が遺した「書」を学ぶことでもあります。


漢字のルーツを知ると、書道の勉強にもまた一層、面白みが増すことでしょう。

 
 コラムニスト情報
福田玉庭
性別:女性  |   職業:書道師範

「伝統的な」書道を追求しつつ、書に書画を取り入れたデザインの制作もしています。
古典や歴史を学びながら、日々書道を精進
書道教室「書の庭」を埼玉県越谷市で開塾
ウェルカムボードのネットショップ「あとりゑ玉響」運営
URL http://gyokuteifukuda.com