「冬の根菜類は体を温める」ってウソ?薬膳のプロが教える、体を温める根菜・冷やす根菜

大根やごぼうといった、冬が旬の根菜類。体を温めるイメージが強いですが、実はその中には体を冷やす性質を持つものも。薬膳の世界ではどう捉えられているか、本当のところを紹介。

執筆者: 茂呂 麻子 職業:薬膳スクール「美カラダ」講師
【薬膳の基礎知識】根菜類は体を温める?冷やす?

こんにちは、国際中医薬膳師の茂呂麻子です。

薬膳の世界では、食材には体を温める「温・熱性」の効能を持つもの、熱を取る「寒・涼性」の効能を持つものがあると考え、それらを4つ(寒・涼・温・熱)合わせて四性と言います。

 

もちろん温めもしないし、熱を取りもしない食材もありまして、そのような食材は「平性」と言います。

 

 

ちなみにこの「温める」「熱を取る」は食べる時の温度は関係がなく、摂取後1~2時間後に体に取り入れられてから表す効能を指します。

今回は、「冬に旬を迎える事が多い根菜類が体を温めるか?」についてご説明します。

 

根菜類とは?

みなさんが即座にイメージされるのは、大根・ゴボウ・ニンジン・カブ、このあたりでしょうか。

 

その他、サツマイモ・ジャガイモももちろん根菜類ですし、地下茎を食用するものとしては、レンコン・生姜などもあります。

 

なんと、体を温める根菜は〇〇だけ!

これらの根菜類が体を温めるかどうかについて、インターネット上では実に様々な情報が飛び交っています。

大根が温めると書かれているサイトもあれば、冷やすと書かれているサイトもあるといった具合です。

 

本当のところは、どうなのでしょうか?

 

12月に旬の時期を迎える代表的な根菜類には大根・カブ・ニンジン・ゴボウ・レンコン・山芋などがあります。

実は、ここに挙げた根菜のうち、身体を温める効能を持つ温性の性質を持つのは、なんと「カブ」だけなのです。

 

 

むしろ、体を冷やす性質を持つ根菜も!

大根(生)・ゴボウ・レンコン(生)は、体の熱を取る涼性や寒性の性質を持っており、それ以外の根菜類は平性(温めもしないし、冷やしもしない)であることが多いのです。

 

火を通して調理すると、性質が変わるものもある

生で食べるか調理するかによって、性質が変わるものもあります。

それがレンコンと大根です。

 

火を通す事によって、レンコンと大根は、冷やす性質から平性へと変わります。

 

参考文献
  • 謝夢洲主 編『中医薬膳学』,中国中医薬出版社.
  • 翁維健主 編『中医飲食営養学』 ,上海科学技術出版社.
  • 仙頭正四郎 監修『現代の食卓に生かす「食物性味表」』 ,日本中医食養学会.

 

根菜類の性質まとめ

根菜類について下記にまとめてみました。

温めるイメージが強い根菜類ですが、意外と温める性質を持つ根菜は少ないことが分かりましたね。

体を温める根菜類

カブ・生姜

 

平性の根菜類

ニンジン・サツマイモ・里芋・ジャガイモ・山芋・レンコン&大根(火を通した場合)

 

体の熱を取る根菜類

ゴボウ・レンコン&大根(生の場合)

おわりに

 

温めると思って、サラダの中身を大根にしても、結果は他の夏野菜と同じになります。

冬はできるだけ火を通して、旬の根菜類をお楽しみください。

 
 コラムニスト情報
茂呂 麻子
性別:女性  |   職業:薬膳スクール「美カラダ」講師

こんにちは、国際中医薬膳師の茂呂です。
北京中医薬大学日本校にて本格的に薬膳の勉強をしてまいりました。
横浜を中心にスカイプを使って全国の方を対象に薬膳スクール「美カラダ」を主宰しております。

体は食べたものでできています。
冷えや生理痛、頭痛やだるさなどの体の悩みを改善する食材のご紹介や中医学を中心とした体の診方などの情報を書いていきます。

どうぞよろしくお願いいたします。