不動産投資"マンション・アパート経営"における「サブリース契約(一括借上げ契約)」のメリットとデメリット

不動産投資の「サブリース契約(一括借上げ契約)」メリットとデメリットを解説。空室や家賃滞納問題の任せきりはNG!保証内容について契約条項を要確認!

執筆者: 荒川雄一 職業:国際フィナンシャルコンサルタント
家賃保証だから安心?サブリース契約する前に知っておくべきこと

こんにちは、国際フィナンシャルコンサルタントの荒川雄一です。

 

さて今回は、不動産投資においてよくみられる「サブリース契約(借り上げ契約)」のメリット、そしてデメリットについて、考えてみたいと思います。

 

 

サブリース契約とは?
不動産会社などがオーナーから物件を借り上げ、入居者へ又貸し

サブリース契約(借り上げ契約)とは、不動産会社などがオーナーから物件を借り上げ、借り上げた物件を入居者へ「転貸する契約」の事をいいます。


最近では、投資用マンション・アパートを建築する会社が、オーナーの不安を解消するために提供しているケースが多く見受けられます。

 

一括借上げだから空室や家賃滞納の心配がない

不動産オーナーにとっては、不動産会社が物件を借り上げてくれるので、空室や滞納の心配がなくなります。

 

受け取れる収入は10-15%程度減少

ただし、不動産会社が家賃を保証してくれる代わりに、低い借上げ家賃となりますので、直接入居者に貸した時の家賃と比べ、10-15%程度受け取る収入は少なくなります。

サブリース契約のメリット

サブリース契約のメリットとしては、次のようなことが挙げられます。

 

  1. 借り上げにより家賃を保証してくれる(空室リスク回避)
  2. 入金管理や滞納の取り立てなども借上げ会社がやってくれる
  3. 入居者との直接のやり取りをしなくてよい


従って、日中、別のお仕事をされているビジネスパーソン(いわゆるサラリーマン大家さん)などが、利用されているケースが多く見受けられます。

 

サブリース契約のデメリット

反面、サブリース契約のデメリットとしては、以下のことなどが挙げられます。

  1. 競争力のある新築時にも家賃が満額入ってこない
  2. 礼金や更新料などが受け取れない
  3. 自分の持ち物という感覚が鈍ってくる


この中でも、私は、3 が実は大きなリスクであると感じています。

 

自分の持ち物という感覚が鈍ってくると…

というのも、自分の所有物であるにもかかわらず、ただ家賃が入ってくればよいという感覚になってしまうと、建物の保全、設備の補修への関心、そして家賃相場の感覚、入居者の要望など、「不動産経営」をするうえで、重要なことが疎かになってしまうからです。

そうなってしまうと、仮に10年、20年後に、サブリース会社との間で、家賃の条件などが折り合わず、自主経営をしなければならなくなった時、どうしてよいかわからない状況になるケースがほとんどです。

 

当初の家賃がずっと保証されるわけではない

また、サブリース契約の中身についても、じっくりと吟味する必要があります。
一般的な契約には、このような条項が書かれています。

 

  • 「一定期間経過後は、2ヶ月前の告知で契約を解除できる」
  • 「家賃の見直しができる」
  • 「見直しに応じなければ、契約を解除できる」 など


契約当初「30年、35年保証」と謳ってあっても、当初の家賃がずっと保証されるわけではないのです。

 

競争力のある新築時に、家賃が満額入ってこないのはもったいない!

一般的に、「空室リスク」や「家賃の下落リスク」は、年数が経過するにつれて大きくなります。
逆に言えば、新築から10年くらいの間は、それほど大きな問題ではありません。

特に、新築時は、最も競争力があるので、家賃を相場よりも高めに設定できる時期でもあります。
にもかかわらず、サブリース契約によって、家賃の満額を受け取れなくなることも、オーナーは考えておく必要があります。

 

時間などの制約がなければ、「不動産経営」するのがお勧め!

従って、時間や様々な制約なども考慮したうえで、可能なのであれば、サブリース契約を使わずに、不動産経営をしていただいたほうが良いと、個人的には考えています。


家賃保証会社を通して、家賃滞納などのリスクを回避し、近隣物件の情報を不動産仲介会社から入手しながら、空室対策を行い、利回りを高めることも十分可能だからです。

まとめ
  • サブリース契約は、非常に便利なようだが、投資利回りの低下につながる。
  • 不動産オーナー(経営者)という感覚を維持するには、管理会社や家賃保証会社などを上手に用いながら、自主経営を行うのがお勧め。
  • 時間がなく、どうしてもサブリース契約を利用する場合でも、建物や設備の保全はすべてオーナーの責任なので、しっかりと修繕積立金などの準備はしておく。


サブリース契約を用いるかどうかは、ご自身の制約条件を考慮したうえ、10年、20年先を考え、メリット、デメリットを理解したうえで、決めることが重要と言えるでしょう。

 
 コラムニスト情報
荒川雄一
性別:男性  |   職業:国際フィナンシャルコンサルタント

投資顧問会社IFA JAPAN®株式会社ほか、リンクスグループ3社の代表を務める。現在、経営コンサルタントのほか、金融機関に影響を受けない独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として、国内外の金融商品を用いた「ポートフォリオ・マネジメント・サービス(PMS)®」の評価は高い。
また教育にも力を入れており、講演回数は800回以上。その他、日本経済新聞社、各マネー誌、フジTVなど執筆、出演も多数。

■ライセンス
経済産業省登録 中小企業診断士
国土交通省登録 公認 不動産コンサルティングマスター
日本FP協会認定CFP® 他

■メディア実績(執筆、取材など)
 ・日本経済新聞 、日経ヴェリタス 
 ・納税通信、税理士新聞
 ・富裕層向け雑誌「ミリオネア」「NILE’S NILE」
 ・フジテレビ「とくダネ!」、テレビ朝日「やじうまテレビ!」など

■著書
「海外分散投資入門 ―日本が財政破たんしても生き抜くためのノウハウ―」
(Pan Rolling社)
「海外ファンドのポートフォリオ」(Pan Rolling社)
「着実に年10%儲ける海外分散投資入門」(実業之日本社)
「投資のプロが教える初心者でも失敗しないお金のふやし方」(IFAメディア出版)