不動産投資の上級者向け!「再建築不可の物件」を購入するメリットデメリット
不動産投資の上級者向け!建て替え不可の「再建築不可の物件」を購入するメリットデメリットを紹介。初心者が手を出すのはリスクが高すぎるのでお勧めできません。
こんにちは、国際フィナンシャルコンサルタントの荒川雄一です。
今回は、不動産投資において、少し上級者向けの「再建築不可の物件」について考えてみましょう。
「再建築不可物件」とは、文字通り再建築ができない建物のことです。
万一、地震や火災などで家が消失して建て替えたいと思っても、行政からの建築許可が下りず、再建築ができません。
理由は物件により様々ですが、一番多いのは「接道義務」を果たしていないケースです。
建築基準法では、道路に2メートル以上接していないと建物が建てられません。
「旗竿地」や「路地状敷地」などと呼ばれる奥まった敷地の中には、このような物件が見られます。
こうした物件は、建て替えができないため、居住用で探している人には敬遠されがちです。
ただこのような土地も、「人に賃貸して家賃収入を得る」という人にとっては、“お宝物件”になる可能性もあります。
再建築不可物件は、建て替えができないという理由で、通常の物件の30%~50%程安く流通しています。
どうしても新築がいいと言う人にとっては、再建築不可物件はお勧めできませんが、柱と壁を残して、リフォームすることは可能なので、投資用物件には十分利用できます。
建物は、外壁と内装を一新すれば、見た目は「新築物件」に様変わりするからです。
投資とは、「投下した資本に対する収益」で、評価を行います。
一方、居住目的で賃貸物件を借りる人は、住む環境が快適であれば、その物件が、再建築できる物件かそうでないかは、問題ではありません。
従って、月家賃10万円で貸せる場所にある一般的な物件が、2000万円だとした場合、再建築不可の物件は1000万円程度で取得できますが、家賃収入はほとんど変わらないのです。
- 一般的な物件の場合
家賃年収120万円÷購入額(投下資本)2000万円=収益率6%
- 再建築不可物件の場合
家賃年収120万円÷購入額(投下資本)1000万円=収益率12%
このように、再建築不可物件は、一般的な物件と比較して2倍の収益を得ることができます。
とはいえ、この物件をいざ売ろうとした場合は、当然、自分が買ったような価格しかつきません。
従って、短期での転売は向きません。
仮に、10年間の投資で考えた場合、12%の収益率からコストを引いて、年8%残ったとしましょう。
そうすれば、8%×10年=80%の資金を回収することができます。
※ここでは、税金の計算は考慮していません。
この場合、自分の購入した価格より、低い価格での売却となったとしても、「トータルリターン」では、十分プラスとすることも可能となります。
将来的に、接道義務をクリアすれば建て替え可能に
また、将来、隣地所有者に買ってもらうか、逆に隣接する土地を買って、2mの接道を確保するといった方法も考えられます。
このように、投資妙味の高い不動産投資ではありますが、誰にでもお勧めはできません。
再建築不可の物件の場合、融資がつかないケースや、借りられても金利が高いケースがほとんどです。
従って、ある程度自己資金(余裕資金)を持っている必要があります。
また、物件の目利き・リフォーム(大規模修繕)の方法・家賃設定など、ある程度の知識や経験がないと、良い物件を手に入れることはできないからです。
その意味では、「”プロの不動産オーナー”を目指す方が取り組むべき投資」と言えるでしょう。
- 再建築不可物件は、通常の物件より、かなり安く購入できるため、投資妙味(投資効率)は高い
- ただし、物件の目利き、大規模修繕の方法、資金の手当てなど、十分考えた上で投資することが必要
- 短期売買には向かないため、中長期間保有し、「トータルリターン」でプラスを目指す投資方法といえる
実際に投資を検討したい方は、自分自身、よく知識を身につけるとともに、経験豊富な不動産コンサルタントなどのアドバイスを受けながら実践すると良いでしょう。
|
|
投資顧問会社IFA JAPAN®株式会社ほか、リンクスグループ3社の代表を務める。現在、経営コンサルタントのほか、金融機関に影響を受けない独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として、国内外の金融商品を用いた「ポートフォリオ・マネジメント・サービス(PMS)®」の評価は高い。
また教育にも力を入れており、講演回数は800回以上。その他、日本経済新聞社、各マネー誌、フジTVなど執筆、出演も多数。
■ライセンス
経済産業省登録 中小企業診断士
国土交通省登録 公認 不動産コンサルティングマスター
日本FP協会認定CFP® 他
■メディア実績(執筆、取材など)
・日本経済新聞 、日経ヴェリタス
・納税通信、税理士新聞
・富裕層向け雑誌「ミリオネア」「NILE’S NILE」
・フジテレビ「とくダネ!」、テレビ朝日「やじうまテレビ!」など
■著書
「海外分散投資入門 ―日本が財政破たんしても生き抜くためのノウハウ―」
(Pan Rolling社)
「海外ファンドのポートフォリオ」(Pan Rolling社)
「着実に年10%儲ける海外分散投資入門」(実業之日本社)
「投資のプロが教える初心者でも失敗しないお金のふやし方」(IFAメディア出版)
|
|