生活保護は「7割が役所で断られる」生活保護の申請書をくれない時は、法テラスへ

生活が苦しいので生活保護を受給したい。役所に行って申請書を…ところが7割は申請書自体が貰えないのが現実。専門家を同行させて申請を可能にしましょう。

執筆者: ヨースケ城山 職業:節約アドバイザー
生活保護の現実は「7割が役所で断られる」

 

こんにちは、節約アドバイザーのヨースケ城山です。

全国で生活保護を受けている人が、2015年3月時点で217万4331人となり、過去最多を更新したと発表されました。

 

受給世帯も、3773世帯増の162万2458世帯で、過去最多でした。

「最後のセーフティ―ネット」と呼ばれるこの生活保護ですが、行政もそう簡単には申請を許可してはくれません。

 

では、なぜいわゆる水際作戦(受付での追い返し)がおこるのか、その理由を今回はご紹介したいと思います。

 

 

基準があいまい!自分が該当するのか解らないという現実

住んでいる市区町村で基準の違いもあります。

また、その基準も実にあいまいに作られています。

 

例えば、東京の杉並区のホームページには、このように生活保護基準が掲載されています。

 

「このような方が生活保護を受けられます。」

  • 病気などで働けない為生活が出来ない。
  • 年金が少なく生活費がたりない。
  • 家賃が支払えず追い出されそう。
  • 失業後、蓄えがなく生活できない
  • 医療費が支払えず、医者にかかれない。

 

(杉並区生活ガイド参照)

 

これを見た方は、間違いなく該当すると思うはずです。

そして、該当するか迷った際は、各地方自治体の専用事務所に問い合わせ、相談することになっています。

 

7割の人が申請さえもさせて貰えない!

次の愛知県でのデータをご覧ください。

2009年
  • 相談件数 66,017
  • 申請件数 21,093
  • 保護開始件数 20,126

 

2010年
  • 相談件数 54,712
  • 申請件数 17,653
  • 保護開始件数 17,061


もちろん、これは各地方自治体で差はあると思いますが、2010年の愛知県の例では、申請に対する保護開始率は96%にもなるのに、相談に対する申請率は32%に落ち込みます。

10人に7人が申請もさせてもらえないのが、生活保護制度の実情なのです。

 

では、なぜ申請をさせてもらえないのか?

以下は、杉並区の生活保護を受ける条件についてという項目です。

(1)世帯全員の能力や資産の活用、あるいは親・兄弟・子供の援助を受けるなどの努力をしてください。

 

  • 働ける方は、能力に応じて働く。
  • 貯金・生命保険など活用できるものは生活費に使う。
  • 親・兄弟・子供など親族に援助を頼む。
  • 年金や手当など他の法律や制度で受けられるものは、全て受給する。
  • 住んでいない家や土地の売却、自動車の処分をする。


(2)住んでいる家や土地を所有している方は一定の条件のもとで、家や土地を所有することも可能ですが、売却していただく場合があります。

なお、不動産担保型生活資金の貸付制度を優先して利用していただく場合もあります。

 

(東京都杉並区生活ガイド参照)


特に(1)の親・兄弟・子供などに援助を頼むという項目がありますが、頼める人がいるのなら、多分相談には来ていないと思われます。

 

相談に来る人のほとんどは、頼める人がいないからこそ来ているはずなのです。

 

個人事情は考慮してもらえない

しかし、行政には、個人事情は考慮して貰えないと思った方が良いです。

親族に頼むことのできない事情があっても、頼むように指導されます。

すると「相談には行ったが、諦めるしかない」という状況になります。

 

知識のある者が一緒に行かないと、申請が出来ない現実

基本的に、役所が申請を断る行為は、違法行為となっています。

申請書は出すことが出来るのです。

 

申請書をもらうことは、簡単ではない

しかし、その申請書をもらう為に相談業務を受ける必要があり、そこで食い止められてしまうのです。

それに対抗するには、専門家に同行してもらうのが一番です。

同行して貰える団体
  • 日本司法支援センター法テラス http://www.houterasu.or.jp/

ここでは同行支援の他にも、弁護士・司法書士にかかる費用等の立て替え金制度などもあり、とても頼れる存在です。

 

  • 特定非営利活動法人 自立生活サポートセンター・もやい http://www.moyai.net/

こちらも同行をしてもらえます。

 

条件を満たしていることを、専門家に証明してもらおう

必ず専門家といかないと相談員に申請書すら貰えないのが生活保護です。

生活保護を受ける条件である「親族に頼めない」理由もしっかりと説明できるように、専門家と話し合っておきましょう。


先にお話したように、申請さえできれば、96%の確率で保護開始となります。

申請書をいかに貰うか、専門家と相談の上、役所に行きましょう。

 

「申請書をいかに貰うか」が生活保護受給のカギ

申請書が出せれば、確実に受給が出来るのが生活保護。

 

しかし、自分一人の力では限界があります。

是非専門家の力も借りて、生活保護を受給してください。

 

なお、生活保護を受けるということは、自由も制限を受けるということでもあります。

プライバシーの侵害のようなこともあり得るということは、申請前から受け止めておきましょう。

 

それでも生活保護は、国民すべてが受けることの出来る立派な権利です。

 
 コラムニスト情報
ヨースケ城山
性別:男性  |   職業:節約アドバイザー

社会保険労務士合格者

ファイナンシャルプランナー

住宅ローンアドバイザー

年金アドバイザー

1973年生まれ。大学卒業後、商売の基本を学ぶため大手100円ショップに入社。1円単位の原価計算の重みを知る。その後、大手スーパーに転職し、値引きやタイムセールを担当。リアルな現場での駆け引きや相場観を養う。またその手腕により東京地区エリアマネージャーとなり、新人採用を年間4000人担当した。

著書「給料そのままで月5万円節約作戦!!」の中では固定費の削減を中心に
ラクして貯めるをモットーに活動している。

ブログでいつも取り上げているテーマは節約全般、社会保険労務士試験 住宅ローン 労働問題 ブラック企業 障害年金 40代の転職 出版について 潜在貯蓄 教育についてなどになります。興味がある方は是非ブログも覗いてみてください。

著書は『給料そのままで「月5万円」節約作戦!』(ごま書房新社)。本の内容は、『らくらく貯蓄術。住宅ローン地獄に落ちない為の家計防衛のススメ。』
http://kotukotushinai.jimdo.com/
にもまとめられている。

ブログ『節約アドバイザー ヨースケ城山ブログ』http://ameblo.jp/yousukeshiroyama
では、節約だけではなく転職活動、著書、社労士、FPのことを配信中。

【著書】
2012年 給料そのままで「月5万円」節約作戦【ごま書房新社】より発売
2015年 給料そのままで「月5万円」節約作戦がkindle化されました。
2015年 「kindle無料キャンペーン」でベストセラーランキング1位を獲得して販売につなげる方法 発売。
2016年 給料そのままで「月5万円」節約作戦 増補改訂版発売
2016年 「子供の教育費は削りなさい!」奨学金利用者50%以上時代の新教育費計画発売
2017年 給料そのままで「月5万円」節約作戦 増補改訂2版発売
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