レディーファーストのスマートな受け止め方。恥ずかしがって遠慮するのは、かえって失礼!

オリンピックも近づく今、男性にレディーファーストをしてもらったときの、女性のスマートな対応の仕方を紹介。レディーファーストは、世界標準マナーですが、日本人は男女問わず、その習慣に慣れていない人が多いのが実情です。

執筆者: 矢野 誉美 職業:マナー・プロトコール講師・ホテリエ
これであなたも素敵なレディ♡ ~レディーファーストをスマートに~

こんにちは。マナープロトコール講師の矢野誉美です。

 

映画館やショッピングセンターなどでのレディスデー、ホテルやレストランでのレディスプランなど、私たちの周りには女性にとって魅力的なサービスがたくさんあります。

 

今回は、そんなレディを代表する素敵な言葉、「レディーファースト」についてご紹介したいと思います。

 

 

レディーファファーストの起源は?

では、このレディ-ファーストは、いつ頃、どのように確立されたのでしょうか。

まず、キリスト教が庶民に浸透し始めた中世ヨーロッパでは、道徳的な要素が強まり、「良い行い」を重んじる傾向に変化します。
この頃のキリスト教の戒律は厳しく、快楽を禁じるあまり、誘惑の根源であるとされた女性の地位は低く、聖母マリアを除いて、女性は社会的に抑圧されていました。

ですが、そののちに、純潔と母性の象徴である聖母マリアに対する崇拝が高まり、女性全般を崇高なものとする風潮に変化したと言われています。
女性を性的対象として見るようになった男性は、女性に気に入られようと振る舞うようになり、さらに、私欲を捨てて弱者を保護し、貴婦人を崇拝し忠誠を誓う騎士道精神へと発展したのです。

 

このように、レディーファーストは、もともと中世の騎士道精神から生まれ、欧米諸国では日常の習慣となったというわけです。

 

  • 参考資料 日本マナー・プロトコール協会 (著) 改訂版「さすが!」といわせる大人のマナー講座

 

レディーファーストは、世界標準マナー!

ただ、現在では、欧米諸国に限らず、国際会議や外交の場でも、夫人同伴の場合に、女性に配慮するマナーとして実践されています。

また、国際的な外交の儀礼上のルールであるプロトコールにおいても、レディーファーストは、5原則の一つとして明確に記されています。

 

プロトコール5原則
  1. 序列の重要性
  2. 右上位
  3. 答礼・相互主義
  4. 異文化尊重
  5. レディ・ファースト

 

●関連コラム

国際的マナーを身につけよう!プロトコール(外交儀礼)の5つの原則

 

身近なレディーファーストの例

私たちの身近なところでのレディーファーストとして、以下のようなものがあります。

 

  • 女性の荷物を持つ
  • 車のドアや建物の扉を開ける
  • 食事の際に椅子をひく
  • 道路では車道側を男性が歩く など


上記の例を見ると、どれも相手への思いやりと優しさからくる行動であると気づくのではないでしょうか。

 

 

日本におけるレディーファーストの実情
男女問わず、レディーファーストに慣れていない…

先に述べたように、レディーファーストは西洋の文化で生まれたものですから、東洋の文化で育った私たち日本人は、現代においても男女問わず、レディーファーストに慣れていないというのが実情のようです。

 

近頃はかなり改善されつつありますが、ベビーカーの親子連れを押しのけてでもエレベーターに乗り込むのは日本人だけだと外国の方から指摘されたこともあります。
歴史上、一時的に海外との交流を絶っていた日本ですから、西洋の文化をスムーズに取り入れるのは容易ではなかったはずとはいえ、悲しい現実ですね。

 

レディーファースト、する男性だけでなく、される女性も苦手?

ただ、レディーファーストについては、する側の男性だけでなく、受ける側の女性のほうでも戸惑う方が多いのではないでしょうか。

 

自然な笑顔で、感謝の言葉を伝えるのがスマート

もともとは、相手への配慮、思いやりが基本ですから、受けた場合には「ありがとうございます」ときちんとお礼を述べることが大切です。

 

車のドアを開けてもらったり、レストランで椅子を引いてもらったりすると、少し恥ずかしく、そして嬉しいのですよね。
「ありがとうございます」の言葉とともに、素敵な笑顔を添えてください。

 

 

遠慮するのは、かえって失礼!

日本人の美徳の一つとして「遠慮」という言葉があります。

和室での着席の際に、勧められた座布団を一度は遠慮するというのが、和の作法では常とされています。


ところが、レディーファーストではこの限りではありません。

重たい荷物を持ってくれようとしている男性に対して、それを頑なに断るのはかえって失礼にあたります。
ここは素直にお願いしてみましょう。

ただし、お礼を言うのは忘れずに。

 

ただし、和室での振る舞いには十分注意を…

レディーファーストが浸透してきたからといっても、和室での振る舞いには十分な注意が必要です。
高級料亭や、旅館などの和室では上座や下座が重んじられます。
日本の文化では、女性がでしゃばりすぎず、控え目に振る舞うことが良しとされる状況も多々あります。


ビジネスシーンや正式な会合の場で和室を利用する場合には、自分(女性)が主賓でない限りは、上座へ座るのは避け、しっかり自分の立場をわきまえ、相応の対応をするよう心がけましょう。

 

素敵なレディになるためには

レディーファーストというくらいですから、それを受ける女性もそれに伴う節度をもったレディでなければなりません。
相手への礼儀としての身だしなみはもちろん、所作や立ち居振る舞い、言葉遣いなども大切な要素です。

やってもらって当たり前という横柄な態度では「レディ」として失格です。

 

西洋と日本の文化の違いを理解して、臨機応変に対応するのが真の淑女

また、レディーファーストが世界基準となっている現代ですが、西洋と日本の文化の違いを理解していなければなりません。

その時々の状況によって、自分の振る舞いを臨機応変に使い分けできることが必要となります。


少し難しく思うかもしれませんが、どんな状況でも、親切にしてもらったらお礼を言うのが自然の流れ。

「ありがとう」という言葉が無意識に出るようなあなたなら、もう素敵なレディであること間違いなしです。

 
 コラムニスト情報
矢野 誉美
性別:女性  |   職業:マナー・プロトコール講師・ホテリエ

外見だけでなく、内面も同時に磨けたら。
マナーとは敷居の高いものではなく、産まれてから今日に至るまで日々、家庭の中で育まれてきたものです。

『人』とのコミュニケーションの基礎になるマナーの本質をしっかりと身に着けて頂くために、親から子へ・・・引き継がれるべきマナーについて、優しく、そして自分自身のブラッシュアップの為のマナーセミナーを開講しています。

マナーを軸として『サロン(仕事)に活かす』『ライフスタイル(生活)に活かす』という2面からフォーカスした楽しく吸収できる知識をお伝えしています。
接客業20年のキャリアから、『リピーターを作る』に特化した接客メソッドを確立。現役でホテリエを続けながら、サロネーゼ向けのマナーレッスンを銀座にて開講。

顧客満足=スタッフ満足=わたし、満足 をゴールとして、サロン・クリニックに特化した接遇マナーレッスンも大好評

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