日本の旨味だしと、海外のフォン・ブイヨン。それぞれの違いと特徴

執筆者: 岩佐 優 職業:昆布料理研究家
はじめに

こんにちは。昆布料理研究家、2014年度の昆布大使の岩佐優です。

今日はフランスイタリアなど、世界の出汁についてご案内いたします。

「出汁が全て」「ソースが命」と言われる料理

私が得意とするのは日本料理とフレンチです。
そう、「出汁が全て」「ソースが命」と言われる料理です。星の数ほどソースがあります。

その多くのソースのベースが出汁なのですが、現場で使う出汁の種類は基本5~6種類です。
それを様々な素材と合わせて変化をさせていきます。


ですので、出汁の時点では、シンプルに素材の旨みが味わえるものの方が、都合が良いのです。

 

 

フランス料理のソースのベース「フォン」や「ブイヨン」

フレンチで言えばソースのベースになるフォン。
スープや煮込み料理のベースになるブイヨン。

イタリアンではスーゴやブロートとなりますが、基本は全く同じものです。

あとは、どういう料理に最終的に仕上げるのかをイメージして、ハーブや酒、香辛料、フルーツを加えてみたりと、変化をさせていきます。

 

 

洋食の出汁は肉(魚)と野菜

洋食の出汁は、肉(魚)と野菜の出汁。
和食の「鰹と昆布の一番出汁」と同じく、グルタミン酸とイノシン酸の出汁ということになりますが、その味わいは全く違うものです。

洋食のだしは厚みがあるゼラチン質の旨みの出汁、分かりやすく言えば、旨みはあるが「ボーッとした味」の出汁。
そのためフレンチの味付けは、様々な調味料、ハーブなどを使い、アクセントをつけて仕上げていきます。

日本料理のものと違って、骨も叩き割って長時間煮込んで、初めて抽出できる出汁です。
だから冷えた洋食の出汁は、肉も魚もゼラチン質で固まるものが多いのです。

 

 

日本食の出汁は旨みのキレが強い

一方、日本食で一番ポピュラーな「鰹と昆布の一番出汁」は、厚みはないがすっきりとした、旨みのキレが強い出汁なのです。

ポトフなど味がボーッとしがちな料理に、日本料理の出汁を加え、アクセントをつけて仕上げる。

無意識に行っていたこの行為は、仕事をしていくうちに何故なのかを理解出来るようになりました。

 

もしご家庭で「いまいち何か味が足りない気がする」「味がぼやけている」と感じた時は、日本の出汁を加えるときゅっと引き締まるかもしれません。

おわりに

「洋風の出汁は厚みがあるが、キレが無い」「日本料理の鰹と昆布の出汁は、キレはあるが、厚みにかける」ということを裏付けるような、科学的な成分データが存在しています。

出汁(UMAMI)には個性がある、その個性をちゃんと理解し、補完しあう組み合わせを考える。
これをしっかり自覚していれば、「味付けの迷路」に迷い込むことがないのです。

出汁(UMAMI)の個性をしっかり理解して料理を作る。
家庭料理であろうと、プロの料理であろうと、それを認識する必要があります。

 
 コラムニスト情報
岩佐 優
性別:男性  |   職業:昆布料理研究家

昆布料理研究家 岩佐優が目指すのは、
毎日の食卓に昆布料理物語を!
料理家が提案する昆布ライフ!
できるだけ始末して、料理して、
おいしくご飯を食べたいと願う全国の方々に
昆布料理の本物の料理、始末した昆布料理の真髄を提供することです。

安心して召し上がれる食材を選び、旬のものをこの今に味わい、
春夏秋冬ならではの料理を私が作っています。
昆布料理  うさぎや
HP http://kyoutousagiya.jimdo.com/ 

 

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