パート・アルバイトの社会保険は必須?法律に基づいた加入義務と条件とは
こんにちは。さとう社会保険労務士事務所の堀 真寿です。
今回は、パートタイマーでも社会保険に加入しないといけないの?ということをテーマに、勉強をしたいと思います。
先日、クライントの人事担当者から、次の質問を受けました。
「最近採用をしたパートさんが、社会保険料は高過ぎるので、社会保険の加入はしたくない」というご相談です。
もう少し話を聞きますと、勤務条件は1日4時間・週5日勤務であることが分かりました。
その上で、以下の2つの質問を受けました。
- 本人の希望で加入をしない旨の合意書の取交しをもって、加入をさせないという選択肢は有りか?
- 労働条件や雇用契約の内容を変更(社会保険適用->無)すれば、加入させなくても良いのか?
それでは、1つずつ整理していきます。
広い意味での社会保険は、労働保険を指します(雇用保険と労災保険)。
狭い意味での社会保険は、健康保険と厚生年金保険を指します。
それぞれ被保険者となる要件は、雇用期間、週の所定労働時間、加入年齢などがあり、これらの要件をクリアする場合、本人の選択の余地なく強制的に保険加入させます。
加入しない旨の合意書があっても駄目です。
勤務時間、勤務日数が通常の従業員よりも少ないパートタイマーの場合でも、週の所定労働時間が20時間以上、且つ31日以上雇用見込みがある場合は、雇用保険に加入する必要があります。
また、社会保険(健康保険と厚生年金保険)については、週の所定労働時間が以下の基準に該当する場合には、加入が必要になります。
1日または1週の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、当該事業所において、同種の業務に従事する通常の就労者(いわゆる正社員のこと)の所定労働時間および所定労働日数の、おおむね4分の3以上であるパートタイマー
なお、①1日または1週の所定労働時間と、②1カ月の所定労働日数の関係では、①②の基準をいずれも満たす場合に常用的使用関係(正社員並み)にあると認められます。
しかし、①②のどちらかを満たさない場合であっても、総合的に「おおむね4分の3以上」を目安として適用となる場合が、実務としてはあります。
今回、採用したパートタイマーは、週の所定労働時間が20時間のため、現在は社会保険(健康保険と厚生年金保険)の加入対象者とはなりせん。
雇用保険のみ加入となります。
また、注意点として、入社時に従業員と取交す雇用契約書上は、社会保険の適用基準の要件に非該当であっても、いざ勤務をしてみると、残業をするなどで労働時間の実態が契約時間を超え、適用基準を満たす場合には、要件に該当すると判断されることがあります。
こちらは、年に1回行う算定基礎届の時期に年金事務所から調査が求められることが最近多くなっており、その際にパートタイマーのタイムカード等をチェックされ、社会保険の加入漏れがないかを厳しく見られます。
雇用保険の適用基準も社会保険と同じく、労働時間の実態で判断をされます。
「公的年金制度の財政基盤および最低保障機能の強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」(平成24年8月公布)により、短時間労働者(いわゆるパートタイマー)に対する健康保険、厚生年金保険の適用が拡大することが決定されております。
新たなパートタイマーの社会保険適用基準は、以下の5点となります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 勤続1年以上
- 月額賃金が8万8000円以上(年収106万円以上)
- 学生は適用除外
- 一定規模(501人)以上の企業…※
社会保険と雇用保険については会社側、従業員の双方が保険料の負担をすることから、受けられる給付、被保険者の適用基準を理解した上で、雇用契約の内容を検討することが重要となります。
冒頭でもお伝えした通り、本人の意思に関係なく社会保険の被保険者になりますので、仮に社会保険への加入を希望しない場合は、週所定労働時間を適用基準未満に抑えるなど、労働条件の見直しも1つの手となります。
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