就業規則って絶対必要なの?会社と社員を守る労働契約のルールブック
こんにちは。さとう社会保険労務士事務所の堀 真寿です。
今回は、就業規則って何のためにあるの?をテーマに勉強をしたいと思います。
先日、中小企業の社長さんから弊所に問い合わせがあり、次の質問を受けました。
「就業規則って労働基準法のカタマリのようだよね。こんなモノ作ったら社員に権利ばかり主張されると思うんだけれど、作成しなきゃいけないの?」と。
もう少し話を聞きますと、従業員数は5名で現在のところ、就業規則は未整備であるとのことでした。
厚生労働省によると、職場のトラブルに関する相談件数は、平成20年より毎年100万件を超えているデータがあります。
主な相談内容としましては、解雇や雇い止め、退職勧奨など雇用契約の終了に関することや、企業業績不振を理由とした労働条件の引き下げがあります。
これらの原因は、就業規則の不備によるものが多く、規定と実態が大きく異なり、労働環境の変化に対して迅速に対応していないなど、会社と労働者の間に労働条件に関する取り決めが明確にされていないため、発生しているものと考えられます。
端的に言うと、会社全体の労働条件についてルール決めしたものです。
具体的には、賃金規定、育児介護休業規定、慶弔見舞金規定、旅費規程など含め、会社が定める職場規律や労働条件に関する規則がこれにあたります。
就業規則は、労働契約のもととなる最も重要な規則であり、社長も含めて、従業員全員が遵守するルールブックとして位置づけられています。
就業規則に記載する内容には、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項があります。
必ず記載しなければいけないのが絶対的記載事項、会社で定めた場合は必ず記載しなければならないのが相対的記載事項、記載するしないは自由なのが任意的記載事項です。
絶対的記載事項には、賃金や労働時間および退職など、労働者にとって一番大事な部分を記載します。
相対的記載事項の一例としては、退職金があります。
退職金を支給するかしないかは、会社の自由ですが、会社が退職金を支給することにした場合、支給対象者や金額などのルールを定めなければなりません。
任意的記載事項には、個人・顧客情報などのデータ流出防止や、SNSの悪ふざけ行為禁止や、パワーハラスメント、セクシャルハラスメントに関することを定めます。
なぜなら、ひとたび問題が発生すれば、会社の責任問題として、世間は注目することになり、会社の評判が悪くなるためです。
そのため、就業規則の服務規程、懲戒規定に記載をし、会社として出来る限りの対策をする必要があります。
労働者数10人以上の事業所は、就業規則を作成し、管轄の労基署へ届出を行わないといけません。
また、労働者数10人未満の会社は就業規則の作成義務はありません。
しかし、例えば、私傷病で休職を認める場合、ある人は3ヵ月間認めたにもかかわらず、またある人は1ヵ月だけだったりすると、統一性がなく、不公平になります。
休職制度は就業規則の中で事前に作成しておいた方が、問題は起きないと言えます。
次に、就業規則を作成したら、労働者代表の意見書を添付し、労基署へ提出します。
労働者の代表とは、事業場ごとに①労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、②労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者をいいます。
就業規則は、労働者へ周知しなければ効力を持ちません。
周知とは、労働者がいつでも閲覧できる状態にしておくことになります。
たとえば、社内のデータベースに就業規則を置き、従業員は、いつでも・どこでも見ることができる環境にする方法があります。
就業規則は、ご存じの労働基準法、労働安全衛生法、パートタイム労働法、男女雇用機会均等法など労働関連の諸法令や、民法その他の法令を根拠に作成をします。
実はそれ以外にも、職場の慣習や伝統、社風、経営方針や経営者の考え方、従業員の要望など様々なことを考えながら作成し、そこの会社に合ったものを作成するのが理想です。
また、関係する法令の改正が頻繁に行われることから、これに合わせて、今ある就業規則の見直しをし、または、新たな規定を追加するなどのメンテナンスをすることが重要となります。
パートでも、パートタイマー用の就業規則がない会社は、正社員の就業規則がそのまま適用されます。
また、従業員10人とは、正社員で10人ではなく、入退社の多いパートなども含めて10人以上なのかで判断をします。
冒頭の質問にありました、「就業規則って作成しなきゃダメなの?」と質問されていた社長さんは、このような話にご納得頂いて、むしろ積極的に就業規則の作成に取り組んで貰うことができました。
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