会社社長・役員でも労災が下りる?労災保険の「特別加入制度」手続きまとめ (2/2)

執筆者: HRプラス社会保険労務士法人
海外派遣者

次の人が対象となります。


1. 日本国内で行われる事業(有期事業を除く)から派遣されて、国外で行われる事業(海外支店、工場、現場、現地法人、海外の提携先企業等)で行われる事業に従事する労働者


2. 海外の開発途上地域に対する技術協力の実施の事業(有期事業を除く)を行う団体(独立行政法人国際協力機構等)から、開発途上地域に対して行われる事業に従事する者


3. 日本国内で行われる事業(有期事業を除く)から派遣されて、常時使用する労働者が300人(金行業、保険業、不動産業又は小売業は50人、卸売業又はサービス業は100人)以下の事業に従事する事業主及びその他労働者以外の者

 

  • 現地で採用される者は、海外派遣者とはみなされません。
  • 単なる海外出張は、海外派遣扱いになりません。

 

 

特別加入に必要な手続き

必要な手続きは特別加入の種類によって若干の違いがあります。

 

中小事業主などの特別加入の場合

事業について労災の保険関係が成立していることが必要で、かつ、その労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託することが条件なので、申請はその事務組合(事務組合の加入員である社会保険労務士でも可)を通じて行うことになります。

 

一人親方等の手続き

一人親方等の特別加入は、中小事業主と違って労働者がいないので保険関係が成立していません。
一人親方等が労災保険に加入を希望する場合は、一人親方等の団体又は特定作業従事者の団体を通じて特別加入をすることになります。

 

一人親方等の団体を事業主、一人親方等を労働者とみなして加入の手続きが行われます。

 

海外派遣者の手続き

派遣元の国内で行われている事業について、労災保険の保健関係が成立していることが前提です。

 

労働保険事務組合への労働保険事務処理の委託は必要とされていないので、派遣元の団体又は事業主が、申請書を所轄労働基準監督署を経由して都道府県労働局へ提出することで足ります。

 

一般労働者との保険給付の主な違い
加入申請のときに業務内容を届出

特別加入者は、加入申請のときにその者の業務内容を届出なければならず、災害を被った場合、その災害の認定も届出た業務内容の範囲において行われます。

 

特別加入者だけが従事する仕事には適用されない

中小事業主の場合は、株主総会・役員会・各団体の会議への出席やその用務並びに所定時間外の特別加入者だけの仕事に係る災害について災害認定はされません。

「労働者としての」業務中に遭った災害かがポイントとなります。

 

 

通勤災害について

特別加入者の通勤災害は、個人タクシー業者・個人貨物運送業者・家内労働者とその補助者は適用されません。

これらの者は、住居と就業の場所との間の往復の実態があいまいなことなどか、対象外とされています。


特別加入ができたからといって、全て一般の労働者と同じ扱いがされるわけではないことに注意しましょう。

おわりに

労災保険は、健康保険と比べて給付が手厚いものが多いです。

万が一の災害を考えると、入っておいた方が安心な方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

 

仕組みや事務手続きが分かりづらい、ということで加入を躊躇っているとしたら、お近くの労働保険事務組合や社会保険労務士に一度相談してみてはいかがでしょうか。

スピーディーに疑問点に答えてくれるはずです。

 
 コラムニスト情報
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