鉄分を効率よく補給するには?貧血の原因別改善・食事方法 (1/2)

執筆者: 高田 彰人 職業:理学療法士、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
はじめに

こんにちは、理学療法士の高田 彰人です。

 

前回は貧血についての基礎知識をお話しました。

今回は、医療機関での診断や治療、鉄分を含む食品などについて取り上げていきます。

 

医療機関での診断

まずは医療機関にて、しっかりと検査をする必要があります。

鉄欠乏性貧血の場合
  • 赤血球数(RBC)低下
  • ヘモグロビン(Hb)低下
  • ヘマトクリット(Ht)低下
  • 全赤血球容積(MCV)低下
  • 平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)低下

 

溶血性貧血の場合
  • 赤血球数(RBC)低下
  • ヘモグロビン(Hb)低下
  • ヘマトクリット(Ht)低下
  • 全赤血球容積(MCV)正常
  • 平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)正常
  • ヘモグロビン尿

 

医療機関での貧血の治療方法

鉄過剰症には注意が必要となるため、重度の治療で注射による鉄剤投与を行なう場合でも、ある程度改善したら経口鉄剤へ切り替えるのがよいでしょう。

  • 軽症:経口鉄剤
  • 重度:注射鉄剤

 

 

治療の経過
  1. 治療開始1週間   ⇒ 網状赤血球数増加
  2. 少し経過したら  ⇒ ヘモグロビン増加
  3. 6~8週間経過  ⇒ 症状は改善するも、血予備群状態
  4. 4~6ヶ月経過  ⇒ 蓄える鉄まで回復し、真の改善

 

原因別治療法

鉄分の補給だけでは改善できる可能性は低いです。
貧血の原因はこれまでにも述べた通り、数多く存在するため、貧血の原因に合わせて治療を行う必要があります。

  • 行軍貧血(赤血球の破壊による貧血)の場合

⇒足底の保護、テーピング、シューズ変更

  • 栄養不足の場合

⇒食事療法、栄養指導

  • 消化管出血の場合

⇒消化管の治療、トレーニング量の調整

効率よく鉄分をとるには?

野菜を中心とした、好き嫌いの少ないバランス良い食事を心掛け、鉄を多く含む食品を積極的にとることで効率よく貧血を予防・治療することができます。

 

鉄には肉類に多く含まれる吸収が良いヘム鉄と、野菜に多く含まれる吸収が悪い非ヘム鉄に分かれます。

 

以下に、代表的な食品をご紹介します。

 

鉄を多く含む食品
  • バジル、あさり、しじみなどの貝類
  • 魚類
  • ひじき

 

 

鉄の吸収を促進する食品
  • ビタミンC

 

ビタミンCは、そのままでは吸収されにくい非ヘム鉄を吸収されやすいヘム鉄に変える働きを持っています。

 


ですから、ブロッコリーや小松菜などのビタミンCを含む食材を一緒に調理したり、レモンを添えたりすることで、鉄の吸収率をアップさせることができます。

 

鉄の吸収を阻害する食品
  • 緑茶

 

緑茶や紅茶は、鉄の吸収を阻害するタンニンを含むため、とり過ぎないようにといわれることがあります。


一方、緑茶に含まれる「カテキン」には抗酸化作用があり、ビタミンCと葉酸が豊富といったメリットもあります。

 

貧血になりやすい方は、食事の前後に緑茶を飲むことをなるべく控えたり、飲み過ぎに注意するなど工夫するとよいでしょう。

 

 
 コラムニスト情報
高田 彰人
性別:男性  |   職業:理学療法士、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー

【資格】
理学療法士
認定理学療法士(スポーツ理学療法)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー
日本コアコンディショニング協会マスタートレーナー

【トレーナー活動歴】
土浦日本大学高等学校
茨城県立取手松陽高等学校 男子バスケットボール部
茨城県立取手第二高等学校 男子バスケットボール部 
茨城県少年男子国体バスケットボールチーム
車椅子バスケットボール 日本代表選手

【研究分野】
体幹機能
バスケットボールの障害
足関節捻挫
疲労骨折
肉離れ

【所属学会】
日本理学療法士協会
日本整形外科スポーツ医学会
日本臨床スポーツ医学会
日本コアコンディショニング協会

【コンセプト】
①監督‐選手‐トレーナーの共通理解の徹底化
②トレーニングと障害予防の融合
③アウターマッスルとインナーマッスルの共同

【トレーナー目標】
日本が世界では通用しないと思われているスポーツ分野の底上げ

【ブログ】
バスケ選手のためのトレーニング理論
http://ameblo.jp/arinco-power55/

【アドレス】
g.torini.9@gmail.com