生理中の不快症状を改善!市販薬「命の母ホワイト」の効果効能
こんにちは、薬剤師の田伏将樹です。
市販薬の「命の母」には、主に更年期の諸症状を改善する「命の母A」と、主に生理の諸症状を改善する「命の母ホワイト」があります。
今回は、11種類の生薬のみで構成されている「命の母ホワイト」についてお話します。
生理に関するトラブルは、漢方医学では「気」「血」「水」のバランスが乱れたことで起こるとされています。
「命の母ホワイト」には、昔から女性の薬として使われてきた生薬が配合されており、合計11種類の生薬が「気」「血」「水」のバランスを整えることで、生理の不調を改善します。
配合されている11種類の生薬は、次のように分類できます。
- 「血」に関する生薬・・・牡丹皮、桃仁、大黄、川芎、芍薬、当帰
- 「気」に関する生薬・・・桂皮、人参
- 「水」に関する生薬・・・蒼朮、茯苓、沢瀉
このように、さまざまな生薬が配合されているからさまざまな生理の不調に効く、と説明されています。
<参考情報>
小林製薬株式会社 命の母ホワイト ブランドサイト
http://www.kobayashi.co.jp/brand/inochinohaha/white/
ここで、命の母ホワイトに配合されている11種類の生薬を整理して、並び替えてみます。
すると、次のようになります。
a. 桂皮・芍薬・茯苓・牡丹皮・桃仁 ⇒「桂枝茯苓丸」(けいしぶくりょうかん)
b. 当帰・芍薬・川芎・茯苓・蒼朮・沢瀉 ⇒「当帰芍薬散」(とうきしゃくやくさん)
c. 大黄
d. 人参
※芍薬と茯苓はaとbに共通。
aの「桂枝茯苓丸」は、「瘀血」(血の流れが悪い状態)を改善させる代表的な漢方薬です。
bの「当帰芍薬散」は、「血虚」(血のはたらきの不足)と共に、胃腸の働きが悪くて「水毒」(水分代謝が悪い状態)が見られるような時に使われます。
2つとも、婦人科で使われる頻度の多いものです。
cの大黄は、下剤として便秘薬に配合されていることが多い生薬ですが、大黄には下剤の効果として以外に、炎症を抑えたり、精神を安定させたりする作用もあると考えられています。
便秘を伴うとき、又は、駆瘀血の(瘀血を改善する)働きを強めたいときに、「桂枝茯苓丸」に「大黄」を加えた方が良い場合があります。
これは、「桂枝茯苓丸加大黄」(けいしぶくりょうがんかだいおう)という処方名になります。
「当帰芍薬散」は、胃腸の弱い人が服用すると、まれに胃部不快感や食欲不振などが起きてしまうことがあります。
それを防ぐ為に、胃腸の機能を高めるための生薬であるdの「人参」や、漢方処方の「人参湯」を併用することがあります。
つまり命の母ホワイトは、「桂枝茯苓丸+大黄」、「当帰芍薬散+人参」の、すべてをひっくるめて配合されていることになります。
病院から処方して貰おうとすると少し大変な、市販薬ならではの配合です。
「瘀血」(血の流れが悪い状態)なのか、「血虚」(血のはたらきの不足)なのか、「水毒」(水分代謝が悪い状態)なのか、ご自身の状態をチェックしてみましょう。
それぞれの傾向の一例を挙げてみます。
- 生理周期は長くなる傾向がある
- 生理痛は下腹部に刺すように痛みで、いつも同じあたりが痛む
- 出血のあるときが一番痛み、出血のあとラクになる
- 経血の色は赤黒い色をしていて、レバー状の塊が混じることがある
- ふだんから肩こりや頭痛がしやすい
- 生理痛は下腹部全体が絞られるように痛む
- 経血量が少なく、出血の日数も短い
- 出血のあとに疲れやすい
- めまいや立ちくらみを起こしやすい
- むくみが、起床時は顔面に、夕方になると足にみられる
- 腰から下が冷えやすく、冷気が苦手
- めまいや頭痛が天気の崩れるときに起こりやすい
もし、ご自身の症状が「瘀血」が中心だという場合は「桂枝茯苓丸」のみを飲み始めていいのかもしれません。
同じように、「当帰芍薬散」のみでも改善するかもしれません。
生理痛は、他にも、ストレスが原因で「気」の巡りが悪いためだったり、過労が原因、冷えが原因だったりすることもあります。
その場合は、他にさらに適する漢方薬があるかもしれません。
程度の差がありますが、服用後は、生薬の作用により経血量が増加したり、尿量が増えたりすることがあります。
効果があるかどうかの見極めに2~3か月かかることもあると思いますが、いつものことだから生理痛はあって当然と思っている人は要注意です。
漢方薬だけでは対処の難しい疾患が隠れていることもあります。
服用しても痛みが続いている人は、婦人科や専門家のいるところにご相談ください。
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