子宮外妊娠の原因とは?異所性妊娠の症状と早期発見のポイント (1/2)

執筆者: 中村 あや 職業:妊活アドバイザー(不妊カウンセラー)
子宮外妊娠の原因と対策

こんにちは、妊活アドバイザーの中村あやです。

 

「子宮外妊娠」という言葉を、聞いたことがありますか?

本来、「妊娠」とは、精子と卵子が出会って受精し、子宮の中の子宮内膜に着床するものですが、何らかの原因で受精した受精卵が子宮内膜でないところに着床してしまうことをいいます。

 

 

卵管に着床することが多い

実はこの「子宮外妊娠」は、「卵管」に着床するケースが90%といわれます。

そのまま知らずに流産してしまうこともありますが、赤ちゃんの胎嚢が卵管の中で成長しつづけると、妊娠5~6週で卵管が破裂を起こし、お腹の中で大出血、ショックで死に至ることもあるというので怖いですね。

子宮外妊娠が起こりやすい原因は?
1.卵管が詰まっている

「子宮外妊娠」の原因で多いのは、「性感染症」、とくにクラミジアや淋病などで卵管が炎症を起こし、卵管が癒着や閉塞してしまっているケースです。


過去に、卵巣の手術や虫垂炎、腹膜炎になったことがある、卵管に水腫があるような人にも、子宮外妊娠になりやすい傾向があります。

 

2.体外受精の場合は、子宮外妊娠の確率が高い

また最近は妊活をする人が増え、体外受精をする人も増えていますが、体外受精の場合は、自然妊娠と比較して子宮外妊娠の割合が高くなります。

 

3.高齢出産も、発症率が上がる

近年は、女性の妊娠年齢が上がっており、母体の年齢によっても、子宮外妊娠の発症率が高くなっています。

初産婦よりも経産婦に多いと言われるので、2人目を考える年齢が高くなっていることもあるかと思いますが、10代女性と比較した、40代女性の発症率は約3倍とも言われています。

気をつけたいクラミジア感染

さて、上記の原因のうち、日本人が最もかかりやすいと言われている性感染症、「クラミジア」の感染が増えていることが心配です。

 

性交渉で簡単に感染

不特定多数との関係、コンドームを使わない性交渉は注意が必要です。

知識の啓蒙も不足しているように感じます。


クラミジアは、セックスで簡単に感染してしまうのです。

 

感染しても、自覚症状があまりない

症状がなかなか現れないので、感染していても気づかないケースが多くみられます。

「おりものの量がちょっと多いかな?」とか「下腹部が少し痛むな」というほどの感覚です。

 

日常的にある様なことなので、多くは大げさに意識することもなく、そのまま放置してしまうケースも多いのです。

 

感染が進むと、卵管が炎症を起こす ⇒ 卵管が詰まる

すると、感染が進んでしまい、卵管が炎症を起こしていることも。
そして、卵管が詰まる原因になってしまいます。

 

「不妊」や「子宮外妊娠」のリスクが高まる!

卵管の通りが悪くなっている状態ということは、受精卵がうまく移動することができなくなるので「不妊」にも繋がります。

もし妊娠したとしても「子宮外妊娠」のリスクがあるということです。

妊活をしようと思って初めて病院に行き、妊活の基礎検査である「卵管造影検査」をしてみると、「卵管が片方詰まっていた」という人は、実際に私の周りにも多くいます。

「不妊」や「子宮外妊娠」にも関係するので、クラミジア感染には注意が必要ですね。

子宮外妊娠のリスクを下げる「胚盤胞移植」とは

最近は、妊活をはじめて、人工授精からのステップアップ治療で、体外受精に進む人も増加しています。

 

「初期胚移植」と「胚盤胞移植」

精子と卵子を受精させて女性の子宮内に戻すとき、一般的には受精してすぐ(2、3日目の「初期胚」が出来ている)受精卵を移植することが多いのですが、最近は受精後5~6日まで培養して、卵の状態が「胚盤胞」と呼ばれる段階にしてから移植するという方法が多くとられるようになりました。

 

「初期胚移植」は、自然分娩に比べて子宮外妊娠率が高い

「受精卵」は、本来は卵管を通って、徐々に徐々に子宮に移動していき、そして子宮内膜に着床して、妊娠が成立します。

初期段階の受精卵を子宮に移植するというのは、本来はまだ成長過程でいうと「卵管にあるべき段階」の状態であることからか、受精卵をせっかく子宮に置いたのに、不思議なことに自然に卵管に逆もどりし、そこで着床してしまう(子宮外妊娠)という事が、体外受精においてあるのです。

 

「胚盤胞移植」のメリット

ですが、「胚盤胞」にまで成長した状態の卵を子宮に移植する(胚盤胞移植)と、本来あるべき状態の段階で子宮内膜に置くことができるので、そのまま着床しやすく、子宮外妊娠のリスクを防げるといわれています。

(その確率は1%以下と言われます。)

この技術は、卵管が詰まっていたり、卵管に何らか問題があった方には、大変歓迎されることです。

 

体外での培養が難しい…

そんなメリットがある「胚盤胞移植」ではありますが、実はそこまでを体外で培養して育てるということは難しく、優秀な培養士さんたちが日々努力をされていても、絶対に育つとは言い切れないのは事実。

 

そのため、多くの治療では、せっかくの受精卵を無駄にしないためにも、まずは初期胚で移植をして、うまく行かなかったら胚盤胞移植もトライしましょうというケースが多いかもしれません。


体外受精が増えている昨今、不安になりすぎる必要はありませんが、いざ現実問題になったときに「せっかく宿った命なのに、そんな事聞いてなかった」ということにならないためにも、「子宮外妊娠」のことを頭の片隅にでも覚えておいていただきたいです。

早期発見が大事!子宮外妊娠の症状とは?
出血と下腹部痛

自覚できる症状としては、おりものに少量の血が混じったり、軽い下腹部痛があるようです。

 

ですが、妊娠検査薬で陽性反応が出る妊娠4週目頃では、正常の妊娠と同じように、簡単には判別がつきません。

 

 
 コラムニスト情報
中村 あや
性別:女性  |   職業:妊活アドバイザー(不妊カウンセラー)

性の問題をポジティブに、男女で考えよう!
生殖医療について、日本ではまだまだハードルが高いイメージも多いかもしれません。
女性のライフプランニング、産める心と体づくり、夫婦生活や不妊治療についてわかりやすく伝えるコラムを書いていきます!

女のココロとカラダのセルフケア
Chaai-haat代表
http://www.chaai-haat.com

日本不妊カウンセリング学会会員
日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
タイ式ヨガ・ルーシーダットン講師
ベビーマッサージ講師
ブログ:http://ameblo.jp/chaai-haat/

 

 恋愛のコラム

 健康・医療のコラム

 妊娠・出産のコラム