第二新卒や大学中退者の採用で「補助金」が出る仕組みって?
第二新卒者や大学中退者の就職・採用を後押しする助成金「三年以内既卒者等採用定着奨励金」とは?新卒のみ対象だった企業の採用枠が拡大し、若者の失業率が改善するかも。
こんにちは、さとう社会保険労務士事務所の堀真寿です。
今回は、「三年以内既卒者等採用定着奨励金」をご紹介します。
高校中退者や、第二新卒を積極採用した事業主に奨励金が支給されます。
平成28年2月よりスタートした、新しい奨励金となります。
具体的には、学校等の既卒者や中退者の応募機会の拡大および採用・定着を図るため、既卒者等が応募可能な新卒求人の申込みまたは募集を新たに行い、採用後一定期間定着させた事業主に対して奨励金を支給します。
背景として、24歳未満の完全失業率が約5%台と高く推移している状況があり、これは、早期離職率の高さと、離職後の再就職ができていないことを示しています。
こうした状況を改善するために、安倍内閣が掲げた一億総活躍社会の実現の趣旨と相まって、創設されたものと推測されます。
少子高齢化が急速に進む中、労働力になる人材は働いてもらう必要があるため、特に、失業率の高い若い世代に絞った施策と言えます。
事業主が、対象者を雇入れて一定の要件を満たした場合に、企業区分、対象者 および定着期間に応じて、下表の支給額を支給します。
※若者雇用促進法に基づく認定企業(ユースエール認定企業)の場合は、いずれ10万円が加算されます。
(1)既卒者・中退者が応募可能な新卒求人(※1)の申込みまたは募集を行い、当該求人・ 募集に応募した既卒者・中退者を通常の労働者(※2)として雇用したこと。
少なくとも卒業または中退後3年以内の者が応募可であることが必要です。
(2)当該求人の申込みまたは募集前3年度間において、既卒者等が応募可能な新卒求人の申込みまたは募集を行っていないこと。
(1)高校中退者が応募可能な高卒求人の申込みまたは募集を行い、当該求人・募集に応募した高校中退者を通常の労働者として雇用したこと。
少なくとも中退後3年以内の者が応募可であることが必要です。
(2)当該求人の申込みまたは募集前3年度間において、高校中退者が応募可能な高卒求人の申込みまたは募集を行っていないこと。
※1
学校(小学校及び幼稚園を除く)等に在学する者で、卒業若しくは修了することが見込まれる者(学校卒業見込者 等)であることを条件とした求人、または学校卒業見込者等および学校等の卒業者・中退者であることを条件とした求人。
なお、高校中退者が応募可能な高卒求人は除きます。
※2
通常の労働者とは、直接雇用であり、期間の定めがなく、社内の他の雇用形態の労働者(役員を除く)に比べて高い責任を負いながら業務に従事する労働者をいいます。
新卒求人の申込みまたは募集を行う際、以下の書類を労働局に提出します。
- 当該求人・募集に係る求人票または募集要項等
- 当該求人・募集前3年度間の新卒者を対象とした求人票または募集要項等
(3)対象者の雇入れ
1年間定着後、支給申請の手続きに進みます。
支給要件を確認するため、支給申請書とあわせて、以下の書類等を労働局に提出します。
- 象労働者との労働契約について確認できる書類またはその写し(労働契約書)
- 対象労働者の卒業や退学の事実およびその時期が確認できる書類
- 対象労働者の支給対象期中の出勤状況が確認できる書類(出勤簿)★
- 対象労働者に対して支給対象期中に支払われるべき賃金について支払ったことが確認できる書類(賃金台帳)★
- ユースエール認定企業の場合、認定通知書の写し
- 誓約書
- その他奨励金の要件を確認するために必要となる書類★
第2期、第3期の支給申請時にも、★の書類及び前期の支給決定通知書を提出する必要があります。
1年間定着後、さらに1年間定着したら、第2期支給申請を行います。
2年間定着後、さらに1年間定着したら、第3期支給申請を行います。
- 助成金は、支給対象期ごとに、最大3回に分けて支給されます。
- 支給申請は、支給対象期ごとに、労働局またはハローワークに提出します。
- 支給申請期間は、各支給対象期の末日の翌日から2か月以内です。
申請期限を過ぎると 奨励金を受給できなくなるので注意しましょう。
支給対象期は、当該雇入れの日から起算して12か月ごとに区切った期間です。
キャリアアップ助成金の支給申請は、6か月分の賃金支払日の翌日から2か月以内ですが、本奨励金は、あくまでも「雇い入れ日起算」であることに注意が必要でしょう。
キャリアップ助成金の正規雇用転換コースとのダブル申請は可能?
三年以内既卒者等採用定着奨励金と、キャリアップ助成金の正規雇用転換コースのダブル申請は出来ません。
ご注意ください。
雇用保険の適用事業所が東京都にある場合、東京都からも最大50万円支給される「東京都正規雇用転換促進助成金」があります。
ですから、初めから正規雇用として採用するよりも、最初の6カ月間は有期雇用として採用して、勤務態度や能力を判断したうえで、正規雇用に転換するほうが、受給できる助成金の額は多くなります。
このコラムをご覧になって、似たような制度が昔もあったようなと感じた方もいるかと存じます。
過去にも似たような奨励金として、「3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金」というものがありました。
時代は違うにせよ、採用するだけで、奨励金が支給される点は、他の助成金よりも活用しやすいものと言えます。
これまで新卒者に対してのみ求人募集を行っていたのなら、応募枠を広げ、既卒者、中退者も対象とするよう検討してみてはいかがでしょうか。
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