契約社員や派遣もキャリアアップ!助成金の変更点(平成28年度)

有期契約社員、派遣社員、短時間労働者などのキャリア形成のために会社へ支払われる助成金「キャリアアップ助成金」の、平成28年度の変更点とは?

執筆者: HRプラス社会保険労務士法人
キャリアアップ助成金の平成28年度の変更点

こんにちは、さとう社会保険労務士事務所の堀真寿です。

今回は、「キャリアアップ助成金の平成28年度の変更点」についてご紹介します。

 

 

どんな助成金なの?

簡単に言うと、非正規雇用労働者のキャリアアップに取り組む事業主に助成金が支給されます。

 

具体的には、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、正規雇用への転換、人材育成、処遇改善などの取組を実施した事業主に対して助成する制度です。

変更点その1 一部助成が廃止に

まず、廃止となるコースが以下の通りになります。

 

1. 正規雇用労働者の短時間正社員への転換等への助成の廃止【多様な正社員コース】

正規雇用労働者の短時間正社員への転換又は短時間正社員の新規雇入れを実施した場合の助成を廃止します。

ただし、有期契約労働者等の短時間正社員への転換については、引き続き助成対象となります。

 

2. 生活習慣病予防検診への助成の廃止【健康管理コース】

「生活習慣病予防検診」(人間ドックに掲げる項目のいずれかについて、医師または⻭科医師により⾏う健康診断)の制度を就業規則等に新たに規定し、かつ、延べ4人以上に実施した場合の助成を廃止します。

ただし、「雇入時健康診断、定期健康診断、人間ドック」については、引き続き助成対象となります。


なお、制度変更に伴い、 平成28年3月31日までに正規雇⽤労働者の短時間正社員への転換等を⾏った場合、⽣活習慣病予防検診制度を規定した場合(4人以上への実施はキャリアアップ計画期間中でよい)は、助成対象となるので、現在進めている事業主は、こちらの期日に合致していれば、支給申請ができます。

 

変更点その2 助成額が変わった!

変更については、主に以下の内容があります。

( )内は中小企業以外の額です。

 

1. 正規雇用等転換コース

有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合

  1. 有期→正規:1人当たり60万円(45万円) [改正前50万円(40万円)]
  2. 有期→無期:1人当たり30万円(22.5万円)[改正前20万円(15万円)]
  3. 無期→正規:1人当たり30万円(22.5万円)[改正前30万円(25万円)]

 

2. 多様な正社員コース

有期契約労働者等を多様な正社員に転換または直接雇用等した場合

  1. 有期→多様な正社員(勤務地・職務限定正社員、短時間正社員):1人当たり40万円(30万円) [改正前30万円(25万円)]
  2. 無期→多様な正社員:1人当たり10万円(7.5万円)[改正前30万円(25万円)]
  3. 多様な正社員→正規:1人当たり20万円(15万円)[新規]

(注)正規→短時間正社員の助成対象となった者を除きます。

 

※ 1,2は、勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定した場合、1事業所当たり10万円(7.5万円)加算されます。(加算措置に変更)
※ 正規雇用等転換コース、多様な正社員コースでは、対象者が派遣労働者の場合や⺟⼦家庭の⺟等又は父子家庭の父の場合等に加算措置があります。

 

3. 人材育成コース

有期実習型訓練修了後、対象者を正規雇⽤労働者等に転換した場合
OFF-JTにかかる経費助成の上限額 ※実費を限度

  • 100h未満:1人当たり15万円(10万円) [改正前10万円(7万円)]
  • 100h以上200h未満:1人当たり30万円(20万円) [改正前20万円(15万円)]
  • 200h以上:1人当たり50万円(30万円) [改正前30万円(20万円)]

 

4. 短時間労働者の週所定労働時間延⻑コース

短時間労働者の労働時間を延⻑した場合の助成額等を拡充
1人当たり20万円(15万円)※1年度1事業所当たり15人が上限

 

[拡充前1人当たり10万円(7.5万円) ※1年度1事業所当たり10人が上限]

注意としましては、1、2のコースは転換等の日、3は訓練計画届提出の日が平成28年2⽉10日以降となる場合に、改正後の支給額が適用されます。

 

変更点その3 これまでの6コースを3コースに整理統合

他に、細かな変更として、これまでの6コースが3コースに整理統合されます。

「キャリアアップ計画」等の提出についての留意点
  • 「キャリアアップ計画」の提出について、取組実施の前日から起算して1ヶ月前までの提出が必須となります。(※1)
  • すでにキャリアアップ計画を提出している事業主の⽅が当初の計画とは異なるコースを利⽤するなどの場合、事前に「キャリアアップ計画変更届」の提出が必要となります。
  • 「キャリアアップ計画変更届」を提出する際に、認定を受けた「キャリアアップ計画」の写しの添付が必要となります。(※1)


※1 平成28年4月1日以降、キャリアアップ計画等を提出する場合に適用されます。

 

人材育成コースについての留意点

1.「訓練計画届」の提出について、訓練開始日の前日から起算して1か月前までの提出が必須になります。


2. 所定労働時間外の訓練は支給対象外となります。


3. 訓練開始1か月以内に「訓練開始届」の提出が必須になります。

 

4. 有期実習型訓練をキャリアアップ型で実施する場合、訓練計画届を提出する前にキャリアコンサルティングを受け、訓練計画届にジョブ・カードを添付します。


5. OFF-JT実施状況報告書(様式第7号(別添様式2-4a、2-4b、2-4c))とOJT実施状況報告(訓練日誌)(様式第7号(別添様式2-5))の様式が統合され、訓練受講者の記載欄は手書きで記入することになります。


6. 有期実習型訓練の訓練計画届に添付する訓練カリキュラムの他に、月ごとの訓練実施予定を記載する「訓練計画予定表」が追加されます。

 

おわりに

今回の変更をみますと、大きな変更点はなく、むしろ支給額が増えることになり、ますますキャリアップ助成金の活用が進むものと感じております。

 

社労士としては、クライアントへ再度周知をしていくことが必要です。

また、中途採用が多い会社で、最初の半年間は有期雇用の契約であり、かつ、契約の更新に関する事項が、更新する場合があり得るという内容で締結しているなら、本助成金の活用ができるかもしれません。

 

いずれにせよ、本助成金を知らない方は、まずは、キャリアアップ計画の提出が絶対条件ですので、そちを調べて頂ければと思います。

 
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