口から食べられなくなったらどうする?胃ろう・人工栄養法の基礎知識
高齢者や介護対象者が、口からごはんを食べられなくなり、胃ろうを勧められたら?口以外から栄養を補給する「人工栄養法」の種類やメリット・デメリットなどを解説。
人はご飯を食べて十分な栄養を摂らないと生命を維持できません。
もし口からごはんを食べられなくなってしまったら、どうしたらいいのでしょうか?
そんなときの選択肢の一つとして、「胃ろう」があります。
胃ろうとは、口から食事ができない人や、飲込む力が無くなった人のために、胃に直接栄養を入れる穴をおなかに作る処置のことです。
その穴にチューブを差し込み、通したチューブによって栄養分が直接取り込まれるという仕組みです。
もし、あなたやご家族が、病気や認知症などで今まで通り普通に食事ができなくなり、栄養を口から摂取できなくなったとき、医師から胃ろうを勧められたらどうしますか?
今回は、胃ろうを含めた、口以外から水分と栄養を補給する方法(人工栄養法)について解説します。
- 脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など脳卒中
- パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経難病
- 口腔・食道・胃などの癌
- 認知症・老衰
上のような病気や症状により、栄養の投与法を考える必要に迫られる場合があります。
例えば、次のような場合です。
- 食べ物を飲み込めなくなる嚥下障害が起きたとき
- 飲み込めても、食道が狭くなっていて奥に入っていかないとき
- 食べられても、むせ込んで肺炎など起こしやすいとき
- 点滴では一日に必要なカロリーを摂取できないとき など
では、口以外から水分と栄養を補給する人工栄養法には、どんな種類があるのか見ていきましょう。
鼻腔や腹部からチューブを通し、胃や腸などの消化管に直接栄養を流し込む方法です。
● 経鼻胃管
鼻から胃へチューブを挿入し、栄養剤を注入します
● 胃ろう・腸ろう
内視鏡手術で腹壁を切開し、胃または腸との間にカテーテル(医療用の管)を通し、そこから胃や腸に直接栄養剤を注し込みます
静脈から栄養を摂る方法です。
● 末梢静脈栄養
末梢の静脈を通して栄養補給します。
● 中心静脈栄養
心臓近くの太い静脈にチューブを挿入し、このチューブを介し静脈内に栄養を補給する方法です。
今広く普及している「胃ろう」は、いくつかある人工栄養法のひとつになります。
チューブを自分で抜いてしまったり、誤嚥性肺炎のリスクが大きいとされています。
感染症や合併症を引き起こす恐れがあり、配慮が必要です。
また、自宅介護する場合には、管理が難しいと言われています。
最もリスクが少なく管理も楽で、これまでの生活をできる限り保ちながらリハビリにも取り組むことができます。
鼻からのチューブなどに比べ、本人にも介護する人にも一番負担が少ないと言われ、多く広まっています。
一度胃ろうにしてしまうと、生涯二度と口から食事をすることができなくなってしまうと考え、胃ろうを拒否する方もいらっしゃるようです。
ですが、実は、口からの食事と併用可能です。
- 出来る限り口から食事をし、不足分を胃ろうから栄養補給する
- 具合の悪い今は胃ろうから、回復すればまた口から食事をする
このように、両方使いの方もたくさんいらっしゃいます。
また、胃ろうを使う必要がなくなったときには、抜くこともできます。
カテーテルを抜いた後、胃ろうの穴は自然に塞がります。
最近では高齢者・認知症患者への胃ろう造設は、望まない延命に繋がるのではという問題定義もされています。
もし認知症になり食べることができなくなった場合どうするか。
生と死にかかわる厳しい決断を家族は迫られることになります。
元気なうちに希望を家族で共有し合っておくことが大切です。
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