60歳以上の「シニア社員」活用術!呼び方は?高齢者でもできる仕事って?
高齢者の従業員が会社の職場で働く時の注意点まとめ。向いている仕事はどんな仕事か、呼称など、モチベーションにかかわるポイントを解説。
こんにちは。HRプラス社会保険労務士法人の一安裕美です。
定年後の「60歳以降の働き方」について、年金や雇用保険など国の制度や賃金制度の事例などをこれまでご紹介してきました。
今回は少し視点を変えて、高齢者と呼ばれる世代の従業員の方にどのような仕事をお願いすれば良いか、年齢による変化とともに考えていきたいと思います。
何歳からを高齢者と考えるかは、世代によって様々かと思いますが、国連の世界保健機関(WHO)の定義では「65歳以上」を高齢者としています。
また、日本の「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、「55歳以上」を高齢者と呼んでいます。
なお、一般的なビジネスの場面では、定年を迎える60歳を境に高齢者に分類することが多いかと思います。
ここで気をつけたいのが、定年後の従業員の呼び名です。
定年後の従業員のこと、なんて呼ぶ?
人数が比較的少ない中小企業の場合、定年前の従業員と区別をつけて呼ぶ必要はないかもしれません。
ですが、ある程度の人数が働く企業では、定年前と定年後の呼び名を区別する必要が出てくると思います。
その際、60歳以上の従業員が割と抵抗が少ない呼び名は「シニア社員」ではないでしょうか。
「シルバー」という言葉は、交通機関の優先席のイメージがどうしても強く、抵抗がありそうです。
「シニア」という言葉は最近では企業の肩書きに使用されることも多く、受け入れやすいと言えそうです。
定年後のシニア世代の従業員には、どのような仕事を振り分けるのが良いのでしょうか。
再雇用や雇用延長などで働き続ける際に考えられる従業員からの要望は、「専門性を活かしたい」が比較的多いのではないでしょうか。
ですが、それが時代にマッチしたものか。
その専門性を活かす役職や部署があるか、見極めることが必要です。
次のポイントにかなり当てはまる場合は、専門性にとらわれずに、他の仕事を振り分けた方が良いかもしれません。
- コンテンツが現代社会で通用しない
- 社内に、今すぐに活かす仕事がない
- 社内に、活かす役職が空いていない
- 伝承しにくい
現在のシニア世代は、実年齢よりも見た目が若々しい方が多いと思います。
ですが、見た目に変化が少なくても、体は確実に変化しています。
そこで注意したいのが、労災事故の防止です。
休業4日以上の労災事故に対して報告をする「労働者私傷病報告」を元に作成される、厚生労働省の「労働災害統計(平成27年)」から死傷者数を見てみましょう。
- 20代 …14,784人
- 30代 …18,879人
- 40代 …25,913人
- 50代 …26,875人
- 60歳以上…27,097人
このように、60歳以上では、技術が未熟で労災を起こしやすいのではないかと思われる20代よりも、1.8倍の死傷者が出ています。
災害の起因と年代を掛け合わせたデータではないので一概にはいえませんが、加齢による機敏性の衰えなどの要因もあるかと思います。
室内の業務でも、社内の物の配置や雨の日の床の濡れなど、細かな箇所に配慮が必要となります。
また、製造業や建設業などでの朝のラジオ体操の習慣も、取り入れられそうであれば見習いたいですね。
一般的に、重い物を運ぶ仕事は、筋肉が衰えてきたシニア層には不向きであると思います。
ですが、腰を痛める要因は、無理して重い物を持ったり、急に持ち上げたりするなどの上下運動が原因です。
一方で、重い荷物を仕分ける仕事は、左右の回旋運動のため、ぎっくり腰を引き起こすことはあまり考えられません。
シニアに向いている仕事、向かない仕事について検討する際に、どうしても職種で考えることが多くなりますが、「どのような作業姿勢をとるのか」までを考えると、依頼する仕事の幅も変わってくるのかもしれません。
高齢者を雇用し続ける際、賃金ももちろん大切ですが、「今の仕事は適正か」「仕事をする環境に危険はないか」という視点でも考えていけると、本当の意味で高齢者も活躍できる職場になりそうですね。
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