緑茶、ウーロン茶、麦茶…身近な飲み物の効果効能を、国際薬膳師が解説

紅茶や緑茶、ウーロン茶、ジャスミン茶などの薬膳効能を学ぶ。国際薬膳師が教える、健康と美容効果を高めるドリンクの飲み方とは?

執筆者: 藤永知嘉子 職業:国際中医薬膳師
漢方的な視点から見る、身近な飲み物・ドリンクたち

 

こんにちは。国際中医薬膳師の藤永知嘉子です。


中医学には「薬食同源」という考え方があります。
体質や体調、季節に合わせた、体に良い食材を日常的に食べていれば、健康を維持出来ると考えます。


そのためには、食材の持つ性質や効能を知ることが必要です。
今回は、身近な飲み物の薬膳的な効能についてお話します。

 

まずは薬膳の基礎知識から学ぼう

はじめに、食材の特徴を理解する上でとても重要な薬膳の考え方「五性・五味(ごせい・ごみ)」についてお伝えします。

 

五性(ごせい)とは

食材が体にどう作用(温めるか冷ますか)するかを五種類に分類。
調理法で、性質が大きく変わることはありません。

温かく調理しても、寒性の食材は身体を冷やします。


ちなみに、日常に食べる食物の約7割は「平性」です。

 

同じお茶でも、発酵度の違いで五性が変わることがあります。
その場合は「涼/平(涼または平)」のように記載しています。

 

  • 熱 (温める力が強い)
  •  (熱性より穏やかに温める)
  •  (温めも冷やしもせず、偏った影響を与えにくい)
  •  (寒性より穏やかに冷やす)
  •  (冷やす性質が強い)

 

五味(ごみ)とは

食材の味の特性を五種類に分類。
五味には、作用や身体のどの部位に働くかなど、それぞれ特徴があります。


単純に舌で感じる味ではなく、食物そのものが持っている性質で分類されます。
砂糖で甘く味付けしたら「甘」になるということではありません。

 

一つの食物でいくつかの味を備えているものもあります。

その場合は「苦甘(苦味と甘味)」のように記載。

 

  •  (すっぱい)
  •  (にがい)
  •  (あまい)
  •  (からい)
  •  (しおからい)

 

身近な飲み物の薬膳的な効能を探る

まずは一番身近な飲み物、お茶類からご紹介します。

 

 

緑茶の薬膳的効能

五性は涼、五味は苦甘です。

 

緑茶は体の熱を冷ます効果が高いです。

そのため、冬場や冷えが気になる人は控えましょう。
また、胃腸の弱い人は、朝食前に飲むのは控えて下さい。

胃腸を冷やし、消化機能の低下を招きます。

 

  • 体にこもった余分な熱を冷ます
  • イライラやダルさを解消、頭をすっきりさせる
  • 眠気解消
  • 視力の回復
  • 消化促進(食後の飲用がお勧め)
  • 虫歯や口臭予防
  • 強い抗菌作用(風邪予防に、ぬるめの緑茶でうがいが効果的)

 

 

 

ウーロン茶の薬膳的効能

五性は平/涼、五味は苦甘です。

ウーロン茶は油を分解する働きがあり、脂っこい食事にはぴったりです。

 

  • 消化を促進し、脂肪燃焼
  • 食べ過ぎによる膨満感を緩和
  • 利尿作用(水分代謝を高める)
  • 精神を安定
  • 二日酔い改善(酔い覚まし)

 

プーアール茶の薬膳的効能

五性は平/涼、五味は苦です。


プーアール茶は、脂肪分を吸収させずに体の外へ排出する働きがあり、ダイエット茶として有名です。
五性は平/涼ですが、体を温めるお茶として飲まれることも多いようです。

  • 動物性脂肪を分解(肉食の胃もたれ改善)
  • 消化促進、胃の働きを助ける
  • 利尿作用(体内に溜まっている不要物を排出)
  • 二日酔いの改善(二日酔いの朝に飲むと、気持ち悪い胃をスキッとしてくれます)

 

ジャスミン茶の薬膳的効能

五性は平/涼、五味は辛甘です。

 

ジャスミンは上品な甘い香りが特徴です。
緑茶をベースに、ジャスミンの花の香りを付けたお茶です。

  • 気の巡りを良くする
  • リラックス効果でストレス解消、気分転換
  • 自律神経を整える
  • ホルモンバランスを整える(生理前や生理中の不調、生理痛に効果的)
  • 胃腸の調子を整える(ストレスによる胃腸の不調に効果的)
  • 二日酔い改善
  • 不眠多夢の改善

 

妊婦さんは控えましょう。
女性ホルモンの抑制を促したり、母乳の出を抑制、子宮を収縮させることもあります。

 

紅茶の薬膳的効能

五性は温、五味は苦甘です。


紅茶は体の冷えが気になるときや、少し憂鬱な気分のときにお勧めです。
紅茶をベースに様々な食材(生薬)を加え「薬膳茶」としても美味しく頂けます。
穏やかな性質のため、胃の弱い人でも飲みやすいです。

  • 体を温め、冷えを解消(紅茶は茶葉を発酵。良く発酵させた茶葉の方が、体を温める作用は強くなる傾向があります)
  • 精神を安定、リラックス効果
  • 高い殺菌作用(風邪の予防など)
  • 利尿作用
  • 消化促進

 

ミルクティーとして飲まれることも多いですが、ここでポイント。
牛乳には精神を安定させる作用がありますが、紅茶の殺菌効果を弱めます。
リラックスしたいときにはミルクティーで、殺菌効果を期待したいときにはストレートで飲みましょう。

 

麦茶の薬膳的効能

五性は涼、五味は甘です。
麦茶は大麦を炒って、煮出したものです。
ノンカフェインのため、子供も妊婦さんも安心して飲めます。

  • 体にこもった熱をとり、暑気あたりを予防
  • 消化を助ける
  • 血液をさらさらにする

 

お水もいいけれど、たまにはお茶を飲み物にしてみませんか?

毎日飲むお茶。

ぜひ、体調に合わせて選んでみて下さい。
効能を知って飲むことで、心にも身体にも美味しさ倍増ですね。

コーヒーや紅茶、ワイン…身近な飲み物の薬膳的効果を紹介!五性・五味に基づく効能一覧」では、コーヒーなどの嗜好飲料も紹介しますので、合わせてご覧下さい。

 
 

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