1人リストラで会社に助成金!?「労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)」で社員の転職を助けよう

執筆者: HRプラス社会保険労務士法人
労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)について

こんにちは、さとう社会保険労務士事務所の堀です。

今回は、「労働移動支援助成金(再就職支援奨励金)」について、お話しします。

 

助成金の概要
どんな助成金?

事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者等(「再就職援助計画」の対象者)に対して、求職活動のための休暇を与えたり、再就職支援を民間の職業紹介事業者に委託して行ったりする「事業主」に支給される助成金です。

 

いくらもらえるの?

 

支給の対象となる支援とは?

 

支給までの流れ
1. 再就職援助計画(または求職活動支援基本計画書)の作成・提出・認定

本助成金を受けるためには、この再就職援助計画の作成から全てが始まります。

この計画の出来栄えにより受給が決まると言われていますので、最初から完璧なものを作成することが重要となります。

 

※対象労働者の離職日の一ヶ月以上前に、管轄ハローワークまたは労働局へ提出をします。

2. 【再就職支援】の場合
→ 再就職支援の委託 → 委託開始申請分の支給申請(委託契約日の翌日から2か月以内申請) → 対象者の離職へ

 

  • 再就職支援を職業紹介事業者に委託して行う旨を記載すること
  • 再就職援助計画の内容について、労働組合等から同意を得ること
  • 再就職援助計画について、公共職業安定所長の認定をうけること
  • 雇用する支給対象者の再就職支援の実施について職業紹介事業者との間で委託契約を締結し、当該委託に要する費用を負担すること

 

職業紹介事業者が、その労働者の離職自体についての働きかけを行った場合、その労働者分については助成金の対象にならないため、注意が必要です。

 

3. 【休暇付与支援】の場合
→ 休暇付与支援実施 → 対象者の離職へ

 

  • 円滑な求職活動が行える環境を整えるための休暇を付与する旨を記載すること
  • 再就職援助計画の内容について、労働組合等から同意を得ること
  • 再就職援助計画について、公共職業安定所長の認定をうけること
  • 支給対象者に対して、在職中から円滑な求職活動が行うことに活用できる1日以上の休暇(労働基準法第39条の規定による年次有給休暇として与えられるものを除く)を与え、当該休暇の日について、通常賃金以上の額を支払っていること

 

4. 対象者の離職
5. 対象者の再就職実現
  • 支給対象者が、離職日の翌日から6か月(45歳以上は9か月)以内に、雇用保険の一般被保険者として再就職を実現すること

 

支給対象者の再就職先は、委託を受けた民間の職業紹介事業者によって紹介された事業所でなくても、差し支えないとされています。

 

6. 再就職実現申請分の支給申請
  • 離職日の翌日から6か月(45歳以上は9か月)後の翌日から2か月以内に申請をします。
  • 再就職支援又は休暇付与支援、どちらか片方の措置だけでも申請は可能です。
  • 「委託開始申請分」と「再就職実現申請分」をまとめて申請することも可能です。

その場合、再就職実現申請分の申請期限までに申請を行うことになります。

 

  •  同一の再就職援助計画等において複数の支給対象者がいる場合、最後の者の申請期限までに、まとめて申請を行うことになります。
  •  支給申請日までに、負担する委託に要する費用が確定し、その支払いを終えていることが必要となります。

 

7. 審査を経て、助成金支給となります

 

受給のポイント
  • 雇用保険の適用事業所であること
  • 再就職援助計画を作成している事業主であること
  • 保険料の滞納や、助成金の不正受給がないこと
  • 求職活動などのための休暇を付与し、その休暇日に、通常支払う賃金の額以上を支払っていること
  • 支給対象者は、「再就職援助計画」の対象者となっていること
  • 支給対象者は、申請事業主に雇用保険の一般被保険者として継続して雇用された期間が1年以上であること
  • 支給対象者は、申請事業主の事業所への復帰の見込みがないこと
  • 支給対象者は、再就職先が未定であること
  • 申請期限内に確実に申請をしていること

 

おわりに

今回の助成金は、ずばり「リストラ対策用の助成金」と言えます。
受給できる金額からみても、至れり尽くせりの制度と言えるでしょう。

 

 

今後の社会情勢として、アベノミクスの政策「失業なき労働移動の実現」を進めるという方針が出されました。

具体的には、雇用の維持から成長分野への労働力の移動を視野に予算配分を変更し、雇用調整助成金の予算を縮小し、労働者の再就職支援や成長分野での余剰人員受入にかじを切ることが挙げられます。

 

経営者に近い立場におられる人事担当者として、リストラという会社の方針に直面することもあると思います。

この助成金を使う際は、リストラの決定よりも早いうちから準備することが重要と言えます。

 
 コラムニスト情報
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