理化学研究所仕込み!赤ちゃんを泣き止ませる簡単な対処方法

赤ちゃんが泣き止む心理メカニズムを科学的に解明!うるさい泣き声や夜泣きなど、育児のストレスやイライラ対処法にもなるので、のびのび子育てを目指している方に有効です。

執筆者: 西村 猛 職業:理学療法士/日本で一番、保育士さんを応援する理学療法士
泣いている赤ちゃんをすぐに泣きやませるコツ

こんにちは、理学療法士の西村猛です。

まだ言葉が出ない時期の赤ちゃんは、泣いて自分の思いを伝えようとします。
お腹が空いた時、うんちが出て不快な時、眠い時など、日常の中のありとあらゆる場面で「泣く」という活動をします。

しかし状況によっては「できるだけ早く泣きやませたい」と思うこともあるでしょう。
そんな時、赤ちゃんの「ある反射」を利用することで簡単に泣きやませる方法があります。

 

 

赤ちゃんを泣きやませたい時、一番良い方法は?

以下の方法のうち、すぐに赤ちゃんを泣きやませたい時に、最も効果的と思われるやり方はどれだと思いますか?

  1. 歌を歌ってあげる
  2. 目の前におもちゃを見せてあやす
  3. 抱っこして歩く


どの方法も間違いではありませんが、一番効果的と思われる方法は、3の「抱っこして歩く」です。


実際に泣いている赤ちゃんを抱っこして歩いた時、すぐに泣き止んだという経験をお持ちの方もおられるでしょう。

実はこれは「輸送反応」と呼ばれる、赤ちゃん特有の反射(意識的ではないもの)が関係していると言われています。

 

輸送反応とは?
赤ちゃんを抱っこして歩くと、おとなしくなる!

輸送反応とは、「動物の赤ちゃんが母親に抱っこされたり、口にくわえられたりして移動する際、おとなしくなる」という特性を指す言葉で、理化学研究所により、その仕組みの一端が解明されました。

 

これは動物だけではなく、ヒトにおいても、同じ様な反応があることが分かっています。

 

 

輸送反応は、「抱っこされながら移動する」というところにポイントがあります。


赤ちゃんは自分の力では危険から身を守ることができません。
外敵から身を守るためには、「自分で逃げる」ということができないため、母親がその赤ちゃんを抱っこする、口でくわえるなどして危険な場所から「連れて逃げる」ということになります。

 

素早く逃げられるよう、運んでくれる親に協力

そのため赤ちゃんは、お母さんが素早く逃げることができるように、体を動かしたりすることなく、おとなしくしてお母さんに協力しようとしているのではないかと考えられています。

 


また理化学研究所が、ヒトの赤ちゃんをお母さんが「抱っこして座っている」状態と「抱っこして歩く」状態を比べたところ、次のような研究結果が出ています。

 

  • 座っている時に比べて、歩いている方が、赤ちゃんの泣く量が10分の1になった。
  • 同様に、抱っこして歩いた方が、自発的な動きが5分の1になった。
  • 歩きはじめて3秒以内で、心拍数が顕著に低下した。


ヒトにおいても、抱っこするだけよりも、抱っこして歩くほうが、赤ちゃんがおとなしくなる反応が顕著に現れるようです。

 

輸送反応で赤ちゃんを泣きやませるポイント
とにかく抱っこして歩くこと!

「抱っこして移動する」ことが輸送反応のポイントであることから、屋内であれば、抱っこして部屋の中や廊下を歩けば、赤ちゃんが泣き止む確率が高くなると言えそうです。

 

 

寝かせようとした途端に、また泣き始める…

ただし、反射的に泣き止んでいるだけなので、ベッドや布団に寝かせた途端に輸送反応が出なくなり、またすぐに泣き出してしまうかもしれません。

 

ここぞというときに利用するのがオススメ

そのため「夜中に泣き出した」「人の沢山いるところ(混雑したところ)で泣き出した」など、「できるだけ早く泣きやませたい」と思う時に、この輸送反応を割りきって利用するのが良いでしょう。

 

また熱がある、嘔吐しているなど体の不調で泣いていると考えられるときは、無理に泣きやませることをせず、かかりつけ医に相談するなどしましょう。

 

まとめ

輸送反応とはヒトを含む動物の赤ちゃんが、お母さんに抱っこされ移動する際に、おとなしくなる現象のことを指します。

これは赤ちゃんに生まれながらにして備わっている反応で、お母さんの移動を邪魔しないように協力していると考えられています。

 

赤ちゃんを根本的に落ち着かせるものではありませんが、一時的にでも泣き止んで欲しい時などには輸送反応は有効な手段になります。

 

おわりに

赤ちゃんは泣くのが仕事とわかっていても、なかなか泣きやまくて、イライラしてしまう日もあることでしょう。

そんなママ・パパのお悩みが、少しでも解消できれば嬉しく思います。

 

  • 理化学研究所(2013.4.19 プレスリリース)

「抱っこして歩くと赤ちゃんがリラックスする仕組みの一端を解明 -経験則を科学的に証明、子育ての新たな指針に-」
http://www.riken.jp/pr/press/2013/20130419_2/

 
 コラムニスト情報
西村 猛
性別:男性  |   職業:理学療法士/日本で一番、保育士さんを応援する理学療法士

■株式会社ILLUMINATE代表取締役
子どもの発達と子育てを応援する会社。
https://illuminate-kobe.co.jp

■こども発達LABO.共同代表
YouTubeチャンネル「こども発達LABO.」では、言葉と体の発達に関すること、発達障害のある子どもへの手立てなどについて発信しています。
https://www.youtube.com/channel/UCAaMVv5UrovrhAtaWVerWrQ

■子どもと姿勢研究所代表。
子供の姿勢や体の発達の仕組みや取組方法について、医学的視点をもとに、どなたにも分かりやすくをモットーに情報発信しています。保育士さん向け情報も。姿勢や体作りに関する講師依頼もお受けしています。
http://kodomotoshisei.kokage.cc


■日本で一番、保育士さんを応援する理学療法士
会社の代表をしながら、全国各地の保育園・幼稚園で、、保育士さん向け講義を実践しています。
また保育園コンサルタントや巡回相談事業への参画など、裏方として保育士さんをバックアップする仕事もしています。

■メディア
NHK「あさイチ」出演/テレビ大阪「やさしいニュース」出演/テレビ朝日「グッド!モーニング」出演/神戸新聞「まいどなニュース」記者/教育機関向け雑誌「私塾界」/関西テレビ「ANCHOR」/テレビ朝日「中居正広のミになる図書館」/読売新聞/スポーツをする子どもを応援するフリーマガジン「Spody α」/Latte column/子供とお出かけ情報「いこーよ」/エキサイトニュース/mybest/その他、テレビ番組企画や雑誌などのライターさんからの出演依頼・取材等多数。

■お仕事のご依頼
https://nishimuratakeshi.com/

 

 育児・子育てのコラム