[眼科検査技師が解説] 緑内障の種類・原因・失明確率を下げる治療方法

緑内障の種類、原因(先天的・後天的)、治療方法(目薬・手術)などを解説します。緑内障は、適切な対処法を行えば失明しない確率も高い病気です。

執筆者: 中根 千恵 職業:眼科検査技師/サービス介助士/食育インストラクター/メイクセラピスト/Webライター、コラムニスト
緑内障について(種類・原因・治療方法・自覚症状など)

こんにちは、眼科検査技師の中根千恵です。

 

前編では緑内障のメカニズムについて述べましたが、聞き慣れない眼科の医学用語がたくさんあったかと思います。

筆者自身、眼科検査技師として医療に従事してきましたが、「これほど誤解の多い眼疾患はないのでは?」と思うほど、緑内障に関する情報が錯綜しているのが現状です。

 

そこで前編に引き続き、医学的根拠に基づきつつ、分かりやすく皆様に「緑内障の正しい事実」をお伝えしたいと思います。

後編では、緑内障の種類や目薬、手術等についてお話をします。

 

 

代表的な緑内障の種類3つ
正常眼圧緑内障

眼圧は正常範囲内ですが、個人の目の形成によって「この目に、この眼圧は高すぎる」ために、網膜に負担がかかります。

ですので、眼圧が正常でも、乳頭陥凹拡大比率を医師が診れば、まずこの正常眼圧緑内障を疑います。

原発開放隅角緑内障

「眼圧」の説明文で触れましたが、繊維柱帯にある穴が細くなり、眼圧が上昇する緑内障です。

 

正常眼圧緑内障も、この原発開放隅角緑内障も、自覚症状がほぼありません。

片頭痛や頭が重いと感じる程度なので、市販の鎮痛剤で治したり放置したりしがちです。

 

ですが、「何だか視野が欠けて見える所がある?」と気付いたときには、既にほぼ末期です。

原発閉塞隅角緑内障

慢性と急性の2種類があります。

「慢性」は時々眼圧が上がり、自覚症状としては、目がかすんだり、電灯のまわりに虹がかかったように見えたりする(虹視症)程度です。

「急性」は、眼圧がいきなり急上昇する「緑内障発作」を起こす可能性があります。

この病名診断を受けた方で、急な眼痛、頭痛、吐き気、見え方がおかしいなどの症状が出たら、すぐ眼科を受診してください。

 

夜中などは迷わず救急車を呼んでください。

これは、「高眼圧症」「浅前房」「狭隅角」と眼科で診断された方も同じです。

発作後、早急(48時間以内)に眼圧を下げる点滴などの処置をしなければ、重篤な後遺症が残ります。

 

緑内障は「遺伝」?
生まれ持った「目のタチ」としか現代医学では言えない

眼科学会では、「必ずしも遺伝ではないが、遺伝子が要因の1つである可能性は否定できない」としています。

 

後天的な原因で発症することも

「先天的に生まれ持った目のタチ」から発症する以外に、ステロイドを使用することで起こる「ステロイド緑内障」はステロイドさえ中止すれば治ります。

また、「外傷性緑内障」は、眼球を強打したことで、繊維柱帯の機能が低下して起こります。

 

他にも様々な緑内障があります。

緑内障の分類は本当に多いのです。

 

緑内障の治療とは
目薬

「目薬」(点眼薬)は、眼圧を下げるために使用します。

様々な種類がありますが、肝心なことは、用途・用量を守り「毎日欠かさず使用し続ける」ことです。


発病後、視野欠損は、5年先、10年先に徐々に起こります。
未来の自分の視界のため「一生、目薬を使用する」と、心得てください。

 

緑内障の目薬を使う場合の注意事項

目薬の種類によっては、目のまわりが黒ずんだり(色素沈着)、睫毛が伸びることがあります。

点眼後は、目のまわりを拭き取るなどして、対処しましょう。

 

また、喘息の方には、禁忌の緑内障点眼薬があります。

持病等は、必ず眼科医師へ自己申告してください。

 

手術

目薬で眼圧が下がらない場合、緊急の場合などに、手術が適応となります。

レーザーで虹彩(茶目)に穴をあけ、房水の流れを良くします。

 

目に直接メスを入れて切開する手術法などもあります。

根本的に緑内障や高眼圧症を治すものではなく、房水の流れをよくする事で眼圧上昇を抑えるための処置です。

 

 

いきなり失明するの? 徐々に視野が欠けるの?
緑内障はゆっくり進行する

緑内障を放置すると、数年単位で少しずつ視野欠損が始まります。


つまり、いきなり視界が真っ暗になるのではなく、部分的に少しずつ感度が低くなり、薄ぼんやりしてきます。
そのまま放置すると、やがてそこはポッカリ黒い穴が空いたようになっていきます。


その部位がどんどん広がるまで更に放置し続けていると、最終的には視野のほぼ全てが欠損します。

自覚症状のない緑内障、どうやって「発見」すればいいの?
眼科で定期的に健診を受けて、早期発見を!

1年前は問題なかったのに、今年の健診で引っかかったという方は大勢います。

そして、緑内障発症時期には個人差があり、早い方ですと10~20代で発見されます。

 

すぐに適切な処置を開始すれば、失明せずに済む。

緑内障の初期は、視野欠損は全くありません。

初期から点眼薬など適切な処置を開始すれば、その後の人生80年生きても、視野が欠けることは、ほぼありません。
中期、末期に発見された場合でも、そこからすぐに適切な処置を開始すれば、視野欠損の広がりを抑制することが出来ます。

 

ですが、1度失った視野を戻すことは、現代医学では不可能です。

 

おわりに

会社の健康診断、人間ドッグ、地区町村の眼科健診で「視神経乳頭陥凹拡大の疑い」と診断されたら、眼科を受診して精密検査を行いましょう。

「生まれ持った目のタチ」は治すことも、発症を防ぐ方法も、現在は存在しません。
大切なことは、目の定期的な健診で「早期発見」をする事です。

 

完全治癒は不可能でも、進行を抑制することはできる!

かつて、緑内障は「目の寿命が尽きるのが先か、命が尽きるのが先か」と言われていました。

 

緑内障の種類によって様々ですが、完全治癒は不可能です。
ですが、現代医学で「進行を抑制すること」は出来ます。

人生の最後まで、綺麗な風景、そして愛する家族を見続けていたいのならば、眼科の定期健診は最低でも1年に1回は行ってください。

 

そして現在、緑内障を治療中の方は、主治医の指示を必ず守ってくださいね。

 
 コラムニスト情報
中根 千恵
性別:女性  |   現在地:東京都  |   職業:眼科検査技師/サービス介助士/食育インストラクター/メイクセラピスト/Webライター、コラムニスト

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