魅惑の調味料「唐辛子(トウガラシ)」味の種類・健康効果・調理法など
栄養管理士が解説!とうがらしの歴史や味、種類、効能、栄養を効果的に摂取する料理方法など。唐辛子はコロンブスが発見した不遇の調味料なのです。
こんにちは、管理栄養士・ダイエットコーディネーターの水谷俊江です。
辛い物が食べたいと思ったとき、何を想像しますか?
インドのカレーや韓国キムチ、麻婆豆腐をはじめとする中国四川料理。
トムヤムクンでお馴染みのタイ料理。
思いつく辛いお料理は、いずれも唐辛子を効かせたアジア料理ですね。
「唐辛子」は、名前も唐の辛子なので、アジアが原産国であると思い込んでいませんか?
実は、唐辛子を世に広めたのは「コロンブス」なのです。
コロンブスは、南米で出会った唐辛子(スペイン語では「アヒ」)をヨーロッパに紹介したのですが、胡椒が全盛のヨーロッパでは誰も気に留めず、無視されてしまったそうです。
時は流れ、時代は16世紀の半ば。
交易船に乗っていたポルトガル人が、唐辛子をブラジルで再発見したそうです。
その頃、船は「ブラジル→インド→マレー→マカオ→長崎→インドネシア諸島」という伝播ルートが出来上がっていたのでした。
当時の日本では、外国から入ってきたものだから「唐」辛子という名に定着しました。
しかし、唐辛子を効かせた酸っぱい料理が「南蛮漬け」と呼ばれるのは、ポルトガル人がもたらしたものという名残があるのでしょうか。
さて、再発見された地「南蛮」のブラジル。
こちらには、色も形も様々な「ピメンタ」と呼ばれる唐辛子があります。
しかしながら、辛い食べ物は苦手なお国柄です。
南米のピメンタは、むしろ辛くない種の方を主に食べます。
唐辛子というよりは、ピーマンに近い味です。
というのもピーマンという言葉は、ずばりピメンタが由来なのです。
ブラジルでは、自家製のピメンタオイルやピメンタビネガーを作ります。
鮮やかなラテンカラーのため、見るだけで元気になるものです。
ところで唐辛子の辛さは、口に含んで少し間を置いてから「カーッ」と痛く感じる「ホット」な辛さですよね。
しばらくこのヒリヒリ感が残ります。
チリペッパーや、胡椒、山椒、生姜も「ホットタイプ」の仲間でしょう。
それに対してわさびやマスタード、ホースラデッシュ、玉ねぎ、にんにくは、下ろした物を口に含んだ途端に辛さが襲う「シャープタイプ」です。
同じ辛さでも「ホットタイプ」の辛さは熱に強いので、カレーなどのように加熱しても辛さが弱まることはありません。
「シャープタイプ」は、下ろしたものなどのように、組織を壊したときの酵素の働きで辛み成分が生成されるので、加熱をすると辛み成分は失われます。
エビの殻を焦がして、ごま油を加えて加熱したえび油に、更に唐辛子を漬け込み、辛さと風味を油に移した油そばは絶品。
また、唐辛子を漬け込んだ唐辛子酢をかけると、辛さの中にまろやかさが増します。
唐辛子を始めとする、スパイスの辛さや香りの成分は精油です。
そのため、油やお酢、お酒に漬け込むことで、香り成分が溶け出して、スパイスをそのまま使う時よりも熟成されたコクが加わり、お料理の美味しさが一枚も二枚も上回ります。
そういえば「夏バテには辛い物を食べる!」というコピーを良く聞きますが、その根拠は何なのでしょうか。
辛い物を食べ、皮膚の表面温度が上昇すると、汗をかきます。
しばらくすると、一時的に上昇した体の熱が皮膚から逃げて、皮膚温度は汗をかく前よりも下がります。
その温度差が涼しいと感じさせてくれるのです。
さらに唐辛子の嬉しいことは、唐辛子にのみ含まれているというカプサイシンという成分。
これは、アドレナリンと呼ばれている副腎皮質のホルモンの分泌を促します。
アドレナリンは、身体が興奮状態の時に分泌されるホルモンで、エネルギーの代謝を上昇させます。
また、唐辛子を食べることで、血管が広がって血流が良くなります。
食べた物を速やかにエネルギーに変えて、体脂肪を血液中に放出すると言われています。
唐辛子は、油と一緒に調理すると体に吸収されやすい食材です。
美味しく調理するには、油を使う調理法がおすすめ。
しかも唐辛子の辛い刺激が、胃腸の粘膜を刺激し、消化液の分泌を促して食欲を増進させます。
そして食べた後、腸の蠕動運動が促進されて、栄養の吸収も高まるのです。
「ダイエットと唐辛子」については、「唐辛子ダイエットは脂肪を燃焼するか?カプサイシンの効果や摂取量を調査!」にてお話しいたします。
|
|
管理栄養士としてクリニックでのダイエットや腸活アドバイスなど2000人以上の相談業務に携わってまいりました。
アーユルヴェーダセラピスト、風水鑑定士の資格もあり、このコラムでは西洋医学の栄養学だけでなくインド、中国の叡智を取り入れた新しい健康アドバイスをご紹介します。
|
|