旅客機・飛行機が落ちてしまったら?条約に基づく墜落事故の賠償金
乗り物の中でも、航空事故に遭遇する確率は極めて低く、飛行機は安全性の高い乗り物と言えるでしょう。
ではもし、仮に搭乗していた飛行機が航空事故を起こした場合、補償などはどうなるのでしょうか?
国際線を運航する航空会社(エアライン)の責任を決めた、通称モントリオール条約という、国際航空輸送についての条約があります。
モントリオール条約は、日本においても本条約の発効と同時に、日本発着の全ての国際線で万一の事故の際に乗客や遺族に支払われる賠償金の上限が撤廃されました。
この条約が適用された場合、約1700万までは航空会社に過失があろうがなかろうが補償され、それを越えた分も過失があれば支払われるとの事です。
このモントリオール条約の適用条件ですが、出発国と到着国の両方がいずれもモントリオール条約に加盟している必要があります。
出発国から到着国へ移動する際の航空会社の国籍は関係ありません。
日本や欧米先進国、韓国、中国などは加盟国ですが、発展途上国は未加盟国が多い様です。
また、国内線にはこの条約が適用しません。
特に、発展途上国などは原則として事故地の一般法か航空会社の約款が適用されるので、賠償は極めて低額となる傾向があります。
モントリオール条約が適用されない場合、それ以前の旧条約(通称ワルソー条約)に基づき、280万~1650万の上限で支払われます。
モントリオール条約ですが、出発地と到着地が加盟していればよいとの条件なので、仮に非加盟国へ行く場合も往復チケットと片道チケットでは適用が変わってきます。
往復チケットは日本発日本着なのでOK、ところが片道チケットは日本発、非加盟国着なので、モントリオール条約は適用されません。
チケット次第で適用が変わると言う事です。
海外旅行で、預けたはずの手荷物が紛失したり破損したりと言う例も多いですが、この場合も補償として決まっています。
国際運送約款の第18条(輸送人の責任)で、モントリオール条約が適用となる運送の場合「会社の手荷物責任限度は、旅客1人当たり1、131SDRを限度とします」と明記されています。
SDRですが、Special Drawing Rights(特別引出権)の略で全世界の共通単価を示しており、円建てにすると変動します。
出典先 http://www.mlit.go.jp/report/press/cab03_hh_000107.html
さて、これから自分が行く国がモントリオール条約に加盟しているか、気になる所ですね。
モントリオール条約批准
日本、メキシコ、ニュージーランド、カナダ、アメリカ、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、スウェーデン、イギリス、ノルウェー、モナコ、エジプト、スイス、モルディブ、ブラジル、香港(特別行政区)、南アフリカ、アルゼンチンなど、全部で95か国。
最近日本人旅行者も多い、インドネシア、フィリピン、台湾、タイ、トルコ、ベトナム等はまだ非加入で、モントリオール条約以前のワルソー条約のようです。
旅客にあまり馴染みのない国際的な条約ですが、この条約を知っているのと知らないのとでは万が一の場合、雲泥の差になる可能性もあり得ます。
渡航の際は是非ご注意ください。
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