秋冬は具だくさんの鍋料理を!昆布だしを使った「ハリハリ鍋」の作り方レシピ (1/2)
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
さて、人恋しくなる秋、そんな時の料理は鍋が一番ですね。
昆布だしの文化が、関東でもポピュラーになったのは、昭和に入ってからです。
私は、昆布だしと比較される「だし」と、昆布と鰹節の「合わせだし」は全くの違う物と思います。
昆布だしで鍋といえば、関西では水炊きです。
味のベースは昆布だしでありますが、スープが主役ではないのですね。
家庭での鍋と言えば、やはり水炊きですが、大阪らしいと言えばハリハリ鍋ですね。
これは大阪の味というイメージがあります。
そしてだしが美味しい。
良い「だし」とは、気付かないうちに飲み干してしまうのです。
何故か分からないけれど、いつの間にか喉を通っていくのです。
昆布と一言で言っても、様々な種類があるのです。
「てっちり」など淡白な味わいの物には、つめ昆布という、おぼろ昆布を削ったあとの白黒の昆布を使うのがお勧めです。
むしろ、昆布だしを取るというよりは、河豚から出るアクや臭みを取るための役割が大きいからです。
「てっちり」は、最高級の昆布と言われる羅臼産を使います。
続いて、利尻産です。
全国的に人気があるのが日高産で、最も良く売れている昆布です。
大阪ではだしを取るよりも、炊いて食べることが多いです。
それぞれ特長があり、昔の人は使い分けをしていたのですね。
昆布だしは黒子であり、決して主役ではないけれど、主役を引き立てるためにはなくてはならない存在です。
鍋の主役を引き立てるための黒子なのだと思います。
「鯖の酒蒸し」や「鯵の昆布蒸し」などは、日高昆布を良く使います。
昆布の上に、青魚や牡蠣、蛤などを乗せ、蒸し器で蒸したあとに、合わせだしを拵え、料理にかけて食べる逸品です。
この料理の「だし」は、昆布のみの単体ではなく、複数の物が混ざりあった合わせだしだからこそ、その魅力が引き立つのではないでしょうか。
鰹節やいりこ、干し椎茸など、だしには複数の物を使うのがお勧めです。
つまり、旨味を単体で捉えるのではなく、組み合わせによる、より複雑な世界を楽しんで欲しいですね。
それが、料理の奥行きや深みを生むのではないでしょうか。
昨年12月、和食文化がユネスコの無形文化遺産に登録されました。
- 新鮮で多様な食材とその持ち味の尊重
- 栄養バランスに優れた健康的な食生活
- 自然の美しさや季節の移ろいを表現した盛り付け
- 正月料理などの年中行事との密接な関わり
以上の4点が評価されました。
和食の特徴の一つが、肉より魚をメインにする点です。
どんなに寿司や和食が国際的になっても、フランス人やアメリカ人の一人当たりの魚の消費量は、日本の半分程度。
日本人はポルトガルや韓国と並ぶ、世界有数の”魚好き民族”です。
魚、とくに鯖や鰯などの青魚、鮪や鮭には、エイコサぺンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)といった、”オメガ3不飽和脂肪酸”が多く含まれます。
この脂肪酸は、血液をサラサラにする効果があり、日本人に心筋梗塞が少ない理由の一つと言われています。
また、9万人の日本人を対象にした調査によって、オメガ3不飽和脂肪酸を多く含む魚を良く食べる人は、ほとんど食べない人に比べて、肝臓がんを発症するリスクが4割近く下がることが分かりました。
しかし、日本人の魚の摂取量は昭和63年をピークに減少が続き、平成18年には肉の摂取量が上回ってしまいました。
和食文化は日本人の健康長寿の理由の一つ。
今回は簡単で美味しい、昆布を使った鍋料理をご紹介いたしましょう。
|
|
|
|